妊娠中の母親の飲酒は、流産や死産のリスクを高めたり、胎児の健康に悪影響を及ぼしたりすることが知られている。しかし、米疾病対策センター(CDC)傘下の国立出生異常・発達障害センター(NCBDDD)のClark Denny氏らが実施した調査から、妊娠中の女性の約9人に1人が飲酒をしている実態が明らかになった。このうち約3分の1の女性は大量飲酒をしていることも分かったという。調査結果の詳細は、CDCが発行する「Morbidity and Mortality Weekly Report」4月26日号で発表された。Denny氏は、2015~2017年の行動リスク因子サーベイランスシステム(Behavioral Risk Factor Surveillance System)のデータを用いて、18~44歳の妊婦6,814人を対象に飲酒の実態を調べた。.その結果、対象とした妊婦の11.5%は過去30日以内に複数回、飲酒をしており、3.9%は大量飲酒(過去30日以内に1回で4杯以上のアルコールを摂取)をしたと報告していた。大量飲酒の頻度は、過去30日以内に平均4.5回であり、1回当たり平均6杯以上のアルコールを摂取していた。さらに、飲酒や大量飲酒をしている妊婦の割合は、2011~2013年の報告(それぞれ10.2%、3.1%)よりもわずかに上昇したことも分かった。.また、今回の研究では、未婚の妊婦は、既婚の妊婦と比べて飲酒をする割合は約2倍、大量飲酒をする割合は約3倍に上ることも明らかになった。この結果について、Denny氏らは、未婚の妊婦では、妊娠中により大きな経済的ストレスなどが加わったことが飲酒の頻度が高い一因だった可能性があるのではとの見方を示している。.これまでの研究で、妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール症候群や中枢神経系に関わる先天性疾患のほか、行動上の問題、知的発達障害をもたらすだけでなく、流産や死産のリスクも高まることが報告されている。Denny氏は「妊娠中に血中アルコール濃度が高まると、発達中の胎児の脳に有害な作用を及ぼす可能性がある」と警告している。.この研究には関与していない米コーエン小児医療センター小児科部長のSophia Jan氏は「女性の間で、いまだに妊娠中の飲酒について誤解がある」と指摘する。その上で、「妊婦に安全な飲酒量というものはなく、摂取量に関係なくアルコールは有害だ」と強調する。.また、同氏は、妊娠期間を通して飲酒はリスクを伴うものだが、「妊娠初期の3カ月間は特に有害だ」とし、妊娠に気付かずに飲酒をしている場合も多いことや、妊娠を希望する場合は飲酒を避けるべきことを指摘している。.同じく専門家で米レノックス・ヒル病院の産婦人科医であるJennifer Wu氏もこれに同意し、「医師は、妊娠が分かったときだけでなく、妊娠期間を通して飲酒のリスクについて女性に伝えていく必要がある」と述べている。また、妊娠中や妊娠を希望するにもかかわらず飲酒をやめることができない女性に対しては、「プライマリケア医や産科医、婦人科医、アルコール依存症のグループやアルコール治療センターのスタッフなど専門家に相談してほしい」と呼び掛けている。(HealthDay News 2019年4月25日).https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/pregnancy-news-543/1-in-9-u-s-women-drink-during-pregnancy-and-numbers-are-rising-745537.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
妊娠中の母親の飲酒は、流産や死産のリスクを高めたり、胎児の健康に悪影響を及ぼしたりすることが知られている。しかし、米疾病対策センター(CDC)傘下の国立出生異常・発達障害センター(NCBDDD)のClark Denny氏らが実施した調査から、妊娠中の女性の約9人に1人が飲酒をしている実態が明らかになった。このうち約3分の1の女性は大量飲酒をしていることも分かったという。調査結果の詳細は、CDCが発行する「Morbidity and Mortality Weekly Report」4月26日号で発表された。Denny氏は、2015~2017年の行動リスク因子サーベイランスシステム(Behavioral Risk Factor Surveillance System)のデータを用いて、18~44歳の妊婦6,814人を対象に飲酒の実態を調べた。.その結果、対象とした妊婦の11.5%は過去30日以内に複数回、飲酒をしており、3.9%は大量飲酒(過去30日以内に1回で4杯以上のアルコールを摂取)をしたと報告していた。大量飲酒の頻度は、過去30日以内に平均4.5回であり、1回当たり平均6杯以上のアルコールを摂取していた。さらに、飲酒や大量飲酒をしている妊婦の割合は、2011~2013年の報告(それぞれ10.2%、3.1%)よりもわずかに上昇したことも分かった。.また、今回の研究では、未婚の妊婦は、既婚の妊婦と比べて飲酒をする割合は約2倍、大量飲酒をする割合は約3倍に上ることも明らかになった。この結果について、Denny氏らは、未婚の妊婦では、妊娠中により大きな経済的ストレスなどが加わったことが飲酒の頻度が高い一因だった可能性があるのではとの見方を示している。.これまでの研究で、妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール症候群や中枢神経系に関わる先天性疾患のほか、行動上の問題、知的発達障害をもたらすだけでなく、流産や死産のリスクも高まることが報告されている。Denny氏は「妊娠中に血中アルコール濃度が高まると、発達中の胎児の脳に有害な作用を及ぼす可能性がある」と警告している。.この研究には関与していない米コーエン小児医療センター小児科部長のSophia Jan氏は「女性の間で、いまだに妊娠中の飲酒について誤解がある」と指摘する。その上で、「妊婦に安全な飲酒量というものはなく、摂取量に関係なくアルコールは有害だ」と強調する。.また、同氏は、妊娠期間を通して飲酒はリスクを伴うものだが、「妊娠初期の3カ月間は特に有害だ」とし、妊娠に気付かずに飲酒をしている場合も多いことや、妊娠を希望する場合は飲酒を避けるべきことを指摘している。.同じく専門家で米レノックス・ヒル病院の産婦人科医であるJennifer Wu氏もこれに同意し、「医師は、妊娠が分かったときだけでなく、妊娠期間を通して飲酒のリスクについて女性に伝えていく必要がある」と述べている。また、妊娠中や妊娠を希望するにもかかわらず飲酒をやめることができない女性に対しては、「プライマリケア医や産科医、婦人科医、アルコール依存症のグループやアルコール治療センターのスタッフなど専門家に相談してほしい」と呼び掛けている。(HealthDay News 2019年4月25日).https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/pregnancy-news-543/1-in-9-u-s-women-drink-during-pregnancy-and-numbers-are-rising-745537.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.