プール遊びは、子どもたちにとって夏の楽しみの一つだ。しかし、プールの殺菌や消毒に使われる化学薬品が原因で、救急外来を受診するケースもあるとして、米国保健当局が注意を呼び掛けている。「Morbidity and Mortality Weekly Report」5月17日号に発表された米疾病対策センター(CDC)の報告書によると、米国では2008年から2017年にかけて、プールの消毒剤を原因とした健康被害が年間4,535件発生したという。この調査は、CDCヘルシー・スイミング・プログラムのMichele Hlavsa氏らが、2008~2017年の全国電子傷害監視システム(National Electronic Injury Surveillance System)のデータを分析したもの。報告書によれば、プールの消毒剤を原因とした健康被害で最も多いのは、消毒用の塩素の容器を開けた時などに発生する化学物質のガスを吸い込んだことによるものだったことが分かった。.また、このような健康被害の56.3%は家庭で起きており、報告された事例の36.4%は小児やティーンエージャーにおける発生例だった。さらに、64.5%は5月の最終月曜日のメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)から9月の第一月曜日のレイバーデー(労働者の日)までの夏季シーズンに起こっていた。.米レノックス・ヒル病院の救急医で、今回の報告書には関与していないRobert Glatter氏は「プールや温水浴槽、スパなどに使用されている塩素や臭素などの化学物質は、感染リスクを減らし、水の透明度を高める役割を果たす一方で、適切に取り扱わないと眼や皮膚、肺、消化管に有害な作用をもたらす可能性がある」と指摘。また、同氏は「プール用の消毒剤を取り扱う際には手袋や保護めがね、顔にフィットするマスクを使用し、衣類で手足を保護することが不可欠だ」と強調している。.また、Glatter氏は「今回、家庭での発生例や小児の健康被害がいかに多いのかが明らかになった。このCDCの報告は、プールの水質管理に使用される消毒剤そのものについて安全教育の重要性を強調するものだ」としている。.CDCによれば、プール用の消毒剤による健康被害は予防可能なものだという。しかし、過去15年間に発生した重篤な被害例の報告数にはほとんど変化がみられていない。.なお、具体的な予防策としてCDCは以下を挙げている。・消毒剤の製品ラベルの注意事項を読み、使用法を守る。また、これらを取り扱う際には、保護マスクやゴーグルなどの保護具を着用する。何を着用すべきかについては、製品ラベルの表示に従う。・消毒剤は子どもの手の届かない場所に保管する。・種類の異なる消毒剤を混ぜない。特に塩素系と酸性系のものを混ぜるのは危険である。・公共のプールを運営する場合は、消毒剤の安全対策を含む運営者向けの研修を受けること。また、そうした消毒剤を取り扱う全てのスタッフに対し、安全対策に関する指導を行うこと。.一方、Glatter氏は、プールに入る前には、必ずシャワーを浴びるよう忠告している。その理由として、同氏は、身体に付着した汗や化粧品、身だしなみを整えるパーソナルケア製品などが塩素に反応すると、殺菌効果が弱まるだけでなく、重度のアレルギー反応や目のかゆみの原因となる有害物質が発生してしまうためだと説明している。(HealthDay News 2019年5月16日).https://consumer.healthday.com/fitness-information-14/swimming-health-news-282/pool-chemicals-harm-thousands-every-summer-746407.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
プール遊びは、子どもたちにとって夏の楽しみの一つだ。しかし、プールの殺菌や消毒に使われる化学薬品が原因で、救急外来を受診するケースもあるとして、米国保健当局が注意を呼び掛けている。「Morbidity and Mortality Weekly Report」5月17日号に発表された米疾病対策センター(CDC)の報告書によると、米国では2008年から2017年にかけて、プールの消毒剤を原因とした健康被害が年間4,535件発生したという。この調査は、CDCヘルシー・スイミング・プログラムのMichele Hlavsa氏らが、2008~2017年の全国電子傷害監視システム(National Electronic Injury Surveillance System)のデータを分析したもの。報告書によれば、プールの消毒剤を原因とした健康被害で最も多いのは、消毒用の塩素の容器を開けた時などに発生する化学物質のガスを吸い込んだことによるものだったことが分かった。.また、このような健康被害の56.3%は家庭で起きており、報告された事例の36.4%は小児やティーンエージャーにおける発生例だった。さらに、64.5%は5月の最終月曜日のメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)から9月の第一月曜日のレイバーデー(労働者の日)までの夏季シーズンに起こっていた。.米レノックス・ヒル病院の救急医で、今回の報告書には関与していないRobert Glatter氏は「プールや温水浴槽、スパなどに使用されている塩素や臭素などの化学物質は、感染リスクを減らし、水の透明度を高める役割を果たす一方で、適切に取り扱わないと眼や皮膚、肺、消化管に有害な作用をもたらす可能性がある」と指摘。また、同氏は「プール用の消毒剤を取り扱う際には手袋や保護めがね、顔にフィットするマスクを使用し、衣類で手足を保護することが不可欠だ」と強調している。.また、Glatter氏は「今回、家庭での発生例や小児の健康被害がいかに多いのかが明らかになった。このCDCの報告は、プールの水質管理に使用される消毒剤そのものについて安全教育の重要性を強調するものだ」としている。.CDCによれば、プール用の消毒剤による健康被害は予防可能なものだという。しかし、過去15年間に発生した重篤な被害例の報告数にはほとんど変化がみられていない。.なお、具体的な予防策としてCDCは以下を挙げている。・消毒剤の製品ラベルの注意事項を読み、使用法を守る。また、これらを取り扱う際には、保護マスクやゴーグルなどの保護具を着用する。何を着用すべきかについては、製品ラベルの表示に従う。・消毒剤は子どもの手の届かない場所に保管する。・種類の異なる消毒剤を混ぜない。特に塩素系と酸性系のものを混ぜるのは危険である。・公共のプールを運営する場合は、消毒剤の安全対策を含む運営者向けの研修を受けること。また、そうした消毒剤を取り扱う全てのスタッフに対し、安全対策に関する指導を行うこと。.一方、Glatter氏は、プールに入る前には、必ずシャワーを浴びるよう忠告している。その理由として、同氏は、身体に付着した汗や化粧品、身だしなみを整えるパーソナルケア製品などが塩素に反応すると、殺菌効果が弱まるだけでなく、重度のアレルギー反応や目のかゆみの原因となる有害物質が発生してしまうためだと説明している。(HealthDay News 2019年5月16日).https://consumer.healthday.com/fitness-information-14/swimming-health-news-282/pool-chemicals-harm-thousands-every-summer-746407.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.