肥満は2型糖尿病や心疾患、膝関節置換術のほか、がんのリスク因子としても知られている。米国がん協会（ACS）のAhmedin Jemal氏らの研究により、肥満に関連するがんの罹患リスクが25～49歳の若年層で急増していることが明らかとなった。詳細は「The Lancet Public Health」2月4日オンライン版に発表された。研究グループは、米国人口の67％をカバーする25州のがん登録データを用いて、肥満に関連する12種類のがんと肥満に関連しない18種類のがんの計30種類について、1995～2014年に診断された患者を対象に分析した。.その結果、25～49歳の若年層では、多発性骨髄腫および大腸がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、腎臓がん、膵臓がん、甲状腺がんの罹患率が上昇していることが明らかとなった。例えば、膵臓がんを発症する確率は、25～29歳では年平均4％上昇した一方、30～34歳では約3％、35～39歳では1.3％、40～44歳では約1％の上昇にとどまっていた。若年層では罹患率が急激に上昇しているが、全体的ながんの罹患率は高年齢層に比べて低かった。.がん罹患率の上昇は、12種類の肥満関連のがんのうち6種類（大腸がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、腎臓がん、膵臓がん、多発性骨髄腫）で特に深刻だった。一方、がんと関連しない18種類のがんでは、同様の増加を示したのは胃がんと白血病の2種類のみで、喫煙に関連した8種類のがんの罹患率には低下がみられ、その他のがんについては横ばいで推移していた。.これらの結果について、Jemal氏は「肥満関連のがんが急増した背景には、肥満の蔓延が考えられる。若年層が高齢化するに伴い、がんの罹患率は今後も上昇すると予想される」と述べている。米国では1984年から30年間で肥満率は2倍以上となった。同氏らは、こうした傾向により、長年にわたり達成してきたがん死亡の減少の流れが止まるか、逆行する可能性があると警鐘を鳴らしている。.一方、肥満と関連する乳がんの罹患率は、若年女性でも変わらなかった。その理由として、Jemal氏らは、一部のタイプの乳がんが増加している一方で、その他のタイプの乳がんは減少している可能性を指摘している。また、その他の要因として、検診の対象年齢、初産年齢、出産回数の変化などの影響が考えられるとしている。.専門家の一人で、米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のElizabeth Platz氏は「肥満は幅広い種類のがんの新たなリスク因子だ」と指摘する。しかし、肥満はいまや社会問題となっており、個人レベルの対策ではその流行を止めることはできない。そのため、同氏は「食生活の改善や運動などの生活習慣を含む文化的な変容や政策が必要であり、社会全体で変化していかなければならない」と述べている。（HealthDay News 2019年2月4日）.https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/obesity-health-news-505/obesity-linked-cancers-on-the-rise-among-young-americans-742280.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
肥満は2型糖尿病や心疾患、膝関節置換術のほか、がんのリスク因子としても知られている。米国がん協会（ACS）のAhmedin Jemal氏らの研究により、肥満に関連するがんの罹患リスクが25～49歳の若年層で急増していることが明らかとなった。詳細は「The Lancet Public Health」2月4日オンライン版に発表された。研究グループは、米国人口の67％をカバーする25州のがん登録データを用いて、肥満に関連する12種類のがんと肥満に関連しない18種類のがんの計30種類について、1995～2014年に診断された患者を対象に分析した。.その結果、25～49歳の若年層では、多発性骨髄腫および大腸がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、腎臓がん、膵臓がん、甲状腺がんの罹患率が上昇していることが明らかとなった。例えば、膵臓がんを発症する確率は、25～29歳では年平均4％上昇した一方、30～34歳では約3％、35～39歳では1.3％、40～44歳では約1％の上昇にとどまっていた。若年層では罹患率が急激に上昇しているが、全体的ながんの罹患率は高年齢層に比べて低かった。.がん罹患率の上昇は、12種類の肥満関連のがんのうち6種類（大腸がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、腎臓がん、膵臓がん、多発性骨髄腫）で特に深刻だった。一方、がんと関連しない18種類のがんでは、同様の増加を示したのは胃がんと白血病の2種類のみで、喫煙に関連した8種類のがんの罹患率には低下がみられ、その他のがんについては横ばいで推移していた。.これらの結果について、Jemal氏は「肥満関連のがんが急増した背景には、肥満の蔓延が考えられる。若年層が高齢化するに伴い、がんの罹患率は今後も上昇すると予想される」と述べている。米国では1984年から30年間で肥満率は2倍以上となった。同氏らは、こうした傾向により、長年にわたり達成してきたがん死亡の減少の流れが止まるか、逆行する可能性があると警鐘を鳴らしている。.一方、肥満と関連する乳がんの罹患率は、若年女性でも変わらなかった。その理由として、Jemal氏らは、一部のタイプの乳がんが増加している一方で、その他のタイプの乳がんは減少している可能性を指摘している。また、その他の要因として、検診の対象年齢、初産年齢、出産回数の変化などの影響が考えられるとしている。.専門家の一人で、米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のElizabeth Platz氏は「肥満は幅広い種類のがんの新たなリスク因子だ」と指摘する。しかし、肥満はいまや社会問題となっており、個人レベルの対策ではその流行を止めることはできない。そのため、同氏は「食生活の改善や運動などの生活習慣を含む文化的な変容や政策が必要であり、社会全体で変化していかなければならない」と述べている。（HealthDay News 2019年2月4日）.https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/obesity-health-news-505/obesity-linked-cancers-on-the-rise-among-young-americans-742280.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
