米国では、妊娠初期にガドリニウム造影剤に曝露する女性が相当数いることが、新たな研究で明らかにされた。曝露は多くの場合、女性が妊娠に気づく前に起こっているという。ガドリニウム造影剤は胎盤を通過して胎児循環に入ってしまう可能性があることから、研究を行った米食品医薬品局(FDA)のSteven Bird氏らは、「この研究結果は、ガドリニウム造影剤を使用する前に有効な妊娠スクリーニングを行うことが必要であることを示唆するものだ」と述べている。詳細は、「Radiology」8月20日オンライン版に掲載された。米国では、MRI検査の半数近くで、臓器や組織を見やすくするためにガドリニウム造影剤が使用されている。しかし、妊婦におけるガドリニウム造影剤使用の安全性は確認されておらず、胎児へのリスクに関しても、これまでの研究では一貫した結果が得られていない。FDAは、母親や胎児の健康にとって不可欠でない限り、妊娠中の使用を推奨していない。.今回の研究では、FDAのセンチネル・イニシアティブが構築している医療データベースを用いて、2006~2017年に米国で生児出産に至ったおよそ470万例の妊娠が分析された。その結果、5,457例の妊娠において6,879件のガドリニウム造影剤への曝露が生じていたことが分かった。これは、妊娠860例当たり1件でこの造影剤への曝露が生じたことに相当する。大半は頭部MRIでの使用であったが、骨盤領域や腹部のMRIでの使用も相当数みられたという。また、曝露のほぼ4分の3は妊娠第1期に発生していたことも明らかになった。.Bird氏は、「女性がまだ妊娠に気付いていない初期の段階で、意図せず胎児がガドリニウム造影剤に曝露してしまう可能性があることが分かった。今ある妊娠スクリーニング検査をもっと強化することで、不注意によるこの造影剤への曝露を減らせるかもしれない」と述べている。.Bird氏らは、画像検査施設において妊婦のガドリニウム造影剤への曝露を防ぐには、いくつかの方法があると指摘している。例えば、妊娠の可能性の有無を、質問票を用いて確認するか口頭で直接尋ねること、妊娠の可能性がある場合はスタッフに知らせるよう伝える掲示を目立つ場所に貼り出すこと、必要に応じて妊娠検査を行うこと、などである。.なお、米国では、MRI検査の30~45%でガドリニウム造影剤が使用されている。FDAはMRI検査を実施する全施設に対し、初めてガドリニウム造影剤の投与を受ける外来患者には患者向けの医薬品ガイドを配布するよう助言している。最近の研究では、MRI検査後にも微量のガドリニウム造影剤が体内に残ることが示唆されている。しかし、そのリスクについては明らかにされていない。(HealthDay News 2019年8月20日).https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/mri-scan-news-455/study-points-to-harms-from-mri-dye-in-early-pregnancy-749349.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
米国では、妊娠初期にガドリニウム造影剤に曝露する女性が相当数いることが、新たな研究で明らかにされた。曝露は多くの場合、女性が妊娠に気づく前に起こっているという。ガドリニウム造影剤は胎盤を通過して胎児循環に入ってしまう可能性があることから、研究を行った米食品医薬品局(FDA)のSteven Bird氏らは、「この研究結果は、ガドリニウム造影剤を使用する前に有効な妊娠スクリーニングを行うことが必要であることを示唆するものだ」と述べている。詳細は、「Radiology」8月20日オンライン版に掲載された。米国では、MRI検査の半数近くで、臓器や組織を見やすくするためにガドリニウム造影剤が使用されている。しかし、妊婦におけるガドリニウム造影剤使用の安全性は確認されておらず、胎児へのリスクに関しても、これまでの研究では一貫した結果が得られていない。FDAは、母親や胎児の健康にとって不可欠でない限り、妊娠中の使用を推奨していない。.今回の研究では、FDAのセンチネル・イニシアティブが構築している医療データベースを用いて、2006~2017年に米国で生児出産に至ったおよそ470万例の妊娠が分析された。その結果、5,457例の妊娠において6,879件のガドリニウム造影剤への曝露が生じていたことが分かった。これは、妊娠860例当たり1件でこの造影剤への曝露が生じたことに相当する。大半は頭部MRIでの使用であったが、骨盤領域や腹部のMRIでの使用も相当数みられたという。また、曝露のほぼ4分の3は妊娠第1期に発生していたことも明らかになった。.Bird氏は、「女性がまだ妊娠に気付いていない初期の段階で、意図せず胎児がガドリニウム造影剤に曝露してしまう可能性があることが分かった。今ある妊娠スクリーニング検査をもっと強化することで、不注意によるこの造影剤への曝露を減らせるかもしれない」と述べている。.Bird氏らは、画像検査施設において妊婦のガドリニウム造影剤への曝露を防ぐには、いくつかの方法があると指摘している。例えば、妊娠の可能性の有無を、質問票を用いて確認するか口頭で直接尋ねること、妊娠の可能性がある場合はスタッフに知らせるよう伝える掲示を目立つ場所に貼り出すこと、必要に応じて妊娠検査を行うこと、などである。.なお、米国では、MRI検査の30~45%でガドリニウム造影剤が使用されている。FDAはMRI検査を実施する全施設に対し、初めてガドリニウム造影剤の投与を受ける外来患者には患者向けの医薬品ガイドを配布するよう助言している。最近の研究では、MRI検査後にも微量のガドリニウム造影剤が体内に残ることが示唆されている。しかし、そのリスクについては明らかにされていない。(HealthDay News 2019年8月20日).https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/mri-scan-news-455/study-points-to-harms-from-mri-dye-in-early-pregnancy-749349.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.