2型糖尿病治療の第一選択薬として汎用されるメトホルミンは、糖尿病予備群の人が減量した体重を長期にわたり維持するのに有用な可能性があることが、米ペニントン生物医学研究センターのKishore Gadde氏らの研究で示された。メトホルミンを服用中に減量した群では、研究開始前から平均で体重の約6%の減量を6~15年間維持でき、その効果は生活習慣改善群を上回ることが分かった。研究の詳細は「Annals of Internal Medicine」4月23日オンライン版に掲載された。この研究は、糖尿病予備群を対象に、2型糖尿病への進展予防に有用な介入法を検討した3年間の糖尿病予防プログラム(DPP)試験を延長したDPP Outcomes試験(DPPOS)を分析したもの。DPP試験の参加者は、メトホルミン投与群または健康的な食生活と定期的な運動による生活習慣の改善を行う群、プラセボ群のいずれかにランダムに割り付けられた。.今回は、DPP試験に参加した糖尿病予備群3,234人のうち、介入開始から1年以内に体重の5%以上の減量に成功した1,066人を対象に15年間追跡し、減量した体重の維持につながる要因について調べた。.その結果、メトホルミンを服用中に減量した群では、研究開始前から平均で体重の6.2%の減量を6~15年間維持し、その割合は生活習慣改善群の3.7%、プラセボ群の2.8%を大きく上回っていた。また、介入開始から最初の1年間の減量幅が大きいことや高齢であること、メトホルミンの服用を継続することなどが、減量した体重を長期にわたり維持する予測因子であることが分かった。.しかし、追跡開始から1年後では、体重の5%以上の減量を達成した割合は、メトホルミン服用群の28.5%、プラセボ群の13.4%に比べて、生活習慣改善群では62.6%とはるかに高かった。そのため、Gadde氏は「生活習慣の改善は、初期には減量効果に優れていたのに対し、メトホルミンの服用は減量後の体重を長期的に維持するのに有用であった」と述べている。.ただ、メトホルミンが減量した体重の維持に優れている理由については明らかになっていない。Gadde氏は「メトホルミンを服用すると、食欲が抑えられて食べる量がある程度は減るが、劇的な減量効果をもたらすほどではなく、エネルギー消費が大きく変わるようなこともない」と説明している。.また、最近の研究では、メトホルミンは腸内細菌叢に変化をもたらしたり、筋肉の機能に影響したりする可能性が示唆されているが、「これらの関与についてはさらなる研究が必要だ」とGadde氏は述べている。さらに、同氏は、この研究の対象は糖尿病予備群に限られているため、「糖尿病リスクが低い人に対するメトホルミンの影響については明らかになっていない」と付け加えている。.専門家の一人で、米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏も「この研究は非常に良くデザインされたものだ」と評価する一方で、メトホルミンが誰に対しても有効なことを示したものではなく、「メトホルミンを服用した人では、減量後のリバウンドが小さかったことを反映したものだ」と指摘している。また、同氏によれば、多くの人はメトホルミンに対する忍容性がなく、吐き気や下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があるという。(HealthDay News 2019年4月22日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-drug-news-179/could-diabetes-drug-metformin-help-keep-people-slim-745382.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
2型糖尿病治療の第一選択薬として汎用されるメトホルミンは、糖尿病予備群の人が減量した体重を長期にわたり維持するのに有用な可能性があることが、米ペニントン生物医学研究センターのKishore Gadde氏らの研究で示された。メトホルミンを服用中に減量した群では、研究開始前から平均で体重の約6%の減量を6~15年間維持でき、その効果は生活習慣改善群を上回ることが分かった。研究の詳細は「Annals of Internal Medicine」4月23日オンライン版に掲載された。この研究は、糖尿病予備群を対象に、2型糖尿病への進展予防に有用な介入法を検討した3年間の糖尿病予防プログラム(DPP)試験を延長したDPP Outcomes試験(DPPOS)を分析したもの。DPP試験の参加者は、メトホルミン投与群または健康的な食生活と定期的な運動による生活習慣の改善を行う群、プラセボ群のいずれかにランダムに割り付けられた。.今回は、DPP試験に参加した糖尿病予備群3,234人のうち、介入開始から1年以内に体重の5%以上の減量に成功した1,066人を対象に15年間追跡し、減量した体重の維持につながる要因について調べた。.その結果、メトホルミンを服用中に減量した群では、研究開始前から平均で体重の6.2%の減量を6~15年間維持し、その割合は生活習慣改善群の3.7%、プラセボ群の2.8%を大きく上回っていた。また、介入開始から最初の1年間の減量幅が大きいことや高齢であること、メトホルミンの服用を継続することなどが、減量した体重を長期にわたり維持する予測因子であることが分かった。.しかし、追跡開始から1年後では、体重の5%以上の減量を達成した割合は、メトホルミン服用群の28.5%、プラセボ群の13.4%に比べて、生活習慣改善群では62.6%とはるかに高かった。そのため、Gadde氏は「生活習慣の改善は、初期には減量効果に優れていたのに対し、メトホルミンの服用は減量後の体重を長期的に維持するのに有用であった」と述べている。.ただ、メトホルミンが減量した体重の維持に優れている理由については明らかになっていない。Gadde氏は「メトホルミンを服用すると、食欲が抑えられて食べる量がある程度は減るが、劇的な減量効果をもたらすほどではなく、エネルギー消費が大きく変わるようなこともない」と説明している。.また、最近の研究では、メトホルミンは腸内細菌叢に変化をもたらしたり、筋肉の機能に影響したりする可能性が示唆されているが、「これらの関与についてはさらなる研究が必要だ」とGadde氏は述べている。さらに、同氏は、この研究の対象は糖尿病予備群に限られているため、「糖尿病リスクが低い人に対するメトホルミンの影響については明らかになっていない」と付け加えている。.専門家の一人で、米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏も「この研究は非常に良くデザインされたものだ」と評価する一方で、メトホルミンが誰に対しても有効なことを示したものではなく、「メトホルミンを服用した人では、減量後のリバウンドが小さかったことを反映したものだ」と指摘している。また、同氏によれば、多くの人はメトホルミンに対する忍容性がなく、吐き気や下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があるという。(HealthDay News 2019年4月22日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-drug-news-179/could-diabetes-drug-metformin-help-keep-people-slim-745382.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.