普段から健康的な食生活を送っている人は、たまに食べ過ぎる程度であれば、身体はすぐに適応して元に戻りやすいことが、ディーキン大学(オーストラリア)身体活動・栄養学研究所准教授のGlenn Wadley氏とDale Morrison氏らが行った研究から示唆された。詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」4月9日オンライン版に発表された。肥満の増加は、米国だけではなく、世界中で解決すべき大きな課題となっている。Wadley氏らは、短期間の過食による血糖値の急激な上昇に身体がどのように反応するのか、また、一時的な食事パターンの変化がその後の糖代謝に及ぼす影響について調べるため、今回の研究を行った。なお、同氏らは、これまでの研究から、短期間の過食をすると、まずは肝臓が障害され、その後、過食を続けると遅れて骨格筋が障害されるという仮説を立てていたという。.研究では、8人の健康な若年男性(平均年齢22歳)を対象に、短い休暇の間にみられる食事パターンをまねて5日間、過食をして過ごしてもらった。その後、28日間にわたって過食を続ける実験にも参加してもらった。なお、1日の食事のエネルギー摂取量のうち約55%は炭水化物が占め、30%は脂肪、15%はたんぱく質とした。こうした食事に加えて、1日当たり約1,000kcal分のチョコレートや高カロリーな飲み物、ポテトチップスなどを食べてもらった。.その結果、5日間の過食で内臓脂肪量は約15%増加したが、体重や体脂肪量に有意な変化はみられなかった。また、空腹時血糖値やインスリン分泌量にも変化はみられなかった。.一方、過食を28日間続けると体重が1.6kg、体脂肪量が1.3kg増加し、食後の血糖値やインスリン応答がわずかに上昇したが、空腹時血糖値には変化はみられなかったという。.これらの結果について、Wadley氏は「普段から健康的な食生活を送り、運動を十分に行っていれば、たまに食べ過ぎてもそれほど後悔する必要はないようだ」と述べている。また、同氏は「炭水化物を増やした短期間の過食に対して、身体は過剰な炭水化物を利用する方へと代謝を変化させて適応したのでは」との見方を示している。.ただし、今回の結果は、週末になるごとに食べ過ぎてもよいという意味ではなく、「健康面を考えると、数日間の短期的な過食は祝祭日や休暇など特別な機会に限定されるべきだ」とWadley氏は強調している。なお、同氏によれば、今回の研究で対象としたのは健康で適正体重の若者だったため、過食をしても身体がうまく適応できた可能性もあるという。そのため、「中年期以降や肥満の人でも同様の結果が得られるかどうかは分からない」と同氏は付け加えている。.今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの管理栄養士であるSamantha Heller氏は、今回の研究では、若い男性でも高カロリー食の摂取を短期間続けると内臓脂肪量が増えたとする結果に注目。「脂肪の中でも、内臓脂肪はより深刻な健康問題を引き起こす。今回の研究からは、普段の食事に戻ってから内臓脂肪がどのくらいの期間、増えたままであったのかは明らかではない」とし、「年に1~2回程度の過食なら問題ないが、週に数回となると話は別だ」と指摘している。(HealthDay News 2019年5月13日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/overeating-health-news-771/body-adapts-recovers-from-occasional-pigging-out-study-finds-746058.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
普段から健康的な食生活を送っている人は、たまに食べ過ぎる程度であれば、身体はすぐに適応して元に戻りやすいことが、ディーキン大学(オーストラリア)身体活動・栄養学研究所准教授のGlenn Wadley氏とDale Morrison氏らが行った研究から示唆された。詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」4月9日オンライン版に発表された。肥満の増加は、米国だけではなく、世界中で解決すべき大きな課題となっている。Wadley氏らは、短期間の過食による血糖値の急激な上昇に身体がどのように反応するのか、また、一時的な食事パターンの変化がその後の糖代謝に及ぼす影響について調べるため、今回の研究を行った。なお、同氏らは、これまでの研究から、短期間の過食をすると、まずは肝臓が障害され、その後、過食を続けると遅れて骨格筋が障害されるという仮説を立てていたという。.研究では、8人の健康な若年男性(平均年齢22歳)を対象に、短い休暇の間にみられる食事パターンをまねて5日間、過食をして過ごしてもらった。その後、28日間にわたって過食を続ける実験にも参加してもらった。なお、1日の食事のエネルギー摂取量のうち約55%は炭水化物が占め、30%は脂肪、15%はたんぱく質とした。こうした食事に加えて、1日当たり約1,000kcal分のチョコレートや高カロリーな飲み物、ポテトチップスなどを食べてもらった。.その結果、5日間の過食で内臓脂肪量は約15%増加したが、体重や体脂肪量に有意な変化はみられなかった。また、空腹時血糖値やインスリン分泌量にも変化はみられなかった。.一方、過食を28日間続けると体重が1.6kg、体脂肪量が1.3kg増加し、食後の血糖値やインスリン応答がわずかに上昇したが、空腹時血糖値には変化はみられなかったという。.これらの結果について、Wadley氏は「普段から健康的な食生活を送り、運動を十分に行っていれば、たまに食べ過ぎてもそれほど後悔する必要はないようだ」と述べている。また、同氏は「炭水化物を増やした短期間の過食に対して、身体は過剰な炭水化物を利用する方へと代謝を変化させて適応したのでは」との見方を示している。.ただし、今回の結果は、週末になるごとに食べ過ぎてもよいという意味ではなく、「健康面を考えると、数日間の短期的な過食は祝祭日や休暇など特別な機会に限定されるべきだ」とWadley氏は強調している。なお、同氏によれば、今回の研究で対象としたのは健康で適正体重の若者だったため、過食をしても身体がうまく適応できた可能性もあるという。そのため、「中年期以降や肥満の人でも同様の結果が得られるかどうかは分からない」と同氏は付け加えている。.今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの管理栄養士であるSamantha Heller氏は、今回の研究では、若い男性でも高カロリー食の摂取を短期間続けると内臓脂肪量が増えたとする結果に注目。「脂肪の中でも、内臓脂肪はより深刻な健康問題を引き起こす。今回の研究からは、普段の食事に戻ってから内臓脂肪がどのくらいの期間、増えたままであったのかは明らかではない」とし、「年に1~2回程度の過食なら問題ないが、週に数回となると話は別だ」と指摘している。(HealthDay News 2019年5月13日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/overeating-health-news-771/body-adapts-recovers-from-occasional-pigging-out-study-finds-746058.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.