高度に加工された「超加工食品」を多く摂取する人は心筋梗塞や脳卒中を発症しやすく、早死リスクも高まる可能性があることが、2件の大規模研究から示唆された。いずれの研究も詳細は「BMJ」5月29日オンライン版に発表された。2つの研究で対象とされた超加工食品は、チップスや菓子、ファストフードなどの"ジャンクフード"だけではなく、主食とされるパンや加工肉、瓶詰のソース、冷凍食品なども含まれていた。.一つ目の研究は、フランスの成人男女10万5,159人(ベースライン時の平均年齢は43歳、女性79.2%)を対象に中央値で5.2年間追跡し、超加工食品の摂取量と心血管疾患リスクとの関連を調べたもの。追跡期間中に1,409人が心筋梗塞や急性冠症候群、脳卒中などを発症した。.その結果、超加工食品の摂取量が多いほど、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高いことが分かった。対象者を超加工食品の摂取量で4つのグループに分けて比較したところ、体重や運動習慣、塩分や糖分、脂肪の摂取量などの因子で調整しても、摂取量が最も多いグループでは、最も少ないグループと比べて脳心血管疾患全体の発症リスクが23%有意に高かった(P=0.03)。.研究を実施したパリ大学(フランス)のBernard Srour氏とMathilde Touvier氏は、これらの結果は、超加工食品に含まれる塩分や砂糖や、脂肪のほか、体重増加や運動不足などの不健康な生活習慣だけでは説明できないとの見方を示す。両氏は「これまで複数の研究で、食品添加物や加工中に生成される汚染物質が代謝や心血管系に悪影響を及ぼす可能性が示唆されている」と指摘。ただし、今回の研究では因果関係は証明されていない点を強調している。.この研究には関与していない米国立ユダヤ医療研究センター心血管疾患予防・健康推進プログラムのディレクターであるAndrew Freeman氏は「食品の賞味期限が長いほど寿命は短くなるといっても過言ではない」と話す。これまでの研究結果に基づけば、果物や野菜、豆類、全粒穀物、ナッツ類など自然のまま食べられる食品が最も心臓の健康に良いものであり、「手頃な価格かつ便利な食品として、新鮮な野菜の冷凍食品も賢い選択肢になる」と助言している。.Srour氏も、全ての加工食品が健康に悪いわけではなく、加工処理の過程を問題視する見方に同意している。例えば、原料が水と野菜、植物油、ハーブやスパイス類の缶詰のスープは超加工食品とはみなされないが、保存料を含む乾燥スープは超加工のカテゴリーに分類されることもある。.また、二つ目の研究では、1999年から2014年にかけてスペインの成人男女1万9,899人を2年ごとに追跡し、超加工食品の摂取と全死亡率との関連を調べた。対象者を超加工食品の摂取量で4つのグループに分けて比較したところ、摂取量が最も多いグループ(1日4サービング超)では、最も少ないグループと比べて20年以内に死亡するリスクが62%有意に高いことが示された(傾向P=0.005)。ただ、この研究でも、体重や生活習慣などの要因では、これらの関連は十分に説明できなかったという。.同誌の付随論評で、ディーキン大学(オーストラリア)公衆衛生・栄養学教授のMark Lawrence氏は「最近では、超加工食品自体が健康に悪影響を及ぼす一因であることを示すエビデンスが集積されつつある」と指摘している。同氏は、食品添加物や加工処理の過程で生成されるアクリルアミドやアクロレインなどの化合物によって、高度に精製された食品に関連する健康リスクの一部を説明できるかもしれないとしている。(HealthDay News 2019年5月30日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/food-and-nutrition-news-316/highly-processed-diets-tied-to-heart-disease-earlier-death-746910.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
高度に加工された「超加工食品」を多く摂取する人は心筋梗塞や脳卒中を発症しやすく、早死リスクも高まる可能性があることが、2件の大規模研究から示唆された。いずれの研究も詳細は「BMJ」5月29日オンライン版に発表された。2つの研究で対象とされた超加工食品は、チップスや菓子、ファストフードなどの"ジャンクフード"だけではなく、主食とされるパンや加工肉、瓶詰のソース、冷凍食品なども含まれていた。.一つ目の研究は、フランスの成人男女10万5,159人(ベースライン時の平均年齢は43歳、女性79.2%)を対象に中央値で5.2年間追跡し、超加工食品の摂取量と心血管疾患リスクとの関連を調べたもの。追跡期間中に1,409人が心筋梗塞や急性冠症候群、脳卒中などを発症した。.その結果、超加工食品の摂取量が多いほど、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高いことが分かった。対象者を超加工食品の摂取量で4つのグループに分けて比較したところ、体重や運動習慣、塩分や糖分、脂肪の摂取量などの因子で調整しても、摂取量が最も多いグループでは、最も少ないグループと比べて脳心血管疾患全体の発症リスクが23%有意に高かった(P=0.03)。.研究を実施したパリ大学(フランス)のBernard Srour氏とMathilde Touvier氏は、これらの結果は、超加工食品に含まれる塩分や砂糖や、脂肪のほか、体重増加や運動不足などの不健康な生活習慣だけでは説明できないとの見方を示す。両氏は「これまで複数の研究で、食品添加物や加工中に生成される汚染物質が代謝や心血管系に悪影響を及ぼす可能性が示唆されている」と指摘。ただし、今回の研究では因果関係は証明されていない点を強調している。.この研究には関与していない米国立ユダヤ医療研究センター心血管疾患予防・健康推進プログラムのディレクターであるAndrew Freeman氏は「食品の賞味期限が長いほど寿命は短くなるといっても過言ではない」と話す。これまでの研究結果に基づけば、果物や野菜、豆類、全粒穀物、ナッツ類など自然のまま食べられる食品が最も心臓の健康に良いものであり、「手頃な価格かつ便利な食品として、新鮮な野菜の冷凍食品も賢い選択肢になる」と助言している。.Srour氏も、全ての加工食品が健康に悪いわけではなく、加工処理の過程を問題視する見方に同意している。例えば、原料が水と野菜、植物油、ハーブやスパイス類の缶詰のスープは超加工食品とはみなされないが、保存料を含む乾燥スープは超加工のカテゴリーに分類されることもある。.また、二つ目の研究では、1999年から2014年にかけてスペインの成人男女1万9,899人を2年ごとに追跡し、超加工食品の摂取と全死亡率との関連を調べた。対象者を超加工食品の摂取量で4つのグループに分けて比較したところ、摂取量が最も多いグループ(1日4サービング超)では、最も少ないグループと比べて20年以内に死亡するリスクが62%有意に高いことが示された(傾向P=0.005)。ただ、この研究でも、体重や生活習慣などの要因では、これらの関連は十分に説明できなかったという。.同誌の付随論評で、ディーキン大学(オーストラリア)公衆衛生・栄養学教授のMark Lawrence氏は「最近では、超加工食品自体が健康に悪影響を及ぼす一因であることを示すエビデンスが集積されつつある」と指摘している。同氏は、食品添加物や加工処理の過程で生成されるアクリルアミドやアクロレインなどの化合物によって、高度に精製された食品に関連する健康リスクの一部を説明できるかもしれないとしている。(HealthDay News 2019年5月30日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/food-and-nutrition-news-316/highly-processed-diets-tied-to-heart-disease-earlier-death-746910.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.