毎日、リードを引いて犬の散歩をすることは、高齢者にとって運動する良い機会となる一方で、問題点もあるようだ。米ペンシルベニア大学フィラデルフィア校のKevin Pirruccio氏らが実施した研究で、米国では近年、犬の散歩中に骨折する高齢者が倍増していることが明らかになった。研究の詳細は「JAMA Surgery」3月6日オンライン版に掲載された。この研究は、米国消費者製品安全委員会による全米外傷調査プログラムのデータベース(National Electronic Injury Surveillance System All Injury Program Database)から得たデータを後ろ向きに解析したもの。65歳以上の高齢者を対象に、ペット用品に関連した骨折のデータを調べた。.その結果、犬の散歩に伴う骨折が原因で救急外来を受診した65歳以上の高齢者は年間で、2004年の1,671人から2017年には4,396人へと倍増したことが分かった。こうした骨折の4分の3以上は女性で発生し、骨折の部位は大腿骨近位部と上腕が最も多かった。また、全ての骨折の約半数は上半身で起こっており、リードを持つ手首と上腕、指、肩で多く見られた。.さらに、最も頻度が高い骨折のタイプは大腿骨近位部骨折で、全体の17%を占めていた。Pirruccio氏らによると、65歳以上の高齢者では、大腿骨近位部骨折に関連した死亡率は30%に近いことが報告されており、懸念される原因になっているという。.ただし、Pirruccio氏らは、今回の研究は救急外来で治療を受けた骨折だけを対象に分析したにすぎないと指摘する。高齢者が犬の散歩中に怪我をした実際の件数は、病院を受診するほどではない怪我を含めるとさらに増える可能性があるとしている。しかし、共同研究者の一人は、「それでも、散歩に犬を連れて行くことは健康に大きなベネフィットをもたらすだろう」と述べている。.この研究には関与していない米レノックス・ヒル病院のMatthew Hepinstall氏は「高齢者は犬と親密に触れ合うことができる上に、定期的に犬と散歩することで、心身双方の健康が改善する可能性がある」と述べ、犬の散歩によるリスクとベネフィットのバランスを取ることが必要だとしている。.では、なぜ犬の散歩に関連した骨折が増えているのだろうか? Pirruccio氏らは、犬を飼う人が増えていることや高齢者も運動をすべきだと進める風潮が、この傾向を後押ししているのではないかと推測している。.Pirruccio氏は「飼い犬との散歩は、社会的にも精神的にも、そして身体的にも健康へのベネフィットがあると繰り返し唱えられてきた」と強調する。一方で、「散歩中に転倒して負う怪我のリスクを最小限に抑える対策も必要だ」と同氏は述べている。Hepinstall氏もこの意見に同意し、「今回の研究の重要なメッセージは、ペットを飼う際には、高齢者が自分でペットの世話をできるかどうかを十分に考慮した上でペットを選ぶ必要があるということだ」と述べている。また、加齢に伴って、ペットの世話ができるかどうかを見直すことも必要だとしている。(HealthDay News 2019年3月6日).https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/fracture-health-news-322/pooch-peril-more-elderly-are-fracturing-bones-while-dog-walking-743479.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
毎日、リードを引いて犬の散歩をすることは、高齢者にとって運動する良い機会となる一方で、問題点もあるようだ。米ペンシルベニア大学フィラデルフィア校のKevin Pirruccio氏らが実施した研究で、米国では近年、犬の散歩中に骨折する高齢者が倍増していることが明らかになった。研究の詳細は「JAMA Surgery」3月6日オンライン版に掲載された。この研究は、米国消費者製品安全委員会による全米外傷調査プログラムのデータベース(National Electronic Injury Surveillance System All Injury Program Database)から得たデータを後ろ向きに解析したもの。65歳以上の高齢者を対象に、ペット用品に関連した骨折のデータを調べた。.その結果、犬の散歩に伴う骨折が原因で救急外来を受診した65歳以上の高齢者は年間で、2004年の1,671人から2017年には4,396人へと倍増したことが分かった。こうした骨折の4分の3以上は女性で発生し、骨折の部位は大腿骨近位部と上腕が最も多かった。また、全ての骨折の約半数は上半身で起こっており、リードを持つ手首と上腕、指、肩で多く見られた。.さらに、最も頻度が高い骨折のタイプは大腿骨近位部骨折で、全体の17%を占めていた。Pirruccio氏らによると、65歳以上の高齢者では、大腿骨近位部骨折に関連した死亡率は30%に近いことが報告されており、懸念される原因になっているという。.ただし、Pirruccio氏らは、今回の研究は救急外来で治療を受けた骨折だけを対象に分析したにすぎないと指摘する。高齢者が犬の散歩中に怪我をした実際の件数は、病院を受診するほどではない怪我を含めるとさらに増える可能性があるとしている。しかし、共同研究者の一人は、「それでも、散歩に犬を連れて行くことは健康に大きなベネフィットをもたらすだろう」と述べている。.この研究には関与していない米レノックス・ヒル病院のMatthew Hepinstall氏は「高齢者は犬と親密に触れ合うことができる上に、定期的に犬と散歩することで、心身双方の健康が改善する可能性がある」と述べ、犬の散歩によるリスクとベネフィットのバランスを取ることが必要だとしている。.では、なぜ犬の散歩に関連した骨折が増えているのだろうか? Pirruccio氏らは、犬を飼う人が増えていることや高齢者も運動をすべきだと進める風潮が、この傾向を後押ししているのではないかと推測している。.Pirruccio氏は「飼い犬との散歩は、社会的にも精神的にも、そして身体的にも健康へのベネフィットがあると繰り返し唱えられてきた」と強調する。一方で、「散歩中に転倒して負う怪我のリスクを最小限に抑える対策も必要だ」と同氏は述べている。Hepinstall氏もこの意見に同意し、「今回の研究の重要なメッセージは、ペットを飼う際には、高齢者が自分でペットの世話をできるかどうかを十分に考慮した上でペットを選ぶ必要があるということだ」と述べている。また、加齢に伴って、ペットの世話ができるかどうかを見直すことも必要だとしている。(HealthDay News 2019年3月6日).https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/fracture-health-news-322/pooch-peril-more-elderly-are-fracturing-bones-while-dog-walking-743479.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.