嗜好用の大麻が合法とされる米ワシントン州では、車内に子どもが同乗していても、大麻の主成分が体内に残った状態で運転しているドライバーが少なくないことが、米国道路安全保険協会(IIHS)のAngela Eichelberger氏らの研究で明らかになった。約2,000人のドライバーを対象に路上検査を行った結果、子どもを乗せて運転していたドライバーの14%から大麻成分の一つであるテトラヒドロカンナビノール(THC)が検出されたという。研究の詳細は「Journal of Studies on Alcohol and Drugs」4月24日オンライン版に掲載された。この研究は、ワシントン州の2,056人のドライバー(男性1,238人)を対象に実施したもの。信号で停車した車の運転手に協力を依頼し、呼気、唾液、血液のサンプルを採取して大麻の使用と飲酒の有無を判定した。.その結果、子どもを乗せて運転していたドライバーでは、そうではない場合に比べて呼気検査でアルコール陽性と判定された割合は有意に低かったが(0.2%対4.5%、P<0.0001)、THC陽性反応を示した割合には有意な差はみられないことが分かった(14.1%対17.7%、P=0.29)。なお、子どもを同乗させていたドライバーでは、血中アルコール濃度が法定限度を超えていた人はいなかったという。.Eichelberger氏は「子どもを同乗させる場合、運転手は飲酒を控える傾向がみられたが、大麻の使用については、子どもの同乗の有無で有意な差は認められなかった」と述べている。.ただし、Eichelberger氏は、THCが検出されたからといって必ずしも大麻で高揚した状態で運転していたわけではなく、「単に最近、大麻を使用したことを示しているにすぎない」と強調する。同氏によると、大麻の使用と交通事故との関連については明らかになっていない。実際には、THCが陽性反応を示すドライバーは別の物質も使用していることが多いほか、そうした人は年齢が若く、年齢自体が交通事故のリスク因子でもあるという。.しかし、Eichelberger氏によれば、実験室レベルでの研究では、大麻の使用は運転技能を妨げる可能性が示されている。しかし、運転する前にどのくらいの量なら摂取してよいのか、また、摂取後には、運転までどのくらい時間を空ければよいのかといった境界値については、コンセンサスは得られていない。.さらに、大麻を使用する方法も重要なようだ。経口摂取の場合は喫煙よりも効果が出るまでに時間がかかる。そのため、Eichelberger氏は「もし大麻の使用後に何らかの効果を感じているならば、運転は避けるべきだ。また、大麻を使用した直後には運転をすべきではない」と述べている。.この研究には関与していない、飲酒運転の根絶を目指す市民団体「Mothers Against Drunk Driving」のJ.T. Griffin氏は「大きな疑問は、大麻に陽性反応を示す人々が正常に運転できる状態であるのかということだ」と指摘する。医療用や嗜好用の大麻を合法化する州はますます増えていることからも、同氏は「こうした基本的な疑問に答えることが重要だ」と述べ、大麻が効いていると感じている間は運転すべきではないとするEichelberger氏らの考えに同意している。.ワシントン州では2012年に嗜好用大麻が合法化され、他の州でも検討が進められている。別の研究では、嗜好用大麻が合法化された一部の州では、交通事故がわずかながらも増加していることが報告されているという。(HealthDay News 2019年4月25日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/marijuana-news-759/many-drivers-testing-positive-for-marijuana-even-with-kids-in-car-745521.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
嗜好用の大麻が合法とされる米ワシントン州では、車内に子どもが同乗していても、大麻の主成分が体内に残った状態で運転しているドライバーが少なくないことが、米国道路安全保険協会(IIHS)のAngela Eichelberger氏らの研究で明らかになった。約2,000人のドライバーを対象に路上検査を行った結果、子どもを乗せて運転していたドライバーの14%から大麻成分の一つであるテトラヒドロカンナビノール(THC)が検出されたという。研究の詳細は「Journal of Studies on Alcohol and Drugs」4月24日オンライン版に掲載された。この研究は、ワシントン州の2,056人のドライバー(男性1,238人)を対象に実施したもの。信号で停車した車の運転手に協力を依頼し、呼気、唾液、血液のサンプルを採取して大麻の使用と飲酒の有無を判定した。.その結果、子どもを乗せて運転していたドライバーでは、そうではない場合に比べて呼気検査でアルコール陽性と判定された割合は有意に低かったが(0.2%対4.5%、P<0.0001)、THC陽性反応を示した割合には有意な差はみられないことが分かった(14.1%対17.7%、P=0.29)。なお、子どもを同乗させていたドライバーでは、血中アルコール濃度が法定限度を超えていた人はいなかったという。.Eichelberger氏は「子どもを同乗させる場合、運転手は飲酒を控える傾向がみられたが、大麻の使用については、子どもの同乗の有無で有意な差は認められなかった」と述べている。.ただし、Eichelberger氏は、THCが検出されたからといって必ずしも大麻で高揚した状態で運転していたわけではなく、「単に最近、大麻を使用したことを示しているにすぎない」と強調する。同氏によると、大麻の使用と交通事故との関連については明らかになっていない。実際には、THCが陽性反応を示すドライバーは別の物質も使用していることが多いほか、そうした人は年齢が若く、年齢自体が交通事故のリスク因子でもあるという。.しかし、Eichelberger氏によれば、実験室レベルでの研究では、大麻の使用は運転技能を妨げる可能性が示されている。しかし、運転する前にどのくらいの量なら摂取してよいのか、また、摂取後には、運転までどのくらい時間を空ければよいのかといった境界値については、コンセンサスは得られていない。.さらに、大麻を使用する方法も重要なようだ。経口摂取の場合は喫煙よりも効果が出るまでに時間がかかる。そのため、Eichelberger氏は「もし大麻の使用後に何らかの効果を感じているならば、運転は避けるべきだ。また、大麻を使用した直後には運転をすべきではない」と述べている。.この研究には関与していない、飲酒運転の根絶を目指す市民団体「Mothers Against Drunk Driving」のJ.T. Griffin氏は「大きな疑問は、大麻に陽性反応を示す人々が正常に運転できる状態であるのかということだ」と指摘する。医療用や嗜好用の大麻を合法化する州はますます増えていることからも、同氏は「こうした基本的な疑問に答えることが重要だ」と述べ、大麻が効いていると感じている間は運転すべきではないとするEichelberger氏らの考えに同意している。.ワシントン州では2012年に嗜好用大麻が合法化され、他の州でも検討が進められている。別の研究では、嗜好用大麻が合法化された一部の州では、交通事故がわずかながらも増加していることが報告されているという。(HealthDay News 2019年4月25日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/marijuana-news-759/many-drivers-testing-positive-for-marijuana-even-with-kids-in-car-745521.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.