アスリートの中には、脳震盪から回復するのに長い時間を要する人がいるが、血液検査でそのような高リスク者を同定できる可能性があると、米ウィスコンシン医科大学のTimothy Meier氏らが「Neurology」7月3日オンライン版に発表した。受傷後に炎症性マーカーが急激に上昇した人では、脳震盪症状の持続期間がより長いことが分かったという。この研究は、高校生と大学生のフットボール選手857人のうち、意識消失を伴わない脳震盪を起こした41人と脳震盪を起こしていない43人(対照群)を対象としたもの。シーズン開始時には、全ての選手に血液検査を実施したほか、脳震盪を起こした場合には、受傷から6時間以内、24~48時間後、8日後、15日後および45日後に血液検査を実施した。.なお、血液検査では、重度の脳損傷に関連する7種類の炎症性バイオマーカー〔インターロイキン(IL)-6、IL-1β、IL-10、腫瘍壊死因子、C反応性蛋白、インターフェロンγ、IL-1受容体アンタゴニスト〕の血清レベルを調べた。.その結果、脳震盪を起こした選手では、対照群に対してはもちろんのこと、受傷前のベースラインおよび受傷後のいずれの時点と比較しても、受傷から6時間後のIL-6およびIL-1受容体アンタゴニストの血清レベルが有意に高いことが分かった。また、受傷から6時間後のIL-6高値は、症状の持続時間と有意に関連することも明らかになった。.対象者全体の脳震盪症状の持続期間は平均8.9日であった。受傷から6時間後のIL-6値が高かった17人のうち8人は、受傷から8日後も脳震盪の症状が引き続きみられた。.Meier氏は「脳震盪症状が長引くアスリートは多く、回復まで時間がかかる人も相当数存在する。このような高リスク者を判定するツールを開発できれば、非常に有益性が高い。この結果は今後の治療にとって重要な第一歩になるだろう」と研究の意義を強調している。.これらの結果から、Meier氏は「脳震盪症状が長引き、回復に時間を要するアスリートでは、そうでない人に比べて受傷後にIL-6値が著しく上昇することが分かった」と結論。その上で、「今回の研究結果は、脳震盪と炎症の関連について理解を深めるのに役立つだけでなく、新しい治療法の開発につながる可能性がある」と同氏は期待を示している。(HealthDay News 2019年7月3日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/concussions-news-733/concussion-recovery-isn-t-the-same-for-every-football-player-747981.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
アスリートの中には、脳震盪から回復するのに長い時間を要する人がいるが、血液検査でそのような高リスク者を同定できる可能性があると、米ウィスコンシン医科大学のTimothy Meier氏らが「Neurology」7月3日オンライン版に発表した。受傷後に炎症性マーカーが急激に上昇した人では、脳震盪症状の持続期間がより長いことが分かったという。この研究は、高校生と大学生のフットボール選手857人のうち、意識消失を伴わない脳震盪を起こした41人と脳震盪を起こしていない43人(対照群)を対象としたもの。シーズン開始時には、全ての選手に血液検査を実施したほか、脳震盪を起こした場合には、受傷から6時間以内、24~48時間後、8日後、15日後および45日後に血液検査を実施した。.なお、血液検査では、重度の脳損傷に関連する7種類の炎症性バイオマーカー〔インターロイキン(IL)-6、IL-1β、IL-10、腫瘍壊死因子、C反応性蛋白、インターフェロンγ、IL-1受容体アンタゴニスト〕の血清レベルを調べた。.その結果、脳震盪を起こした選手では、対照群に対してはもちろんのこと、受傷前のベースラインおよび受傷後のいずれの時点と比較しても、受傷から6時間後のIL-6およびIL-1受容体アンタゴニストの血清レベルが有意に高いことが分かった。また、受傷から6時間後のIL-6高値は、症状の持続時間と有意に関連することも明らかになった。.対象者全体の脳震盪症状の持続期間は平均8.9日であった。受傷から6時間後のIL-6値が高かった17人のうち8人は、受傷から8日後も脳震盪の症状が引き続きみられた。.Meier氏は「脳震盪症状が長引くアスリートは多く、回復まで時間がかかる人も相当数存在する。このような高リスク者を判定するツールを開発できれば、非常に有益性が高い。この結果は今後の治療にとって重要な第一歩になるだろう」と研究の意義を強調している。.これらの結果から、Meier氏は「脳震盪症状が長引き、回復に時間を要するアスリートでは、そうでない人に比べて受傷後にIL-6値が著しく上昇することが分かった」と結論。その上で、「今回の研究結果は、脳震盪と炎症の関連について理解を深めるのに役立つだけでなく、新しい治療法の開発につながる可能性がある」と同氏は期待を示している。(HealthDay News 2019年7月3日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/concussions-news-733/concussion-recovery-isn-t-the-same-for-every-football-player-747981.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.