米ニューヨーク市の神経専門医で米ワイルコーネル医科大学のScott Wolfe氏はこのほど、急性弛緩性脊髄炎(AFM)に罹患し、身体の一部が麻痺した2人の小児患者に対し、腕の神経移行術により運動機能を回復させたとする報告書を「Pediatric Neurology」11月号に発表した。Wolfe氏は既に、15歳で横断性脊髄炎と診断され、手の機能の回復は見込めなかった患者に対し、腕の神経移行術と腱移行術を実施したところ、患者は再び自立した生活を取り戻すことができたことを報告していた。今回の症例報告によれば、AFMと診断された12歳男児では、手術後、動かなくなっていた右腕を曲げたり動かしたりすることができるようになり、もう一人の14歳女児では両腕の運動機能が改善し、左手の指を動かせるようになったという。.AFMの流行はこの数年来、メディアでもたびたび取り上げられてきた。横断性脊髄炎のサブタイプとされるAFMは子どもの神経系に影響を及ぼし、腕や下肢に重度の脱力をもたらす。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では2014年以降、AFMの流行が隔年周期で起こっている。2018年には40州で201例がAFMと確定診断され、過去最大規模の流行となった。専門家らはウイルス感染がAFMの発症に関与しているものとみているが、そのことが確認されているわけではない。.Wolfe氏が行った手術は、正常に機能している神経の一部を、AFMが壊した神経とその神経が調節する筋肉をつなぐ部分に移行して、機能の一部を再建するというもの。同氏は「一部分を借りた神経の機能は失われることはなく、それを接合した神経の機能は回復する」と説明している。.神経移行術は横断性脊髄炎の男性患者の人生を変えた。発症した当初、患者には手がヒリヒリしたり、肩の脱力感があったりする程度だったが、ある日の午後、症状が急速に進行し、30分もしないうちに立ち上がって歩くことができなくなったという。.発症から約10カ月後、この横断性脊髄炎の患者はWolfe氏による神経移行術を受けた。この手術は顕微鏡下で行われ、細心の注意と忍耐を必要とする。その患者は手術とその後の理学療法のおかげで、失った腕の機能のほとんどを取り戻し、現在は大学生活を送っている。.Wolfe氏は「神経移行術は、AFMによって手足に部分的な麻痺がある患者の機能の回復にも適用できる」と話す。今回の報告書は2例のAFM患者に関するものであったが、これまでに6例のAFM患者が神経移行術によって回復しているという。.一方、今回の症例報告には関与していない米マウント・サイナイ・ヘルス・システム整形外科部門のMichael Hausman氏は、AFM患者のほとんどは発症から1年以内に運動機能が自然に回復すると指摘する。その上で、「自然治癒の可能性を考慮すると、神経移行術の効果を見極めることは難しい」と話している。(HealthDay News 2019年2月5日).https://consumer.healthday.com/disabilities-information-11/paralysis-news-523/surgery-restores-movement-to-kids-with-polio-like-illness-742282.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
米ニューヨーク市の神経専門医で米ワイルコーネル医科大学のScott Wolfe氏はこのほど、急性弛緩性脊髄炎(AFM)に罹患し、身体の一部が麻痺した2人の小児患者に対し、腕の神経移行術により運動機能を回復させたとする報告書を「Pediatric Neurology」11月号に発表した。Wolfe氏は既に、15歳で横断性脊髄炎と診断され、手の機能の回復は見込めなかった患者に対し、腕の神経移行術と腱移行術を実施したところ、患者は再び自立した生活を取り戻すことができたことを報告していた。今回の症例報告によれば、AFMと診断された12歳男児では、手術後、動かなくなっていた右腕を曲げたり動かしたりすることができるようになり、もう一人の14歳女児では両腕の運動機能が改善し、左手の指を動かせるようになったという。.AFMの流行はこの数年来、メディアでもたびたび取り上げられてきた。横断性脊髄炎のサブタイプとされるAFMは子どもの神経系に影響を及ぼし、腕や下肢に重度の脱力をもたらす。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では2014年以降、AFMの流行が隔年周期で起こっている。2018年には40州で201例がAFMと確定診断され、過去最大規模の流行となった。専門家らはウイルス感染がAFMの発症に関与しているものとみているが、そのことが確認されているわけではない。.Wolfe氏が行った手術は、正常に機能している神経の一部を、AFMが壊した神経とその神経が調節する筋肉をつなぐ部分に移行して、機能の一部を再建するというもの。同氏は「一部分を借りた神経の機能は失われることはなく、それを接合した神経の機能は回復する」と説明している。.神経移行術は横断性脊髄炎の男性患者の人生を変えた。発症した当初、患者には手がヒリヒリしたり、肩の脱力感があったりする程度だったが、ある日の午後、症状が急速に進行し、30分もしないうちに立ち上がって歩くことができなくなったという。.発症から約10カ月後、この横断性脊髄炎の患者はWolfe氏による神経移行術を受けた。この手術は顕微鏡下で行われ、細心の注意と忍耐を必要とする。その患者は手術とその後の理学療法のおかげで、失った腕の機能のほとんどを取り戻し、現在は大学生活を送っている。.Wolfe氏は「神経移行術は、AFMによって手足に部分的な麻痺がある患者の機能の回復にも適用できる」と話す。今回の報告書は2例のAFM患者に関するものであったが、これまでに6例のAFM患者が神経移行術によって回復しているという。.一方、今回の症例報告には関与していない米マウント・サイナイ・ヘルス・システム整形外科部門のMichael Hausman氏は、AFM患者のほとんどは発症から1年以内に運動機能が自然に回復すると指摘する。その上で、「自然治癒の可能性を考慮すると、神経移行術の効果を見極めることは難しい」と話している。(HealthDay News 2019年2月5日).https://consumer.healthday.com/disabilities-information-11/paralysis-news-523/surgery-restores-movement-to-kids-with-polio-like-illness-742282.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.