スマートフォンのアプリで指の爪を撮影するだけで、貧血を診断できるようになるかもしれない-。米エモリー大学小児科准教授のWilbur Lam氏らは、撮影した爪の画像を読み取るだけで血中ヘモグロビン値を推定し、貧血を診断できるスマートフォンアプリを開発したと、「Nature Communications」12月4日オンライン版に発表した。このアプリは爪の根元の画像の色から血中ヘモグロビン値を分析するもの。ただし、現時点ではスクリーニング目的の使用に限定され、貧血の診断に用いることはできないという。今回の研究では、貧血のある人とない人を含めた計237人のデータを用いて、爪の根元を撮影した画像の色を血中ヘモグロビン値に変換するアルゴリズムを開発した。なお、爪を用いた理由は、爪にはメラニン色素を作り出す皮膚細胞がないためだという。また、このアプリを用いれば、慢性的な貧血に悩まされる患者は自分自身でヘモグロビン値をモニターし、治療や輸血が必要かどうかを判断する材料の一つになる可能性がある。Lam氏らは「何よりもこのアプリには副作用や合併症がない」と話している。.貧血がある人は世界で20億人に達するとされる。貧血を治療せずに放置すると、全身の倦怠感や顔面蒼白などの症状が現れ、心臓障害に至ることもある。また、貧血の診断には血液検査が必要とされるのが一般的だが、Lam氏は「このアプリを活用すれば、侵襲的な方法を用いずとも同じくらいの精度で貧血を診断できる」と説明している。.Lam氏によれば、このアプリは妊婦や経血量の多い女性、スポーツ選手などのほか、医療資源が限られる開発途上国でも役立つ可能性がある。早ければ2019年春にはダウンロードして使用できるようになる予定だという。.開発チームの一人であるRob Mannino氏は、自らも「βサラセミア」と呼ばれる遺伝性の血液疾患を抱えている。治療には輸血を毎月行う必要があり、頻繁にヘモグロビン値を測定することが望ましい。しかし、頻繁に通院することは実際には難しく、ヘモグロビンの測定値の変動をみながら、主治医が輸血を必要とする時期を推定するしかないという。なお、同氏は、輸血前後の写真を提供するなどして、アルゴリズムの精度向上に大きく貢献した。.小児の貧血治療に詳しい米ハンチントン病院のMichael Grosso氏は、この新技術の有望性を認める一方、軽症の鉄欠乏症などを見逃す可能性があるのではとの懸念を示している。しかし、Lam氏らは、さまざまなタイプの患者を対象にさらなる研究を実施しており、アプリによる貧血診断の感度と精度は今後、向上していくはずだと述べている。.この研究は、全米科学財団(NSF)および米国立衛生研究所(NIH)により一部支援を受けて実施された。LamとManninoの両氏は開発したアプリの特許を申請している。(HealthDay News 2018年12月5日).https://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/anemia-news-25/an-app-your-fingernail-and-anemia-screening-is-done-740293.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
スマートフォンのアプリで指の爪を撮影するだけで、貧血を診断できるようになるかもしれない-。米エモリー大学小児科准教授のWilbur Lam氏らは、撮影した爪の画像を読み取るだけで血中ヘモグロビン値を推定し、貧血を診断できるスマートフォンアプリを開発したと、「Nature Communications」12月4日オンライン版に発表した。このアプリは爪の根元の画像の色から血中ヘモグロビン値を分析するもの。ただし、現時点ではスクリーニング目的の使用に限定され、貧血の診断に用いることはできないという。今回の研究では、貧血のある人とない人を含めた計237人のデータを用いて、爪の根元を撮影した画像の色を血中ヘモグロビン値に変換するアルゴリズムを開発した。なお、爪を用いた理由は、爪にはメラニン色素を作り出す皮膚細胞がないためだという。また、このアプリを用いれば、慢性的な貧血に悩まされる患者は自分自身でヘモグロビン値をモニターし、治療や輸血が必要かどうかを判断する材料の一つになる可能性がある。Lam氏らは「何よりもこのアプリには副作用や合併症がない」と話している。.貧血がある人は世界で20億人に達するとされる。貧血を治療せずに放置すると、全身の倦怠感や顔面蒼白などの症状が現れ、心臓障害に至ることもある。また、貧血の診断には血液検査が必要とされるのが一般的だが、Lam氏は「このアプリを活用すれば、侵襲的な方法を用いずとも同じくらいの精度で貧血を診断できる」と説明している。.Lam氏によれば、このアプリは妊婦や経血量の多い女性、スポーツ選手などのほか、医療資源が限られる開発途上国でも役立つ可能性がある。早ければ2019年春にはダウンロードして使用できるようになる予定だという。.開発チームの一人であるRob Mannino氏は、自らも「βサラセミア」と呼ばれる遺伝性の血液疾患を抱えている。治療には輸血を毎月行う必要があり、頻繁にヘモグロビン値を測定することが望ましい。しかし、頻繁に通院することは実際には難しく、ヘモグロビンの測定値の変動をみながら、主治医が輸血を必要とする時期を推定するしかないという。なお、同氏は、輸血前後の写真を提供するなどして、アルゴリズムの精度向上に大きく貢献した。.小児の貧血治療に詳しい米ハンチントン病院のMichael Grosso氏は、この新技術の有望性を認める一方、軽症の鉄欠乏症などを見逃す可能性があるのではとの懸念を示している。しかし、Lam氏らは、さまざまなタイプの患者を対象にさらなる研究を実施しており、アプリによる貧血診断の感度と精度は今後、向上していくはずだと述べている。.この研究は、全米科学財団(NSF)および米国立衛生研究所(NIH)により一部支援を受けて実施された。LamとManninoの両氏は開発したアプリの特許を申請している。(HealthDay News 2018年12月5日).https://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/anemia-news-25/an-app-your-fingernail-and-anemia-screening-is-done-740293.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.