コーヒーを摂取すると酒さと呼ばれる炎症性皮膚疾患の予防に有用な可能性があることが、新たな研究で示された。酒さの人は、カフェイン入りの飲料や熱い飲み物など皮膚の血管を拡張させる食品は避ける方がよいというのが長年の常識であったが、今回はそうした考えに反する結果が得られたという。研究の詳細は「JAMA Dermatology」10月17日オンライン版に掲載された。酒さは顔面に発赤と小さな吹き出物が現れる慢性的な皮膚疾患で、にきびのような丘疹を伴うこともある。ビル・クリントン元米大統領や英国のダイアナ元妃もこの疾患に悩まされていたとされる。.この研究は、米ブラウン大学のWen-Qing Li氏らが1991~2005年に米国で女性看護師を対象に実施された大規模調査(Nurses' Health Study II)に参加した女性8万2,737人(平均年齢50.5歳)のデータを分析したもの。対象とした女性のうち4,945人が2005年までに酒さと診断されていた。同氏らは、4年ごとに実施した食物摂取頻度調査の結果からカフェイン摂取量を評価し、酒さとの関係を調べた。.その結果、カフェイン摂取量が最高五分位群では最低五分位群に比べて、酒さリスクが24%低く(ハザード比0.76、95%信頼区間0.69~0.84、傾向P値0.001)、カフェイン摂取量が多いほど酒さリスクは低下することが分かった。また、1日に4杯以上のコーヒーを飲む人では、月に1杯未満とほとんど飲まない人に比べて酒さリスクは有意に低減していた(同0.77、0.69~0.87、傾向P値0.001)。.さらに、酒さリスクを低減するためには、1日に少なくとも100mgのカフェインを摂取すると酒さリスクが4%低下することも明らかになった。しかし、Li氏らによるとカフェイン摂取量の算出には注意が必要だという。一般に、一杯(約230mL)のコーヒーには95~165mgのカフェインが含まれるとされるが、同氏らは「100mgのカフェインを摂取するにはコーヒーを1日2杯以上飲む必要がある」と指摘する。一方、米公益科学センター(CSPI)は、店によっても1杯のコーヒーに含まれるカフェイン量にはばらつきがあるとしている。.今回の研究では、カフェイン摂取により酒さリスクが低減する理由は明らかになっていないが、「カフェインは血管収縮や免疫系に影響をもたらす可能性がある」とLi氏は考察している。また、アドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールなどのホルモン値への影響や抗酸化物質が関与している可能性もあるという。.ただし、この関連性はコーヒーに限られ、茶や炭酸飲料、チョコレートなどのカフェインを含有する他の食品には酒さの予防効果は認められず、カフェインレスコーヒーにもこうした効果は認められなかった。さらに、今回の分析ではチョコレートを食べると酒さリスクが増加する可能性も示唆されたが、Li氏は「コーヒー以外から摂取するカフェインによる酒さ予防効果の可能性を否定するものではない」と述べている。(HealthDay News 2018年10月17日).https://consumer.healthday.com/diseases-and-conditions-information-37/rosacea-news-622/don-t-want-rosacea-drinking-coffee-might-help-738738.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.