米国人が服用している医薬品の90%以上に、アレルギー反応を引き起こす可能性のある「医薬品添加物」が含まれていることが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のC. Giovanni Traverso氏らが行った研究で明らかになった。この研究結果は「Science Translational Medicine」3月13日オンライン版に掲載された。Traverso氏らによると、医薬品には、味の改良や保存期間の延長、吸収率の向上、不正開封の防止などの目的で、乳糖、ピーナッツオイル、グルテン、化学染料といった成分が添加されており、こうした添加物がアレルギー反応を誘発することがあるという。同氏は「ほとんどの錠剤は添加物が約75%を占め、有効成分は25%程度である」と説明している。.また、Traverso氏らによれば、1つの錠剤やカプセルに含まれている添加物は平均8種類で、多いものでは38種類にもなるという。このため、医薬品添加物に重度のアレルギー反応を起こした患者の報告例も少なくない。.「患者に薬剤を処方する際、医師は有効成分にしか気を留めないものだ。しかし、医師も患者も薬剤には添加物が含まれていることを意識すべきであり、医師は、そうした添加物に対するアレルギーについても患者に確認をとる必要がある」と同氏は述べている。.今回の研究では、4万2,000種類以上の医薬品に含まれる添加物に着目し、分析した。対象とされた錠剤やカプセルからは、約36万の添加物が認められた。.分析の結果、服用後にアレルギー反応を引き起こす可能性のある成分が38種類見つかった。また、対象とした医薬品の93%には、そのような成分が1種類以上含まれていた。さらに、約45%に乳糖、33%に食用色素、1%弱にピーナッツオイルが含まれていることが分かった。.多くの場合、このような成分を含まない薬剤を処方することは可能だが、ピーナッツオイルを含有するプロゲステロンのように代替薬がほとんどないものもある。なお、医薬品に含まれる成分は、大抵は添付文書に記載されており、米国立医学図書館(NLM)のデータベースでも確認できるという。.Traverso氏によれば、医薬品添加物により、蕁麻疹や呼吸困難、胃腸症状などのアレルギー反応が引き起こされることがある。しかし、現時点では、アレルギー反応を誘発する成分量などは明らかになっていない。例えば、乳糖などは含有量がごく少量であるため、患者が重度の乳糖不耐症である場合や、ラクトースを含んだ薬剤を複数服用した場合でない限り、アレルギー反応は現れないこともあるという。.今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター教授のMarc Siegel氏は「近年、アレルギーや乳糖不耐症が増えていることからも、医師は、薬剤を処方する際にはますます慎重になる必要がある」と述べている。また、薬剤に対するアレルギーが、実はその薬剤自体ではなく、そこに含まれている添加物に対してアレルギー反応を起こしている可能性があることにも触れ、「医師は、実際にはアレルギーを起こしていない物質に対してアレルギーがあると思い込んでいる可能性もある」と付け加えている。(HealthDay News 2019年3月13日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/prescription-drug-news-551/are-inactive-ingredients-in-your-drugs-really-so-harmless-743778.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
米国人が服用している医薬品の90%以上に、アレルギー反応を引き起こす可能性のある「医薬品添加物」が含まれていることが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のC. Giovanni Traverso氏らが行った研究で明らかになった。この研究結果は「Science Translational Medicine」3月13日オンライン版に掲載された。Traverso氏らによると、医薬品には、味の改良や保存期間の延長、吸収率の向上、不正開封の防止などの目的で、乳糖、ピーナッツオイル、グルテン、化学染料といった成分が添加されており、こうした添加物がアレルギー反応を誘発することがあるという。同氏は「ほとんどの錠剤は添加物が約75%を占め、有効成分は25%程度である」と説明している。.また、Traverso氏らによれば、1つの錠剤やカプセルに含まれている添加物は平均8種類で、多いものでは38種類にもなるという。このため、医薬品添加物に重度のアレルギー反応を起こした患者の報告例も少なくない。.「患者に薬剤を処方する際、医師は有効成分にしか気を留めないものだ。しかし、医師も患者も薬剤には添加物が含まれていることを意識すべきであり、医師は、そうした添加物に対するアレルギーについても患者に確認をとる必要がある」と同氏は述べている。.今回の研究では、4万2,000種類以上の医薬品に含まれる添加物に着目し、分析した。対象とされた錠剤やカプセルからは、約36万の添加物が認められた。.分析の結果、服用後にアレルギー反応を引き起こす可能性のある成分が38種類見つかった。また、対象とした医薬品の93%には、そのような成分が1種類以上含まれていた。さらに、約45%に乳糖、33%に食用色素、1%弱にピーナッツオイルが含まれていることが分かった。.多くの場合、このような成分を含まない薬剤を処方することは可能だが、ピーナッツオイルを含有するプロゲステロンのように代替薬がほとんどないものもある。なお、医薬品に含まれる成分は、大抵は添付文書に記載されており、米国立医学図書館(NLM)のデータベースでも確認できるという。.Traverso氏によれば、医薬品添加物により、蕁麻疹や呼吸困難、胃腸症状などのアレルギー反応が引き起こされることがある。しかし、現時点では、アレルギー反応を誘発する成分量などは明らかになっていない。例えば、乳糖などは含有量がごく少量であるため、患者が重度の乳糖不耐症である場合や、ラクトースを含んだ薬剤を複数服用した場合でない限り、アレルギー反応は現れないこともあるという。.今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター教授のMarc Siegel氏は「近年、アレルギーや乳糖不耐症が増えていることからも、医師は、薬剤を処方する際にはますます慎重になる必要がある」と述べている。また、薬剤に対するアレルギーが、実はその薬剤自体ではなく、そこに含まれている添加物に対してアレルギー反応を起こしている可能性があることにも触れ、「医師は、実際にはアレルギーを起こしていない物質に対してアレルギーがあると思い込んでいる可能性もある」と付け加えている。(HealthDay News 2019年3月13日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/prescription-drug-news-551/are-inactive-ingredients-in-your-drugs-really-so-harmless-743778.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.