製薬企業団体の米国研究製薬工業協会(PhRMA)は10月15日、医薬品の価格の透明化を進める自主的な取り組みに関する計画を発表し、薬の広告に価格表示を求める連邦規制に対抗する姿勢を示した。医薬品の価格と自己負担額、患者負担の軽減措置などに関するオンライン上の情報源について、全てのテレビコマーシャルで提示することなどが盛り込まれた。この計画の発表は、全ての消費者向けの広告や宣伝で薬価の明示を求める連邦規制の発表の数時間前に行われた。米保健福祉省長官のAlex Azar氏は、PhRMAの計画を評価した上で、「ウェブサイト上に情報を掲載するのは、広告や宣伝で情報を提供することとは異なる」と指摘した。一方、PhRMAの会長兼CEOのStephen Ubl氏は「広告や宣伝で価格だけを明示すると読者や視聴者に混乱や誤解を生む。保険加入者は保険で薬剤費の一部がカバーされ、患者の一部は製薬企業を通じた患者支援制度の利用で負担が軽減される。そのため、ほとんどの医薬品を定価で購入することはない」と主張している。.PhRMAの計画は2019年4月に実施される予定だが、Ubl氏によると一部の企業は数カ月以内に医薬品の価格に関する情報提供を拡充する見込みだという。.なお、PhRMAの計画は、医薬品の価格の透明化を求める政治家と消費者の双方からの圧力に対応する形で立てられたが、その内容は消費者団体の意見や調査結果に基づいたものだという。Ubl氏は「患者からは、医薬品の価格についてより多くの情報を求める声が寄せられたが、自分が使用する医薬品が加入している保険でカバーされるのか、自己負担額はいくらなのか、金銭的な補助は受けられるのかといった情報への要望も多く聞かれた」と説明している。.しかし、PhRMAの計画はあくまでも自主的なものであるため、広告や宣伝に盛り込む具体的な価格情報や、読者や視聴者をオンライン情報に誘導する方法などに関しては個々の企業の裁量に任されている。また、この計画では医薬品の自己負担額の算出法や表示法に関する具体的なガイダンスは示されていない。しかし、Ubl氏はこの点に関して「さまざまなベンダーがこの種の計算ツールを開発している。自己負担額の情報提供ではこうしたツールが導入されることを期待している」と話している。.なお、PhRMAの関係者らは10月15日に開いた記者説明会で、トランプ政権が連邦規制を推し進めた場合に法的な措置を取る可能性を否定しなかった。また、「政策決定者が憲法上の問題を提起することなく、薬価情報に関する規制を策定することはできるのか」との問いに対し、Ubl氏は「われわれは、それは不可能だと考えている」と回答した。(HealthDay News 2018年10月15日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/health-cost-news-348/white-house-wants-prices-in-drug-ads-but-big-pharma-fights-back-738661.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
製薬企業団体の米国研究製薬工業協会(PhRMA)は10月15日、医薬品の価格の透明化を進める自主的な取り組みに関する計画を発表し、薬の広告に価格表示を求める連邦規制に対抗する姿勢を示した。医薬品の価格と自己負担額、患者負担の軽減措置などに関するオンライン上の情報源について、全てのテレビコマーシャルで提示することなどが盛り込まれた。この計画の発表は、全ての消費者向けの広告や宣伝で薬価の明示を求める連邦規制の発表の数時間前に行われた。米保健福祉省長官のAlex Azar氏は、PhRMAの計画を評価した上で、「ウェブサイト上に情報を掲載するのは、広告や宣伝で情報を提供することとは異なる」と指摘した。一方、PhRMAの会長兼CEOのStephen Ubl氏は「広告や宣伝で価格だけを明示すると読者や視聴者に混乱や誤解を生む。保険加入者は保険で薬剤費の一部がカバーされ、患者の一部は製薬企業を通じた患者支援制度の利用で負担が軽減される。そのため、ほとんどの医薬品を定価で購入することはない」と主張している。.PhRMAの計画は2019年4月に実施される予定だが、Ubl氏によると一部の企業は数カ月以内に医薬品の価格に関する情報提供を拡充する見込みだという。.なお、PhRMAの計画は、医薬品の価格の透明化を求める政治家と消費者の双方からの圧力に対応する形で立てられたが、その内容は消費者団体の意見や調査結果に基づいたものだという。Ubl氏は「患者からは、医薬品の価格についてより多くの情報を求める声が寄せられたが、自分が使用する医薬品が加入している保険でカバーされるのか、自己負担額はいくらなのか、金銭的な補助は受けられるのかといった情報への要望も多く聞かれた」と説明している。.しかし、PhRMAの計画はあくまでも自主的なものであるため、広告や宣伝に盛り込む具体的な価格情報や、読者や視聴者をオンライン情報に誘導する方法などに関しては個々の企業の裁量に任されている。また、この計画では医薬品の自己負担額の算出法や表示法に関する具体的なガイダンスは示されていない。しかし、Ubl氏はこの点に関して「さまざまなベンダーがこの種の計算ツールを開発している。自己負担額の情報提供ではこうしたツールが導入されることを期待している」と話している。.なお、PhRMAの関係者らは10月15日に開いた記者説明会で、トランプ政権が連邦規制を推し進めた場合に法的な措置を取る可能性を否定しなかった。また、「政策決定者が憲法上の問題を提起することなく、薬価情報に関する規制を策定することはできるのか」との問いに対し、Ubl氏は「われわれは、それは不可能だと考えている」と回答した。(HealthDay News 2018年10月15日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/health-cost-news-348/white-house-wants-prices-in-drug-ads-but-big-pharma-fights-back-738661.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.