未承認の医薬品成分を含有するサプリメント(栄養補助食品)の販売に対し、米食品医薬品局(FDA)がここ10年間で発した警告は700件以上に上ることが、米カリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)に所属するMadhur Kumar氏らの調査で明らかになった。詳細は「JAMA Network Open」10月12日オンライン版に掲載された。ほとんどの事例(98%)でこのような成分は製品ラベルに表示されていなかったという。Kumar氏らは今回、FDAの「サプリメントとして販売されている医薬品含有製品」データベースから10年分の情報を分析した。その結果、2007~2016年には146社が製造するサプリメントについて776件の警告がFDAから発せられていた。このうち精力増強としての効果を謳うものが最も多く(45.5%)、次いで減量効果(40.9%)、筋力増強効果(11.9%)を謳うものが続いた。こうした警告はここ数年で増加しており、期間中の警告のうち57%は2012年以降に発せられたものであった。.また、精力増強効果を謳うサプリメントに対する警告のほぼ半数(47.0%)は、バイアグラとして知られるシルデナフィルの含有に関するものであった。減量用サプリメントでは84.9%がsibutramine(シブトラミン;2010年に心臓発作などの心血管病リスクのため市場から回収された食欲抑制薬)に、筋肉増強用サプリメントでは89.1%が合成ステロイドやステロイド様成分に関して警告を受けていた。.Kumar氏らによれば、米国では成人の半数以上がサプリメントを常用しており、その売り上げは年間推定350億ドルにも上るという。一方、FDAは、サプリメント類を医薬品ではなく食品に分類し、疾患の治療や予防に使用すべきではなく、市販薬や処方薬の代替とはならないと警告している。.論文の付随論評を執筆した米ハーバード大学医学部准教授のPieter Cohen氏によると、医薬品成分を含有するサプリメントは2009年には150製品に満たなかったが、今では1,000を超えているという。また、同氏は、サプリメントは医薬品とは異なり、販売前にFDAによる審査を受ける必要がなく、安全性や有効性に関するエビデンスの提示も求められないと指摘する。.米で1994年に制定された栄養補助食品健康教育法に基づけば、FDAはサプリメントの安全性を保障するために、健康被害が報告されたサプリメントを市場から排す権限を持つが、事後対応にならざるを得ないのが現状である。なお、米国ではサプリメントによる有害事象で年間約2万3,000件の救急受診が生じ、そのうち入院件数は2,000件に上ると推定されている。.これらを踏まえ、Cohen氏はこうした問題の解決には法改正の必要があることを指摘しつつ、サプリメントを摂取する必要性について、まずは医師に相談することを勧めている。「どうしてもサプリメントを使用したい場合には、ラベルに表示されている成分が1種類だけのものを選び、健康効果を強調するようなものは避ける方がよい」と同氏は助言している。(HealthDay News 2018年10月12日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/nutritional-supplements-health-news-504/many-supplements-contain-unapproved-dangerous-ingredients-study-738565.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
未承認の医薬品成分を含有するサプリメント(栄養補助食品)の販売に対し、米食品医薬品局(FDA)がここ10年間で発した警告は700件以上に上ることが、米カリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)に所属するMadhur Kumar氏らの調査で明らかになった。詳細は「JAMA Network Open」10月12日オンライン版に掲載された。ほとんどの事例(98%)でこのような成分は製品ラベルに表示されていなかったという。Kumar氏らは今回、FDAの「サプリメントとして販売されている医薬品含有製品」データベースから10年分の情報を分析した。その結果、2007~2016年には146社が製造するサプリメントについて776件の警告がFDAから発せられていた。このうち精力増強としての効果を謳うものが最も多く(45.5%)、次いで減量効果(40.9%)、筋力増強効果(11.9%)を謳うものが続いた。こうした警告はここ数年で増加しており、期間中の警告のうち57%は2012年以降に発せられたものであった。.また、精力増強効果を謳うサプリメントに対する警告のほぼ半数(47.0%)は、バイアグラとして知られるシルデナフィルの含有に関するものであった。減量用サプリメントでは84.9%がsibutramine(シブトラミン;2010年に心臓発作などの心血管病リスクのため市場から回収された食欲抑制薬)に、筋肉増強用サプリメントでは89.1%が合成ステロイドやステロイド様成分に関して警告を受けていた。.Kumar氏らによれば、米国では成人の半数以上がサプリメントを常用しており、その売り上げは年間推定350億ドルにも上るという。一方、FDAは、サプリメント類を医薬品ではなく食品に分類し、疾患の治療や予防に使用すべきではなく、市販薬や処方薬の代替とはならないと警告している。.論文の付随論評を執筆した米ハーバード大学医学部准教授のPieter Cohen氏によると、医薬品成分を含有するサプリメントは2009年には150製品に満たなかったが、今では1,000を超えているという。また、同氏は、サプリメントは医薬品とは異なり、販売前にFDAによる審査を受ける必要がなく、安全性や有効性に関するエビデンスの提示も求められないと指摘する。.米で1994年に制定された栄養補助食品健康教育法に基づけば、FDAはサプリメントの安全性を保障するために、健康被害が報告されたサプリメントを市場から排す権限を持つが、事後対応にならざるを得ないのが現状である。なお、米国ではサプリメントによる有害事象で年間約2万3,000件の救急受診が生じ、そのうち入院件数は2,000件に上ると推定されている。.これらを踏まえ、Cohen氏はこうした問題の解決には法改正の必要があることを指摘しつつ、サプリメントを摂取する必要性について、まずは医師に相談することを勧めている。「どうしてもサプリメントを使用したい場合には、ラベルに表示されている成分が1種類だけのものを選び、健康効果を強調するようなものは避ける方がよい」と同氏は助言している。(HealthDay News 2018年10月12日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/nutritional-supplements-health-news-504/many-supplements-contain-unapproved-dangerous-ingredients-study-738565.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.