幼児期の読み聞かせには、電子書籍よりも昔ながらの紙の本を選ぶ方が良いようだ。米ミシガン大学C.S. Mott小児病院小児発達行動学のTiffany Munzer氏らによる研究で、紙の本で読み聞かせをすると、電子書籍と比べて親子の会話や触れあいが増えることが分かった。音声やアニメーション機能がないシンプルな電子書籍と比べても、結果は同様であったという。研究の詳細は「Pediatrics」3月25日オンライン版に掲載された。Munzer氏らは、37組の親子を対象に、紙の本と基本機能のみの電子書籍、拡張機能付きの電子書籍のそれぞれを用いて読み聞かせをする様子をビデオに撮影して観察した。本はいずれもマーサー・メイヤーの「Little Critter」シリーズからのもので、長さや難易度は同程度だった。基本機能のみの電子書籍はスワイプでページをめくったり、タップすると単語が表示されたりしたが、音声などの機能は付いてなかった。一方、拡張機能付きの電子書籍には、ナレーションなどの音声やアニメーションなどの機能が付いていた。.分析の結果、紙の本で読み聞かせをした方が、親子の会話が多く、子どもの発達を促すような触れあいが多く見られることが分かった。例えば、動物の絵を指して鳴き声を尋ねたり、ストーリーを子ども自身の体験に関連付けて、「海に行ったときのことを覚えている?」などと話しかけたりする傾向も見られた。また、本を持ってページをめくるような動作を一緒に行うことも多かった。.一方、電子書籍で読み聞かせをすると、子どもはストーリーよりも画面をタップしたり、スワイプしたりする動作に集中しやすいことも分かった。また、読み聞かせをする親の方も電子機器の操作に気を取られ、本を読むよりもタブレットの操作を子どもに教えることに時間を費やす傾向が見られたという。.付随論評を執筆した米ニューヨーク大学医学部小児科のSuzy Tomopoulos氏らは、常々、電子書籍の音声や動画などの拡張機能は、読書の妨げになるのではと考えていたという。しかし、Munzer氏らの研究結果を受け、「読み聞かせに電子書籍を勧められないのは、音声や動画などの拡張機能だけが理由ではないようだ。電子書籍を用いた読み聞かせでは、紙の本よりも読書体験を人と共有するのが難しいのではないか」と述べている。.これまでの研究で、未就学児や低学年の子どもは、電子書籍で読書をすると、紙の本と比べて読解力が低く、物語の出来事や詳細を覚えている確率が低いことが示されていた。しかし、親子が一緒に電子書籍を読むことについては、ほとんど研究されてこなかった。.Munzer氏は「注意力が急速に発達する幼児期には、電子書籍の音声や動画といった拡張機能の影響を受けやすく、気が散りやすいのでは」との見方を示す。同氏もTomopoulos氏と同意見で、「タブレットなどの電子機器は、親子で読み聞かせの体験を共有するのには向いていない」と話している。.これほど普及したタブレットや電子書籍リーダーを、生活に取り入れないようにするのは難しいことかもしれない。しかし、Munzer、Tomopoulosの両氏は「これらは、読み聞かせには、なるべく使用を控える方が良い」と助言する。さらに、Tomopoulos氏は「もし電子書籍を使う場合には、本の内容をなるべく言葉にして表現するよう心掛けるなどの工夫をすべきだ」と付け加えている。(HealthDay News 2019年3月25日).https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/child-development-news-124/toddlers-may-gain-more-from-paper-books-than-e-books-study-744140.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
幼児期の読み聞かせには、電子書籍よりも昔ながらの紙の本を選ぶ方が良いようだ。米ミシガン大学C.S. Mott小児病院小児発達行動学のTiffany Munzer氏らによる研究で、紙の本で読み聞かせをすると、電子書籍と比べて親子の会話や触れあいが増えることが分かった。音声やアニメーション機能がないシンプルな電子書籍と比べても、結果は同様であったという。研究の詳細は「Pediatrics」3月25日オンライン版に掲載された。Munzer氏らは、37組の親子を対象に、紙の本と基本機能のみの電子書籍、拡張機能付きの電子書籍のそれぞれを用いて読み聞かせをする様子をビデオに撮影して観察した。本はいずれもマーサー・メイヤーの「Little Critter」シリーズからのもので、長さや難易度は同程度だった。基本機能のみの電子書籍はスワイプでページをめくったり、タップすると単語が表示されたりしたが、音声などの機能は付いてなかった。一方、拡張機能付きの電子書籍には、ナレーションなどの音声やアニメーションなどの機能が付いていた。.分析の結果、紙の本で読み聞かせをした方が、親子の会話が多く、子どもの発達を促すような触れあいが多く見られることが分かった。例えば、動物の絵を指して鳴き声を尋ねたり、ストーリーを子ども自身の体験に関連付けて、「海に行ったときのことを覚えている?」などと話しかけたりする傾向も見られた。また、本を持ってページをめくるような動作を一緒に行うことも多かった。.一方、電子書籍で読み聞かせをすると、子どもはストーリーよりも画面をタップしたり、スワイプしたりする動作に集中しやすいことも分かった。また、読み聞かせをする親の方も電子機器の操作に気を取られ、本を読むよりもタブレットの操作を子どもに教えることに時間を費やす傾向が見られたという。.付随論評を執筆した米ニューヨーク大学医学部小児科のSuzy Tomopoulos氏らは、常々、電子書籍の音声や動画などの拡張機能は、読書の妨げになるのではと考えていたという。しかし、Munzer氏らの研究結果を受け、「読み聞かせに電子書籍を勧められないのは、音声や動画などの拡張機能だけが理由ではないようだ。電子書籍を用いた読み聞かせでは、紙の本よりも読書体験を人と共有するのが難しいのではないか」と述べている。.これまでの研究で、未就学児や低学年の子どもは、電子書籍で読書をすると、紙の本と比べて読解力が低く、物語の出来事や詳細を覚えている確率が低いことが示されていた。しかし、親子が一緒に電子書籍を読むことについては、ほとんど研究されてこなかった。.Munzer氏は「注意力が急速に発達する幼児期には、電子書籍の音声や動画といった拡張機能の影響を受けやすく、気が散りやすいのでは」との見方を示す。同氏もTomopoulos氏と同意見で、「タブレットなどの電子機器は、親子で読み聞かせの体験を共有するのには向いていない」と話している。.これほど普及したタブレットや電子書籍リーダーを、生活に取り入れないようにするのは難しいことかもしれない。しかし、Munzer、Tomopoulosの両氏は「これらは、読み聞かせには、なるべく使用を控える方が良い」と助言する。さらに、Tomopoulos氏は「もし電子書籍を使う場合には、本の内容をなるべく言葉にして表現するよう心掛けるなどの工夫をすべきだ」と付け加えている。(HealthDay News 2019年3月25日).https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/child-development-news-124/toddlers-may-gain-more-from-paper-books-than-e-books-study-744140.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.