米クリーブランド・クリニックはこのほど、死亡したドナーから提供された子宮を移植した女性が無事に出産したと発表した。2018年12月には、ブラジルのチームが世界で初めて死亡ドナーから移植された子宮での出産が成功したことを報告しており、今回は世界で2例目、北米では初の成功例だという。この女性は2019年6月、帝王切開で健康な女児を出産した。担当した医療チームの一人で同クリニックの母胎・胎児医療の専門医であるUma Perni氏は、「これ以上は望めないほど良好な状態で、分娩も全て順調に進み、母子ともに元気だ」と説明する。同氏は、まだ研究段階であることを強調した上で、「子宮移植の分野は急速に進展している。今後の治療選択肢が広がる可能性に期待がもてる」と話している。.クリーブランド・クリニックによると、女児を出産した女性は「子宮性不妊症」のため子宮移植を受けた。なお、子宮性不妊症の有病率は妊娠可能年齢の女性500人当たり約1人と推定されている。.女性の氏名は公表されていないが、子どもを授かるための選択肢として子宮移植を考え、同クリニックで進行中の臨床研究に参加した時の年齢は30歳代半ばだった。2017年後半に、女性は死亡ドナーから提供された子宮の移植手術を受け、2019年後半には体外受精を経て妊娠に至った。.同クリニックの移植外科医であるAndreas Tzakis氏は「異例のケースではあったが、分娩は驚くほど上手くいった」と振り返り、「この研究を通じて、このような手段を当たり前の選択肢として女性に提案できるようにするのが、われわれの目標だ」と意欲を示している。また、同氏は、移植ドナーとその家族の寛大な心があったからこそ、患者は子どもを持つという夢をかなえられたと謝意を述べている。.今回の女性の子宮移植や出産には、移植外科や産婦人科、生殖医療、新生児医療、生命倫理、精神科、看護、麻酔、感染症、インターベンショナルラジオロジー(画像下治療)、患者支援、社会福祉など幅広い領域の専門医らが連携して臨んだことで成功した。.なお、同クリニックのチームによると、出産した女性以外にも既に5人の女性に対して死亡ドナーからの子宮移植が実施されており、今後も同様の成功例を報告できる見通しだという。ただ、5人中3人では移植が成功したが、2人は子宮の摘出が必要になったことも明らかにしている。また、複数の女性が子宮移植を待機している状況だという。.そのほか、同クリニックはこの臨床研究プログラムについて、「生体ドナーの子宮の移植にはリスクが伴うため、死亡したドナーからの移植に限定している」と説明している。(HealthDay News 2019年7月9日).https://consumer.healthday.com/infertility-information-22/infertility-news-412/in-a-u-s-first-baby-is-delivered-from-womb-transplanted-from-deceased-donor-748165.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
米クリーブランド・クリニックはこのほど、死亡したドナーから提供された子宮を移植した女性が無事に出産したと発表した。2018年12月には、ブラジルのチームが世界で初めて死亡ドナーから移植された子宮での出産が成功したことを報告しており、今回は世界で2例目、北米では初の成功例だという。この女性は2019年6月、帝王切開で健康な女児を出産した。担当した医療チームの一人で同クリニックの母胎・胎児医療の専門医であるUma Perni氏は、「これ以上は望めないほど良好な状態で、分娩も全て順調に進み、母子ともに元気だ」と説明する。同氏は、まだ研究段階であることを強調した上で、「子宮移植の分野は急速に進展している。今後の治療選択肢が広がる可能性に期待がもてる」と話している。.クリーブランド・クリニックによると、女児を出産した女性は「子宮性不妊症」のため子宮移植を受けた。なお、子宮性不妊症の有病率は妊娠可能年齢の女性500人当たり約1人と推定されている。.女性の氏名は公表されていないが、子どもを授かるための選択肢として子宮移植を考え、同クリニックで進行中の臨床研究に参加した時の年齢は30歳代半ばだった。2017年後半に、女性は死亡ドナーから提供された子宮の移植手術を受け、2019年後半には体外受精を経て妊娠に至った。.同クリニックの移植外科医であるAndreas Tzakis氏は「異例のケースではあったが、分娩は驚くほど上手くいった」と振り返り、「この研究を通じて、このような手段を当たり前の選択肢として女性に提案できるようにするのが、われわれの目標だ」と意欲を示している。また、同氏は、移植ドナーとその家族の寛大な心があったからこそ、患者は子どもを持つという夢をかなえられたと謝意を述べている。.今回の女性の子宮移植や出産には、移植外科や産婦人科、生殖医療、新生児医療、生命倫理、精神科、看護、麻酔、感染症、インターベンショナルラジオロジー(画像下治療)、患者支援、社会福祉など幅広い領域の専門医らが連携して臨んだことで成功した。.なお、同クリニックのチームによると、出産した女性以外にも既に5人の女性に対して死亡ドナーからの子宮移植が実施されており、今後も同様の成功例を報告できる見通しだという。ただ、5人中3人では移植が成功したが、2人は子宮の摘出が必要になったことも明らかにしている。また、複数の女性が子宮移植を待機している状況だという。.そのほか、同クリニックはこの臨床研究プログラムについて、「生体ドナーの子宮の移植にはリスクが伴うため、死亡したドナーからの移植に限定している」と説明している。(HealthDay News 2019年7月9日).https://consumer.healthday.com/infertility-information-22/infertility-news-412/in-a-u-s-first-baby-is-delivered-from-womb-transplanted-from-deceased-donor-748165.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.