子どもは高カロリーな加糖飲料よりも、低カロリーな人工甘味料入り飲料を多く摂取しても、摂取カロリーの削減にはつながらない可能性があることが、米ジョージ・ワシントン大学ミルケン公衆衛生大学院のAllison Sylvetsky氏らの研究で示された。同氏らは、この研究結果は、子どもの肥満対策には、加糖飲料や人工甘味料入り飲料ではなく、水を飲むべきだとする米国心臓協会(AHA)などの推奨を裏付けるものだとしている。研究の詳細は「Pediatric Obesity」5月2日オンライン版に掲載された。この研究は、Sylvetsky氏らが2011~2016年の米国民健康栄養調査(NHANES)のデータを分析したもの。7,026人の子どもや10歳代の若者から24時間思い出し法で得られた栄養調査の結果に基づき、低カロリー飲料または加糖飲料を多く飲む群、あるいは両方を飲む群と水を飲む群の総エネルギーおよび主要栄養素の摂取量を比較検討した。.なお、「水を飲む群」は1日に約120mL以上の水を摂取し、砂糖や人工甘味料入り飲料をほとんど摂取しない場合とし、「低カロリー飲料群」と「加糖飲料群」はいずれか一方を1日に約120mL以上飲む場合、「両方を飲む群」はいずれも同量を飲む場合と定義した。また、「低カロリー飲料」には、「無糖」「ダイエット」「ライト(カロリー控えめ)」「低カロリー」「ゼロカロリー」と表示された全ての飲料が含まれていた。.その結果、1日の総カロリー摂取量と食品に添加された砂糖を含む全ての砂糖の摂取量は、水を飲む群で最も少なかった。一方、1日の総カロリー摂取量(平均)は、水を飲む群に比べて低カロリー飲料を飲む群では196kcal多く、加糖飲料を飲む群では312kcal、両方飲む群では450kcalそれぞれ多いことが分かった(いずれもP<0.05)。.また、低カロリー飲料を飲む群と加糖飲料を飲む群では、1日の総カロリー摂取量には差はみられなかった。一方、低カロリー飲料を飲む群では、加糖飲料を飲む群に比べて1日に摂取する全ての砂糖の摂取量は少なかった。.これらの結果を受け、Sylvetsky氏は「水分補給には水を飲むのが最善の選択肢だ。たとえ低カロリーであっても人工甘味料入り飲料を避け、水を飲むべきだ」と結論づけている。しかし、子どもに甘い飲み物よりも水を選択させるのは難しいようだ。先週、米ペンシルバニア州立大学の研究グループが発表した調査によれば、米国では、子どもの5人に1人はほぼ毎日、水をほとんど飲んでいないことが報告されているという。.この研究には関与していない米国栄養士会(Academy of Nutrition and Dietetics)のスポークスパーソンで、管理栄養士のJulie Stefanski氏は、飲料は食べ物の好みに影響する場合があり、「成人を対象とした複数の研究で、人工甘味料を摂取すると甘い食べ物への欲求が高まることが報告されている。水を飲めば、こうした甘い食べ物への欲求が抑えられるかもしれない」と述べている。.一方、人工甘味料を扱う業界を代表する非営利団体のカロリー・コントロール協議会(Calorie Control Council)は声明を発表し、「この研究には不明な点が多すぎる。低カロリーの人工甘味料入り飲料が体重管理や摂取カロリーの削減に有用とするこれまでのエビデンスを覆すものではない」と述べている。その上で、今回の研究は因果関係を証明するものではなく、飲料以外の食生活や生活習慣因子が考慮されておらず、自己申告による飲料の摂取量にはバイアスがかかっている可能性があると指摘している。(HealthDay News 2019年5月2日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/sugar-substitutes-news-645/diet-sodas-may-not-help-kids-cut-calories-745846.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
子どもは高カロリーな加糖飲料よりも、低カロリーな人工甘味料入り飲料を多く摂取しても、摂取カロリーの削減にはつながらない可能性があることが、米ジョージ・ワシントン大学ミルケン公衆衛生大学院のAllison Sylvetsky氏らの研究で示された。同氏らは、この研究結果は、子どもの肥満対策には、加糖飲料や人工甘味料入り飲料ではなく、水を飲むべきだとする米国心臓協会(AHA)などの推奨を裏付けるものだとしている。研究の詳細は「Pediatric Obesity」5月2日オンライン版に掲載された。この研究は、Sylvetsky氏らが2011~2016年の米国民健康栄養調査(NHANES)のデータを分析したもの。7,026人の子どもや10歳代の若者から24時間思い出し法で得られた栄養調査の結果に基づき、低カロリー飲料または加糖飲料を多く飲む群、あるいは両方を飲む群と水を飲む群の総エネルギーおよび主要栄養素の摂取量を比較検討した。.なお、「水を飲む群」は1日に約120mL以上の水を摂取し、砂糖や人工甘味料入り飲料をほとんど摂取しない場合とし、「低カロリー飲料群」と「加糖飲料群」はいずれか一方を1日に約120mL以上飲む場合、「両方を飲む群」はいずれも同量を飲む場合と定義した。また、「低カロリー飲料」には、「無糖」「ダイエット」「ライト(カロリー控えめ)」「低カロリー」「ゼロカロリー」と表示された全ての飲料が含まれていた。.その結果、1日の総カロリー摂取量と食品に添加された砂糖を含む全ての砂糖の摂取量は、水を飲む群で最も少なかった。一方、1日の総カロリー摂取量(平均)は、水を飲む群に比べて低カロリー飲料を飲む群では196kcal多く、加糖飲料を飲む群では312kcal、両方飲む群では450kcalそれぞれ多いことが分かった(いずれもP<0.05)。.また、低カロリー飲料を飲む群と加糖飲料を飲む群では、1日の総カロリー摂取量には差はみられなかった。一方、低カロリー飲料を飲む群では、加糖飲料を飲む群に比べて1日に摂取する全ての砂糖の摂取量は少なかった。.これらの結果を受け、Sylvetsky氏は「水分補給には水を飲むのが最善の選択肢だ。たとえ低カロリーであっても人工甘味料入り飲料を避け、水を飲むべきだ」と結論づけている。しかし、子どもに甘い飲み物よりも水を選択させるのは難しいようだ。先週、米ペンシルバニア州立大学の研究グループが発表した調査によれば、米国では、子どもの5人に1人はほぼ毎日、水をほとんど飲んでいないことが報告されているという。.この研究には関与していない米国栄養士会(Academy of Nutrition and Dietetics)のスポークスパーソンで、管理栄養士のJulie Stefanski氏は、飲料は食べ物の好みに影響する場合があり、「成人を対象とした複数の研究で、人工甘味料を摂取すると甘い食べ物への欲求が高まることが報告されている。水を飲めば、こうした甘い食べ物への欲求が抑えられるかもしれない」と述べている。.一方、人工甘味料を扱う業界を代表する非営利団体のカロリー・コントロール協議会(Calorie Control Council)は声明を発表し、「この研究には不明な点が多すぎる。低カロリーの人工甘味料入り飲料が体重管理や摂取カロリーの削減に有用とするこれまでのエビデンスを覆すものではない」と述べている。その上で、今回の研究は因果関係を証明するものではなく、飲料以外の食生活や生活習慣因子が考慮されておらず、自己申告による飲料の摂取量にはバイアスがかかっている可能性があると指摘している。(HealthDay News 2019年5月2日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/sugar-substitutes-news-645/diet-sodas-may-not-help-kids-cut-calories-745846.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.