早起きする習慣のある「朝型」の女性は、「夜型」の女性に比べて乳がんになるリスクがわずかに低いことが、英ブリストル大学教授のCaroline Relton氏らの研究で明らかになった。一方、1晩に7~8時間以上の睡眠を取る女性では、乳がんリスクが高まる可能性も示されたという。この研究結果は「BMJ」6月26日オンライン版に掲載された。この研究は、大規模な前向きコホート研究である英国バイオバンクとBCAC(Breast Cancer Association Consortium)の症例対照ゲノムワイド関連研究のデータを用いたもの。英国バイオバンクの約15万6,000人とBCACの約22万9,000人の計約38万5,000人の女性を対象に、遺伝子多型の情報を用いてメンデルのランダム化解析を実施。睡眠タイプ(朝型または夜型)と睡眠時間、不眠症の有無と後の乳がんの診断との関連を調べた。.その結果、肥満や乳がんの家族歴、飲酒や喫煙の習慣など乳がんリスクに影響し得る因子で調整して解析しても、自分が「朝型」だと回答した女性は乳がんリスクがわずかに低く、「夜型」の女性に比べて乳がんの罹患例が100人当たり約1人少ないことが分かった。また、睡眠時間が長いほど乳がんリスクは高まる可能性も示されたという。.Relton氏は「睡眠は健康に重要な影響を及ぼす」とした上で、「今回の研究結果から、いわゆる朝型の生活は乳がんリスクの低減につながるというエビデンスが得られた」と説明している。しかし、朝型や夜型といった睡眠習慣の違いが乳がんリスクに影響した理由については明らかになっていない。.付随論評を執筆したウィーン医科大学(オーストリア)疫学部長のEva Schernhammer氏は、考えられる理由の一つとして、「体内時計(24時間周期の概日リズム)と体外時計のずれ」を挙げる。概日リズムが乱れて、例えば、睡眠を促すメラトニンと呼ばれるホルモンの分泌が抑制されると、その影響は身体機能全体に及ぶことが知られているという。.睡眠の専門家で、今回の研究には関与していない米ニューヨーク・プレスビテリアン/ワイルコーネル医療センターのDaniel Barone氏によると、メラトニンは強力な抗酸化物質であり、「メラトニンの分泌が減少すると体内の炎症反応を引き起こす可能性がある」と述べている。.では、夜更かしする習慣がある女性は乳がんリスクを心配すべきなのだろうか? 「おそらくその必要はない」というのは、この研究には関与していない米ノースウェル・ヘルスがん研究所乳腺外科のAlice Police氏だ。今回の研究結果は、朝型の女性は乳がん罹患率がわずかに低い可能性が示唆されたに過ぎず、「朝型と夜型の女性の肥満率や運動習慣などとの関連が明らかになるまでは、結論を導き出すことはできない」と話す。Relton氏もこの考えに同意しているが、「早起きすれば乳がんリスクを低減できる可能性もある」と指摘している。.よりよい眠りを手に入れるために、前出のBarone氏は「就寝前の1時間はスマートフォンやタブレットを使用するのをやめ、できるだけブルーライトを見ないようにするのがよい」と助言している。ブルーライトを浴びると脳が昼間だと勘違いしてメラトニンの分泌が減ってしまうためだという。一方、Schernhammer氏とRelton氏は、乳がんリスクを低減するためには、「睡眠パターンよりも飲酒の習慣や肥満などの既に確立されたリスク因子に気を配るべきだ」と付け加えている。(HealthDay News 2019年6月27日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/breast-cancer-news-94/early-risers-may-be-a-little-less-likely-to-get-breast-cancer-747824.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
早起きする習慣のある「朝型」の女性は、「夜型」の女性に比べて乳がんになるリスクがわずかに低いことが、英ブリストル大学教授のCaroline Relton氏らの研究で明らかになった。一方、1晩に7~8時間以上の睡眠を取る女性では、乳がんリスクが高まる可能性も示されたという。この研究結果は「BMJ」6月26日オンライン版に掲載された。この研究は、大規模な前向きコホート研究である英国バイオバンクとBCAC(Breast Cancer Association Consortium)の症例対照ゲノムワイド関連研究のデータを用いたもの。英国バイオバンクの約15万6,000人とBCACの約22万9,000人の計約38万5,000人の女性を対象に、遺伝子多型の情報を用いてメンデルのランダム化解析を実施。睡眠タイプ(朝型または夜型)と睡眠時間、不眠症の有無と後の乳がんの診断との関連を調べた。.その結果、肥満や乳がんの家族歴、飲酒や喫煙の習慣など乳がんリスクに影響し得る因子で調整して解析しても、自分が「朝型」だと回答した女性は乳がんリスクがわずかに低く、「夜型」の女性に比べて乳がんの罹患例が100人当たり約1人少ないことが分かった。また、睡眠時間が長いほど乳がんリスクは高まる可能性も示されたという。.Relton氏は「睡眠は健康に重要な影響を及ぼす」とした上で、「今回の研究結果から、いわゆる朝型の生活は乳がんリスクの低減につながるというエビデンスが得られた」と説明している。しかし、朝型や夜型といった睡眠習慣の違いが乳がんリスクに影響した理由については明らかになっていない。.付随論評を執筆したウィーン医科大学(オーストリア)疫学部長のEva Schernhammer氏は、考えられる理由の一つとして、「体内時計(24時間周期の概日リズム)と体外時計のずれ」を挙げる。概日リズムが乱れて、例えば、睡眠を促すメラトニンと呼ばれるホルモンの分泌が抑制されると、その影響は身体機能全体に及ぶことが知られているという。.睡眠の専門家で、今回の研究には関与していない米ニューヨーク・プレスビテリアン/ワイルコーネル医療センターのDaniel Barone氏によると、メラトニンは強力な抗酸化物質であり、「メラトニンの分泌が減少すると体内の炎症反応を引き起こす可能性がある」と述べている。.では、夜更かしする習慣がある女性は乳がんリスクを心配すべきなのだろうか? 「おそらくその必要はない」というのは、この研究には関与していない米ノースウェル・ヘルスがん研究所乳腺外科のAlice Police氏だ。今回の研究結果は、朝型の女性は乳がん罹患率がわずかに低い可能性が示唆されたに過ぎず、「朝型と夜型の女性の肥満率や運動習慣などとの関連が明らかになるまでは、結論を導き出すことはできない」と話す。Relton氏もこの考えに同意しているが、「早起きすれば乳がんリスクを低減できる可能性もある」と指摘している。.よりよい眠りを手に入れるために、前出のBarone氏は「就寝前の1時間はスマートフォンやタブレットを使用するのをやめ、できるだけブルーライトを見ないようにするのがよい」と助言している。ブルーライトを浴びると脳が昼間だと勘違いしてメラトニンの分泌が減ってしまうためだという。一方、Schernhammer氏とRelton氏は、乳がんリスクを低減するためには、「睡眠パターンよりも飲酒の習慣や肥満などの既に確立されたリスク因子に気を配るべきだ」と付け加えている。(HealthDay News 2019年6月27日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/breast-cancer-news-94/early-risers-may-be-a-little-less-likely-to-get-breast-cancer-747824.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.