若者から採取した血液を輸血する治療法は、若返りだけでなく、最近では、アルツハイマー病や多発性硬化症などのさまざまな疾患の治療に有効と謳われている。しかし、こうした治療の臨床的な有効性は証明されておらず、潜在的な危険性があるとして、米食品医薬品局(FDA)は警告文を発表した。FDA長官のScott Gottlieb氏は、ニュースリリースの中で、「われわれは、若いドナーから提供された血液を輸血する治療法が有効だと宣伝する俳優に、惑わされている患者がいるのではないかと懸念している」と述べている。同氏は「このような治療法が有効だと宣伝する医療機関もあるが、治療の臨床的なベネフィットは証明されておらず、有害な可能性すらある」と強調している。.FDAによると、米国では若者から提供された血漿を注入する治療法が広がりをみせており、その費用は1回の治療で何千ドルともされている。こうした血漿注入療法は、老化や記憶力の低下の予防といったものから、認知症やアルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、心臓病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの重度の障害に至るまで、さまざまな疾患への治療法として提供されている。.血液中の血漿には、血液凝固に働くタンパク質が含まれ、出血や血液凝固に関わる障害の治療に用いられている。血漿は重度の外傷患者や、使用中の薬剤や疾患のために血液が固まらない患者に大きなベネフィットをもたらす。しかし、FDAは、現在承認されている使用法であっても、血漿の注入にはアレルギー反応や、輸血に関連する循環過負荷、急性肺障害、感染症などのリスクを伴うと指摘している。.Gottlieb氏は「認知症やパーキンソン病、多発性硬化症などの治療目的で、血漿注入療法を広めることは公衆衛生上、重大な懸念がある」と警告している。同氏は「こうした血漿注入療法の臨床的な効果は証明されておらず、適切な使用法に関する情報もない。この治療は効果的であるどころか、輸血に伴うさまざまなリスクも考えられる」と述べている。.また、同氏は、若いドナーの血漿を用いた治療は、有効性と安全性を確保するためにFDAが求める厳格な審査を経ておらず、「このような血漿製剤の使用は安全だと考えるべきではない」と強調している。.例えば、オンラインメディアのハフィントン・ポストが報じたところによれば、若者の血漿を注入する治療を提供する企業の一つ、アンブロシア(Ambrosia)社は、若いドナーから提供された血漿を2L輸血する治療の代金として、複数の州で顧客に対して、それぞれ1万2,000ドル(約133万円)を請求していた。同社を創設したJesse Karmazin氏によると、この治療法にFDAの承認は必要だとは考えなかったという。.FDAは、多くの実験段階にある治療法と同様に、若いドナーの血漿を注入する治療法についても、「消費者側が慎重に判断する必要がある」と注意を促している。また、治療法を受けたいと考えているならば、まずは医師に相談してほしいと注意を促している。(HealthDay News 2019年2月19日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/miracle-young-blood-infusion-treatments-unproven-potentially-harmful-fda-742911.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
若者から採取した血液を輸血する治療法は、若返りだけでなく、最近では、アルツハイマー病や多発性硬化症などのさまざまな疾患の治療に有効と謳われている。しかし、こうした治療の臨床的な有効性は証明されておらず、潜在的な危険性があるとして、米食品医薬品局(FDA)は警告文を発表した。FDA長官のScott Gottlieb氏は、ニュースリリースの中で、「われわれは、若いドナーから提供された血液を輸血する治療法が有効だと宣伝する俳優に、惑わされている患者がいるのではないかと懸念している」と述べている。同氏は「このような治療法が有効だと宣伝する医療機関もあるが、治療の臨床的なベネフィットは証明されておらず、有害な可能性すらある」と強調している。.FDAによると、米国では若者から提供された血漿を注入する治療法が広がりをみせており、その費用は1回の治療で何千ドルともされている。こうした血漿注入療法は、老化や記憶力の低下の予防といったものから、認知症やアルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、心臓病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの重度の障害に至るまで、さまざまな疾患への治療法として提供されている。.血液中の血漿には、血液凝固に働くタンパク質が含まれ、出血や血液凝固に関わる障害の治療に用いられている。血漿は重度の外傷患者や、使用中の薬剤や疾患のために血液が固まらない患者に大きなベネフィットをもたらす。しかし、FDAは、現在承認されている使用法であっても、血漿の注入にはアレルギー反応や、輸血に関連する循環過負荷、急性肺障害、感染症などのリスクを伴うと指摘している。.Gottlieb氏は「認知症やパーキンソン病、多発性硬化症などの治療目的で、血漿注入療法を広めることは公衆衛生上、重大な懸念がある」と警告している。同氏は「こうした血漿注入療法の臨床的な効果は証明されておらず、適切な使用法に関する情報もない。この治療は効果的であるどころか、輸血に伴うさまざまなリスクも考えられる」と述べている。.また、同氏は、若いドナーの血漿を用いた治療は、有効性と安全性を確保するためにFDAが求める厳格な審査を経ておらず、「このような血漿製剤の使用は安全だと考えるべきではない」と強調している。.例えば、オンラインメディアのハフィントン・ポストが報じたところによれば、若者の血漿を注入する治療を提供する企業の一つ、アンブロシア(Ambrosia)社は、若いドナーから提供された血漿を2L輸血する治療の代金として、複数の州で顧客に対して、それぞれ1万2,000ドル(約133万円)を請求していた。同社を創設したJesse Karmazin氏によると、この治療法にFDAの承認は必要だとは考えなかったという。.FDAは、多くの実験段階にある治療法と同様に、若いドナーの血漿を注入する治療法についても、「消費者側が慎重に判断する必要がある」と注意を促している。また、治療法を受けたいと考えているならば、まずは医師に相談してほしいと注意を促している。(HealthDay News 2019年2月19日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/miracle-young-blood-infusion-treatments-unproven-potentially-harmful-fda-742911.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.