米国では患者の半数近くが、ドメスティック・バイオレンス(DV)や性的暴行、抑うつ症状や自殺念慮など、自分が抱えている命に関わる問題について医師に話していないことが、米ユニバーシティ・オブ・ユタ・ヘルスのAngela Fagerlin氏らによる新たな研究で明らかにされた。研究結果は、「JAMA Network Open」8月14日オンライン版に掲載された。今回の調査研究は、2015年3月16~30日にAmazon's Mechanical Turk(MTurk)を用いて集めた2,011人(平均年齢36歳、60%が女性)と、2015年11月6~17日にSurvey Sampling International(SSI)を用いて集めた2,499人(平均年齢61歳、51%が女性)の計4,510人を対象に行った調査結果に基づくもの。調査では、何らかの医学的情報を医療従事者に話すのを控えたことがあるかどうかを尋ねた。.その結果、DV、性的暴行、抑うつ症状、自殺念慮の4つの健康を脅かす問題のうち1つ以上を経験しているのに、医療従事者にそのことを話していないと報告した人の割合は、MTurk群で47.5%(1,292人中613人)、SSI群では40%(1,453人中581人)に上ることが分かった。.情報を伝えなかった理由としては「恥ずかしいから」が最も多く(MTurk群で72.7%、SSI群で70.9%)、次いで「批判や説教されるのが嫌だから」(MTurk群で66.4%、SSI群で53.4%)、「(抗うつ薬を服用する、セラピーを受けるといった)面倒な対応をとることになるのが嫌だから」(MTurk群で62.4%、SSI群で51.1%)などが続いた。また、両サンプルにおいて、女性および若い患者で、医療従事者にこうした問題について伝えない確率が有意に高かった。.研究者らによると、性的暴行を受けたことを医師に話さない患者は、外傷後ストレス障害(PTSD)や、HIVなど性感染症のリスクがあるという。しかし、性的暴行に対する社会的スティグマにより、被害者は誰にも相談できない可能性がある。「このような問題に対し医師は、セラピーや治療を受けさせるなど、さまざまな方法で手助けできる」とFagerlin氏は話す。.今回の研究論文の筆頭著者で米ミドルセックス・コミュニティ・カレッジ教授のAndrea Gurmankin Levy氏は、ユタ大学のニュースリリースの中で、「今回の研究結果により、患者と医療従事者の間にある気まずさや信頼の欠如が改めて示された」と指摘し、デリケートな問題については、診察の前に質問紙に回答する形をとるほうが医師に面と向かって話すよりも患者が情報を伝えやすい可能性について触れている。.一方、Fagerlin氏は、「患者の健康状態を最善にするため、医師は患者がどんな悩みを抱えているかを知る必要がある」と述べ、「このような命に関わる問題に対処するには、どうすれば患者が医療従事者に対してもっと安心感を持つようになるのかを理解することが必要不可欠である」と付け加えている。(HealthDay News 2019年8月15日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/doctor-news-206/nearly-half-of-u-s-patients-keep-vital-secrets-from-their-doctors-749275.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
米国では患者の半数近くが、ドメスティック・バイオレンス(DV)や性的暴行、抑うつ症状や自殺念慮など、自分が抱えている命に関わる問題について医師に話していないことが、米ユニバーシティ・オブ・ユタ・ヘルスのAngela Fagerlin氏らによる新たな研究で明らかにされた。研究結果は、「JAMA Network Open」8月14日オンライン版に掲載された。今回の調査研究は、2015年3月16~30日にAmazon's Mechanical Turk(MTurk)を用いて集めた2,011人(平均年齢36歳、60%が女性)と、2015年11月6~17日にSurvey Sampling International(SSI)を用いて集めた2,499人(平均年齢61歳、51%が女性)の計4,510人を対象に行った調査結果に基づくもの。調査では、何らかの医学的情報を医療従事者に話すのを控えたことがあるかどうかを尋ねた。.その結果、DV、性的暴行、抑うつ症状、自殺念慮の4つの健康を脅かす問題のうち1つ以上を経験しているのに、医療従事者にそのことを話していないと報告した人の割合は、MTurk群で47.5%(1,292人中613人)、SSI群では40%(1,453人中581人)に上ることが分かった。.情報を伝えなかった理由としては「恥ずかしいから」が最も多く(MTurk群で72.7%、SSI群で70.9%)、次いで「批判や説教されるのが嫌だから」(MTurk群で66.4%、SSI群で53.4%)、「(抗うつ薬を服用する、セラピーを受けるといった)面倒な対応をとることになるのが嫌だから」(MTurk群で62.4%、SSI群で51.1%)などが続いた。また、両サンプルにおいて、女性および若い患者で、医療従事者にこうした問題について伝えない確率が有意に高かった。.研究者らによると、性的暴行を受けたことを医師に話さない患者は、外傷後ストレス障害(PTSD)や、HIVなど性感染症のリスクがあるという。しかし、性的暴行に対する社会的スティグマにより、被害者は誰にも相談できない可能性がある。「このような問題に対し医師は、セラピーや治療を受けさせるなど、さまざまな方法で手助けできる」とFagerlin氏は話す。.今回の研究論文の筆頭著者で米ミドルセックス・コミュニティ・カレッジ教授のAndrea Gurmankin Levy氏は、ユタ大学のニュースリリースの中で、「今回の研究結果により、患者と医療従事者の間にある気まずさや信頼の欠如が改めて示された」と指摘し、デリケートな問題については、診察の前に質問紙に回答する形をとるほうが医師に面と向かって話すよりも患者が情報を伝えやすい可能性について触れている。.一方、Fagerlin氏は、「患者の健康状態を最善にするため、医師は患者がどんな悩みを抱えているかを知る必要がある」と述べ、「このような命に関わる問題に対処するには、どうすれば患者が医療従事者に対してもっと安心感を持つようになるのかを理解することが必要不可欠である」と付け加えている。(HealthDay News 2019年8月15日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/doctor-news-206/nearly-half-of-u-s-patients-keep-vital-secrets-from-their-doctors-749275.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.