クリスマスから年末年始のホリデーシーズンを、病院のベッドで過ごしたいと思う人はいないだろう。しかし、その時期に退院するのは得策といえない可能性があることが、新たな研究で示された。カナダの研究で、12月のホリデーシーズン中に退院した人は、その他の時期に退院した人に比べて死亡や再入院のリスクが高いことが分かった。研究の詳細は「BMJ」12月10日オンライン版に掲載された。この研究は、カナダの臨床評価科学研究所（ICES）のLauren Lapointe-Shaw氏らが行ったもの。2002年4月～2016年1月にカナダ、オンタリオ州の急性期病院を退院した成人患者のうち、12月のホリデーシーズンに退院した21万7,305人と11月下旬および1月中に退院した45万3,641人（対照群）を対象に、転帰を比較検討した。.その結果、ホリデーシーズン中に退院した患者群では、対照群に比べて退院から7日以内、14日以内、30日以内の死亡または再入院のリスクがいずれも高いことが分かった（オッズ比はそれぞれ1.16、1.14、1.09）。また、ホリデーシーズン中に退院した患者群では、退院後14日以内に再診予約を取る確率が39％低かった。この理由について、著者の一人でトロント総合病院（カナダ）のLauren Lapointe-Shaw氏らは、再診の機会を年明けまで延ばしたいためではないかと推察している。.さらに、ホリデーシーズン中に退院した患者群では、10万人当たりで死亡者数が26人増加し、再入院は188人、救急科受診は483人増加したことも明らかになった。一方、経過観察のため再受診する患者は10万人当たり2,999人少なかった。.こうした結果が得られた要因として、Lapointe-Shaw氏らは、ホリデーシーズン中は治療へのアクセスが悪く、予約も取りにくいことや、病院スタッフの質が低下することなどが考えられるとしている。しかし、今回の研究は、因果関係を明らかにしたものではない。また、ホリデーシーズン中には暴飲暴食しやすく、ストレスが増え、睡眠不足などに陥りやすいことも、退院したばかりの患者の健康状態に悪影響を及ぼす可能性があるという。.これらを踏まえ、Lapointe-Shaw氏らは「今回の結果は、医師はホリデーシーズン中の退院計画と治療の調整は慎重に行う必要があることを示すものだ」と結論づけている。なお、これまでの研究で、金曜日や週末に入院した患者は、平日に入院した患者に比べて死亡や再入院のリスクが高い可能性があることが報告されている。（HealthDay News 2018年12月10日）.https://consumer.healthday.com/caregiving-information-6/hospital-news-393/hospital-discharge-at-christmastime-may-not-be-a-gift-for-some-740419.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
クリスマスから年末年始のホリデーシーズンを、病院のベッドで過ごしたいと思う人はいないだろう。しかし、その時期に退院するのは得策といえない可能性があることが、新たな研究で示された。カナダの研究で、12月のホリデーシーズン中に退院した人は、その他の時期に退院した人に比べて死亡や再入院のリスクが高いことが分かった。研究の詳細は「BMJ」12月10日オンライン版に掲載された。この研究は、カナダの臨床評価科学研究所（ICES）のLauren Lapointe-Shaw氏らが行ったもの。2002年4月～2016年1月にカナダ、オンタリオ州の急性期病院を退院した成人患者のうち、12月のホリデーシーズンに退院した21万7,305人と11月下旬および1月中に退院した45万3,641人（対照群）を対象に、転帰を比較検討した。.その結果、ホリデーシーズン中に退院した患者群では、対照群に比べて退院から7日以内、14日以内、30日以内の死亡または再入院のリスクがいずれも高いことが分かった（オッズ比はそれぞれ1.16、1.14、1.09）。また、ホリデーシーズン中に退院した患者群では、退院後14日以内に再診予約を取る確率が39％低かった。この理由について、著者の一人でトロント総合病院（カナダ）のLauren Lapointe-Shaw氏らは、再診の機会を年明けまで延ばしたいためではないかと推察している。.さらに、ホリデーシーズン中に退院した患者群では、10万人当たりで死亡者数が26人増加し、再入院は188人、救急科受診は483人増加したことも明らかになった。一方、経過観察のため再受診する患者は10万人当たり2,999人少なかった。.こうした結果が得られた要因として、Lapointe-Shaw氏らは、ホリデーシーズン中は治療へのアクセスが悪く、予約も取りにくいことや、病院スタッフの質が低下することなどが考えられるとしている。しかし、今回の研究は、因果関係を明らかにしたものではない。また、ホリデーシーズン中には暴飲暴食しやすく、ストレスが増え、睡眠不足などに陥りやすいことも、退院したばかりの患者の健康状態に悪影響を及ぼす可能性があるという。.これらを踏まえ、Lapointe-Shaw氏らは「今回の結果は、医師はホリデーシーズン中の退院計画と治療の調整は慎重に行う必要があることを示すものだ」と結論づけている。なお、これまでの研究で、金曜日や週末に入院した患者は、平日に入院した患者に比べて死亡や再入院のリスクが高い可能性があることが報告されている。（HealthDay News 2018年12月10日）.https://consumer.healthday.com/caregiving-information-6/hospital-news-393/hospital-discharge-at-christmastime-may-not-be-a-gift-for-some-740419.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
