石けんやシャンプー、歯磨き粉などの身近な日用品に含まれる化学物質への曝露が、女児の思春期早発と関連する可能性があることが、米カリフォルニア大学バークレー校のKim Harley氏らによる研究で明らかになった。特に問題となるのは、フタル酸エステル類、パラベン類、フェノール類に属する化学物質。一方、男児ではこれらの関連は認められないことも分かった。研究の詳細は「Human Reproduction」12月4日オンライン版に掲載された。フタル酸エステル類やパラベン類、フェノール類などの化学物質には、内分泌撹乱性など人体への悪影響が懸念されている。これまで動物実験で、これらの化学物質は特定の条件下で女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を示し、これらの曝露により思春期が始まるタイミングが乱れることも示唆されている。.Harley氏らは今回、カリフォルニア州サリナス・バレーに居住する妊婦とその子どもを対象とした縦断コホート研究のデータを分析した。研究では、1999~2000年に登録した妊婦を対象に、妊娠中に2回の血液検査と問診を行い、問題とされる化学物質の血中濃度などを測定した。また、生まれた子ども338人(男児159人、女児179人)が9歳になった時点で尿検体を採取し、9歳から13歳まで追跡して思春期が始まったタイミングを評価した。.その結果、妊娠中の母親から採取した尿検体の約90%に、これら3種類のうちいずれかに属する化学物質が認められた。また、2016年に米食品医薬品局(FDA)が使用を禁止した殺菌剤のトリクロサンについては、尿検体の約70%で陽性であることが分かった。.解析の結果、妊娠中の母親のフタル酸エステル類の血中濃度が2倍になると、女児の陰毛が生え始める時期が標準よりも1.3カ月早まっていた。また、妊娠中のトリクロサンの血中濃度が2倍になると、女児の初経は1カ月早まることも明らかになった。さらに、9歳時点の女児のパラベンの血中濃度が2倍になると乳房の発達と陰毛が生え始める時期が1カ月早まっていた。一方、男児ではこれらの関連は認められなかった。.Harley氏は「この研究は、これらの化学物質への曝露が思春期を早める原因であることを証明するものではない」と強調。その他の因子が影響した可能性も否定できないとしているが、「今回の結果は、これらの化学物質に内分泌撹乱作用があるとする既存の報告と一致しており、こうした作用を懸念するに十分なエビデンスになる」と同氏は述べている。.専門家の一人で米国パーソナルケア製品評議会(Personal Care Products Council)のLinda Loretz氏は、今回の研究には問題点があると指摘する。フタル酸エステル類やパラベン類、フェノール類などの化学物質は体内に入った後、すぐに代謝されて尿中に排泄されるため、たった1日のうちでもその血中濃度は変化する。そのため、「たった2回の尿検査で曝露レベルを正確に評価できるのか、疑問が残る」と述べている。一方、同じく専門家で米ノースショア大学病院のMargaret Cuomo氏は「これまでにも多くの研究で、これらの化学物質による内分泌撹乱などの有害作用が指摘されている」と述べ、消費者は監視機関のウェブサイトなどで情報を確認し、安全な製品を選ぶことを勧めている。(HealthDay News 2018年12月4日).https://consumer.healthday.com/sexual-health-information-32/puberty-news-567/could-soaps-shampoos-be-pushing-girls-into-early-puberty-740265.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
石けんやシャンプー、歯磨き粉などの身近な日用品に含まれる化学物質への曝露が、女児の思春期早発と関連する可能性があることが、米カリフォルニア大学バークレー校のKim Harley氏らによる研究で明らかになった。特に問題となるのは、フタル酸エステル類、パラベン類、フェノール類に属する化学物質。一方、男児ではこれらの関連は認められないことも分かった。研究の詳細は「Human Reproduction」12月4日オンライン版に掲載された。フタル酸エステル類やパラベン類、フェノール類などの化学物質には、内分泌撹乱性など人体への悪影響が懸念されている。これまで動物実験で、これらの化学物質は特定の条件下で女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を示し、これらの曝露により思春期が始まるタイミングが乱れることも示唆されている。.Harley氏らは今回、カリフォルニア州サリナス・バレーに居住する妊婦とその子どもを対象とした縦断コホート研究のデータを分析した。研究では、1999~2000年に登録した妊婦を対象に、妊娠中に2回の血液検査と問診を行い、問題とされる化学物質の血中濃度などを測定した。また、生まれた子ども338人(男児159人、女児179人)が9歳になった時点で尿検体を採取し、9歳から13歳まで追跡して思春期が始まったタイミングを評価した。.その結果、妊娠中の母親から採取した尿検体の約90%に、これら3種類のうちいずれかに属する化学物質が認められた。また、2016年に米食品医薬品局(FDA)が使用を禁止した殺菌剤のトリクロサンについては、尿検体の約70%で陽性であることが分かった。.解析の結果、妊娠中の母親のフタル酸エステル類の血中濃度が2倍になると、女児の陰毛が生え始める時期が標準よりも1.3カ月早まっていた。また、妊娠中のトリクロサンの血中濃度が2倍になると、女児の初経は1カ月早まることも明らかになった。さらに、9歳時点の女児のパラベンの血中濃度が2倍になると乳房の発達と陰毛が生え始める時期が1カ月早まっていた。一方、男児ではこれらの関連は認められなかった。.Harley氏は「この研究は、これらの化学物質への曝露が思春期を早める原因であることを証明するものではない」と強調。その他の因子が影響した可能性も否定できないとしているが、「今回の結果は、これらの化学物質に内分泌撹乱作用があるとする既存の報告と一致しており、こうした作用を懸念するに十分なエビデンスになる」と同氏は述べている。.専門家の一人で米国パーソナルケア製品評議会(Personal Care Products Council)のLinda Loretz氏は、今回の研究には問題点があると指摘する。フタル酸エステル類やパラベン類、フェノール類などの化学物質は体内に入った後、すぐに代謝されて尿中に排泄されるため、たった1日のうちでもその血中濃度は変化する。そのため、「たった2回の尿検査で曝露レベルを正確に評価できるのか、疑問が残る」と述べている。一方、同じく専門家で米ノースショア大学病院のMargaret Cuomo氏は「これまでにも多くの研究で、これらの化学物質による内分泌撹乱などの有害作用が指摘されている」と述べ、消費者は監視機関のウェブサイトなどで情報を確認し、安全な製品を選ぶことを勧めている。(HealthDay News 2018年12月4日).https://consumer.healthday.com/sexual-health-information-32/puberty-news-567/could-soaps-shampoos-be-pushing-girls-into-early-puberty-740265.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.