フィンランド、スウェーデンなど4カ国の救急隊員を対象に調査した結果、救急現場では手指衛生の遵守率は著しく低いことが、南デンマーク大学オーデンセ校のHeidi Storm Vikke氏らの研究で明らかになった。同氏らは、手指衛生の不徹底により、多くの救急患者が致死的な感染症リスクにさらされている可能性があると指摘している。調査結果の詳細は「Emergency Medicine Journal」1月28日オンライン版に発表された。この研究は、フィンランドとスウェーデン、デンマーク、オーストラリアで計87人の患者に対応した救急隊員77人を対象としたもの。世界保健機関(WHO)のガイドラインが推奨する5つのタイミングにおける手指衛生の遵守率と基本的な衛生管理の状況について調べた。.その結果、手指衛生が必要と判断された1,344の事例において、石けんと流水または手指消毒剤による手指衛生が実際に行われていたのは全体の15%に過ぎないことが分かった。また、手指衛生の遵守率は、WHOが推奨する5つのタイミングで差がみられ、「患者に触れる前」では3%、注射や創部のケアなどの「清潔/無菌操作の前」では2%、「体液に曝露された可能性がある場合」では8%であったが、「患者に触れた後」では29%、ストレッチャーやベッドの柵など「患者の周辺の物品に触れた後」では38%であった。.救急隊員は、手指衛生が推奨される事例の54%で手袋を使用していた。新しい手袋を使用していた割合は、「患者に触れる前」では48%であったが、「清潔/無菌操作の前」では14%に過ぎなかった。それに対し、汚染された部位に触れた後などに手袋を継続して使用する割合は、「患者に触れる前」では21%、「清潔/無菌操作の前」では64%であることが分かった。.また、救急隊員は、患者の血液や体液に触れる危険性がない場合でも手袋を着用していた。手指衛生の遵守率は、手袋を着用していないときには30%だったが、手袋を着用するとわずか2%にまで低下していた。一方、爪を短くし清潔に保つ(83%)、髪を短くするか結ぶ(99%)、宝飾品を身に着けない(62%)といった基本的な衛生管理については遵守率が高かった。.この調査では、多くの救急隊員が手指衛生の代わりに手袋を使用していることが示された。Vikke氏らによれば、手指衛生は細菌やウイルスの拡散を防ぎ、患者を感染症から守ることを主な目的とする一方で、手袋は、医療従事者が血液や体液に触れるのを避けるために使用するものだという。そのため、同氏は「今回の研究結果から、救急隊員は患者よりも自分自身の身を守ることを重視している可能性が示唆された」と指摘している。.これらの結果を踏まえ、Vikke氏らは「今後さらなる研究で、医療従事者が手指衛生を遵守しない理由を明らかにする必要がある」と述べている。なお、同氏らは、先進国においても医療関連感染は10人に1人の患者に起こっているとしている。(HealthDay News 2019年2月1日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/hygiene-health-news-396/many-paramedics-ignore-hand-hygiene-rules-study-finds-742093.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
フィンランド、スウェーデンなど4カ国の救急隊員を対象に調査した結果、救急現場では手指衛生の遵守率は著しく低いことが、南デンマーク大学オーデンセ校のHeidi Storm Vikke氏らの研究で明らかになった。同氏らは、手指衛生の不徹底により、多くの救急患者が致死的な感染症リスクにさらされている可能性があると指摘している。調査結果の詳細は「Emergency Medicine Journal」1月28日オンライン版に発表された。この研究は、フィンランドとスウェーデン、デンマーク、オーストラリアで計87人の患者に対応した救急隊員77人を対象としたもの。世界保健機関(WHO)のガイドラインが推奨する5つのタイミングにおける手指衛生の遵守率と基本的な衛生管理の状況について調べた。.その結果、手指衛生が必要と判断された1,344の事例において、石けんと流水または手指消毒剤による手指衛生が実際に行われていたのは全体の15%に過ぎないことが分かった。また、手指衛生の遵守率は、WHOが推奨する5つのタイミングで差がみられ、「患者に触れる前」では3%、注射や創部のケアなどの「清潔/無菌操作の前」では2%、「体液に曝露された可能性がある場合」では8%であったが、「患者に触れた後」では29%、ストレッチャーやベッドの柵など「患者の周辺の物品に触れた後」では38%であった。.救急隊員は、手指衛生が推奨される事例の54%で手袋を使用していた。新しい手袋を使用していた割合は、「患者に触れる前」では48%であったが、「清潔/無菌操作の前」では14%に過ぎなかった。それに対し、汚染された部位に触れた後などに手袋を継続して使用する割合は、「患者に触れる前」では21%、「清潔/無菌操作の前」では64%であることが分かった。.また、救急隊員は、患者の血液や体液に触れる危険性がない場合でも手袋を着用していた。手指衛生の遵守率は、手袋を着用していないときには30%だったが、手袋を着用するとわずか2%にまで低下していた。一方、爪を短くし清潔に保つ(83%)、髪を短くするか結ぶ(99%)、宝飾品を身に着けない(62%)といった基本的な衛生管理については遵守率が高かった。.この調査では、多くの救急隊員が手指衛生の代わりに手袋を使用していることが示された。Vikke氏らによれば、手指衛生は細菌やウイルスの拡散を防ぎ、患者を感染症から守ることを主な目的とする一方で、手袋は、医療従事者が血液や体液に触れるのを避けるために使用するものだという。そのため、同氏は「今回の研究結果から、救急隊員は患者よりも自分自身の身を守ることを重視している可能性が示唆された」と指摘している。.これらの結果を踏まえ、Vikke氏らは「今後さらなる研究で、医療従事者が手指衛生を遵守しない理由を明らかにする必要がある」と述べている。なお、同氏らは、先進国においても医療関連感染は10人に1人の患者に起こっているとしている。(HealthDay News 2019年2月1日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/hygiene-health-news-396/many-paramedics-ignore-hand-hygiene-rules-study-finds-742093.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.