てんかんを持つ人が犯罪の多い地域に住むと、安全な地域に住む場合に比べて発作の頻度が高まる可能性があることが、米イリノイ大学シカゴ校神経学・リハビリテーション部のJessica Levy氏らによる研究で明らかになった。研究の詳細は、米国てんかん学会(AES 2018、11月30日~12月4日、米ニューオリンズ)で発表された。発作を繰り返す脳障害であるてんかんは、世界で6500万人以上が罹患していると推計される。患者の約3人に1人は、薬物療法を行っても発作のコントロールは難しいとされる。また、ストレスはてんかん発作の主な誘因と考えられており、これまでの研究では、犯罪の多い地域に住む患者はストレスホルモンであるコルチゾールの血中濃度が高いことが報告されている。.Levy氏らは今回、シカゴに在住するてんかんを持つ成人63人を対象に、居住する地域の安全性と発作の頻度との関連を調べる研究を行った。その結果、犯罪の多い地域に住む人では、安全な地域に住む人と比べて発作の頻度が有意に高いことが分かった。.例えば、最近30日間のてんかん発作の回数は、犯罪の多い地域に住む患者は平均3回だったのに対し、犯罪の少ない地域に住む患者は1回であった。また、90日間では、犯罪の多い地域に住む患者では平均7回の発作がみられたのに対し、犯罪の少ない地域に住む患者は3回にとどまっていた。.これらの結果を踏まえ、Levy氏は「居住地域の犯罪率とてんかん発作の頻度は有意に関連することが分かった」と述べている。また、同氏らは、発作の頻度が高いほど仕事や人間関係、自立した生活の妨げになり、QOL(生活の質)が低下すると指摘している。さらに、発作が起こると転倒して骨折したり、てんかんに対する偏見やスティグマなどに悩まされたりすることにもつながるという。.今回の研究は、暴力や犯罪がてんかん発作の引き金となることを裏付けるものではない。しかし、研究グループの一人で同大学神経学・リハビリテーション部准教授のDilip Pandey氏は「暴力や犯罪がてんかん発作のきっかけとなる可能性を示した今回の結果は、臨床医が十分な情報に基づいて患者教育やストレス管理法の指導ができるように、さらに研究を重ねる必要があることを強調するものだ」と述べている。.なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2018年12月4日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/epilepsy-news-235/rough-neighborhood-worse-epilepsy-740165.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
てんかんを持つ人が犯罪の多い地域に住むと、安全な地域に住む場合に比べて発作の頻度が高まる可能性があることが、米イリノイ大学シカゴ校神経学・リハビリテーション部のJessica Levy氏らによる研究で明らかになった。研究の詳細は、米国てんかん学会(AES 2018、11月30日~12月4日、米ニューオリンズ)で発表された。発作を繰り返す脳障害であるてんかんは、世界で6500万人以上が罹患していると推計される。患者の約3人に1人は、薬物療法を行っても発作のコントロールは難しいとされる。また、ストレスはてんかん発作の主な誘因と考えられており、これまでの研究では、犯罪の多い地域に住む患者はストレスホルモンであるコルチゾールの血中濃度が高いことが報告されている。.Levy氏らは今回、シカゴに在住するてんかんを持つ成人63人を対象に、居住する地域の安全性と発作の頻度との関連を調べる研究を行った。その結果、犯罪の多い地域に住む人では、安全な地域に住む人と比べて発作の頻度が有意に高いことが分かった。.例えば、最近30日間のてんかん発作の回数は、犯罪の多い地域に住む患者は平均3回だったのに対し、犯罪の少ない地域に住む患者は1回であった。また、90日間では、犯罪の多い地域に住む患者では平均7回の発作がみられたのに対し、犯罪の少ない地域に住む患者は3回にとどまっていた。.これらの結果を踏まえ、Levy氏は「居住地域の犯罪率とてんかん発作の頻度は有意に関連することが分かった」と述べている。また、同氏らは、発作の頻度が高いほど仕事や人間関係、自立した生活の妨げになり、QOL(生活の質)が低下すると指摘している。さらに、発作が起こると転倒して骨折したり、てんかんに対する偏見やスティグマなどに悩まされたりすることにもつながるという。.今回の研究は、暴力や犯罪がてんかん発作の引き金となることを裏付けるものではない。しかし、研究グループの一人で同大学神経学・リハビリテーション部准教授のDilip Pandey氏は「暴力や犯罪がてんかん発作のきっかけとなる可能性を示した今回の結果は、臨床医が十分な情報に基づいて患者教育やストレス管理法の指導ができるように、さらに研究を重ねる必要があることを強調するものだ」と述べている。.なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2018年12月4日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/epilepsy-news-235/rough-neighborhood-worse-epilepsy-740165.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.