減量維持期に炭水化物を制限し、脂肪を多く摂取するとエネルギー消費量が増え、減量の維持に有効な可能性があることが、米ボストン小児病院ニューバランス財団肥満予防センターのDavid Ludwig氏らが実施した新たな研究で示された。詳細は「BMJ」11月14日オンライン版に掲載された。Ludwig氏らは今回、肥満の人を対象に、炭水化物と脂質のエネルギーの構成比の違いが総エネルギー消費量に与える影響について検討した。まず、BMIが25以上の過体重または肥満で18~65歳の男女234人を対象に、炭水化物を適度に含む低カロリー食を摂取してもらい、10週間の導入期間中に12%の減量を目指してもらった。.次に、減量に成功した164人を対象に、エネルギーに占める炭水化物の割合を20%に制限し、脂質の割合を60%とする低炭水化物食を摂取する群(57人)または炭水化物と脂質の割合をいずれも40%とする群(53人)、炭水化物の割合を60%とし脂質を20%に制限する高炭水化物食を摂取する群(54人)にランダムに割り付けて20週間観察した。.その結果、20週後に減量した体重を維持していた参加者では、低炭水化物食群の総エネルギー消費量の平均は高炭水化物食群よりも1日250kcal多く、適度に炭水化物を摂取した群よりも111kcal多いことが分かった。Ludwig氏らによると、炭水化物の制限を3年間継続すると、平均的な男性でさらに9kgの減量につながると推測されたという。.今回の結果について、Ludwig氏は「精製された炭水化物を多く含む食事はインスリン分泌を促し、それによって身体のエネルギー消費量が減少して脂肪の蓄積を招くとする『炭水化物・インスリンモデル』と呼ばれる仮説を支持するものだ」と説明している。また、同氏は、体重を減らしたいならば、食事のカロリーを減らすだけでなく、精製された炭水化物の摂取を避ける必要があると話している。.この研究では、炭水化物と脂質の比率といった食事内容の変化がエネルギー消費量に及ぼす影響に焦点を当てたため、減量目的ではなく減らした体重を保つように参加者の摂取カロリーを調整した。専門家の一人で米ペンシルベニア大学のAnastassia Amaro氏は「この研究デザインは良く考えられたものだ」と評価している。なお、同氏は既に、患者が減量を希望する場合には精製された炭水化物の摂取を制限するように勧めているという。.しかし、Amaro氏は、今回の研究の「低炭水化物食」は同時に「高脂肪食」でもあることから、「炭水化物を制限することと脂質を多く摂取することのどちらが重要なのかは明らかではない」と強調している。また、適正体重の人でも低炭水化物食でエネルギー消費量が増えるのかどうかも分かっていないと付け加えている。(HealthDay News 2018年11月14日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/dieting-to-lose-weight-health-news-195/low-carb-diets-may-work-by-boosting-calorie-burn-739678.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.