野菜中心で肉を食べないベジタリアン食は、心臓の健康には良いが、脳卒中リスクはわずかに高まる可能性があることが、英オックスフォード大学ナッフィールド保健省のTammy Tong氏らの研究で明らかになった。研究では、肉を食べる人に比べて、ベジタリアンでは心疾患リスクが22%低下した一方で、脳卒中リスクは20%高まることが示された。一方、肉は食べないが魚を食べる人(ペスカタリアン)では心疾患リスクは低く、脳卒中リスクの上昇は認められなかったという。研究結果の詳細は「BMJ」9月4日号に掲載された。この研究は、1993~2001年の間に登録した虚血性心疾患や脳卒中の既往歴がない英国人の男女4万8,188人(平均年齢45歳)を対象としたもの。参加者を、肉を食べる群(2万4,428人)と魚を食べるペスカタリアン群(7,506人)、ベジタリアン群(1万6,254人)の3つの群に分けて約18年間追跡し、虚血性心疾患と脳卒中の発症を調べた。.追跡期間中に2,820人が心疾患を発症し、1,072人が脳卒中を発症した。脳卒中患者のうち519人は脳梗塞で、300人は出血性脳卒中であった。病歴や喫煙歴、サプリメント使用の有無、身体活動量などの因子を調整して解析した結果、虚血性心疾患リスクは、肉を食べる人に比べてペスカタリアンでは13%、ベジタリアンでは22%それぞれ低いことが分かった。一方、肉を食べる人に比べて、ベジタリアンでは脳卒中リスクが20%高いことも示された。.Tong氏は「ペスカタリアンやベジタリアンで心疾患リスクが低下したのは、食事による減量や血圧、コレステロール値の改善、糖尿病有病率の低下などが部分的に関与したのでは」との見方を示している。ただし、この研究は因果関係を証明するものではないとして、同氏は慎重な解釈を求めている。また、心疾患リスクの低下度や脳卒中リスクの上昇度はわずかであり、「肉を食べる人と比べて、ベジタリアンでは10年間に心疾患を発症する人が1,000人当たり10人少なく、脳卒中を発症する人が1,000人当たり3人多いだけだ」と同氏は説明している。.Tong氏によると、最近の研究から、コレステロール値を過度に下げると出血性脳卒中のリスクが高まることが報告されている。また、ベジタリアンやヴィーガンの人は、動物性食品のみから摂取できるビタミンB12などの一部の栄養素が不足しがちになることも指摘されている。さらに、ビタミンB12欠乏は、脳卒中リスクの上昇と関連する可能性も示唆されているが、結論には至っていないという。.論文の付随論評を執筆したディーキン大学(オーストラリア)公衆栄養学教授のMark Lawrence氏は、「食事ガイドラインでは、食事が健康全体に与える影響について考察されており、肉や魚を食べる人たちと同様に、ベジタリアンにとっても適切なアドバイスが示されている」と説明。また、「植物性食品を中心とした食事に変えることは、個人の健康だけでなく地球環境にも優しいといえる。ただし、そのためにベジタリアンになる必要はない」と話している。.一方、専門家の一人で米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターの管理栄養士であるSamantha Heller氏は、「野菜中心の生活を送る人たちは、ビタミンB12やビタミンD、ω3脂肪酸などが不足しないよう食事やサプリメントから補う必要がある」と指摘する。ただ、植物性食品が主体の食事は、心血管疾患や一部のがん、2型糖尿病などの予防に有用だとし、「牛肉や豚肉などの赤肉や加工肉の摂取を控え、豆類や豆腐、ブロッコリー、ホウレンソウ、カリフラワーなどを食べるとよい」と助言している。(HealthDay News 2019年9月5日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/vegetarianism-news-694/going-vegetarian-good-for-your-heart-but-may-up-stroke-risk-750021.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
野菜中心で肉を食べないベジタリアン食は、心臓の健康には良いが、脳卒中リスクはわずかに高まる可能性があることが、英オックスフォード大学ナッフィールド保健省のTammy Tong氏らの研究で明らかになった。研究では、肉を食べる人に比べて、ベジタリアンでは心疾患リスクが22%低下した一方で、脳卒中リスクは20%高まることが示された。一方、肉は食べないが魚を食べる人(ペスカタリアン)では心疾患リスクは低く、脳卒中リスクの上昇は認められなかったという。研究結果の詳細は「BMJ」9月4日号に掲載された。この研究は、1993~2001年の間に登録した虚血性心疾患や脳卒中の既往歴がない英国人の男女4万8,188人(平均年齢45歳)を対象としたもの。参加者を、肉を食べる群(2万4,428人)と魚を食べるペスカタリアン群(7,506人)、ベジタリアン群(1万6,254人)の3つの群に分けて約18年間追跡し、虚血性心疾患と脳卒中の発症を調べた。.追跡期間中に2,820人が心疾患を発症し、1,072人が脳卒中を発症した。脳卒中患者のうち519人は脳梗塞で、300人は出血性脳卒中であった。病歴や喫煙歴、サプリメント使用の有無、身体活動量などの因子を調整して解析した結果、虚血性心疾患リスクは、肉を食べる人に比べてペスカタリアンでは13%、ベジタリアンでは22%それぞれ低いことが分かった。一方、肉を食べる人に比べて、ベジタリアンでは脳卒中リスクが20%高いことも示された。.Tong氏は「ペスカタリアンやベジタリアンで心疾患リスクが低下したのは、食事による減量や血圧、コレステロール値の改善、糖尿病有病率の低下などが部分的に関与したのでは」との見方を示している。ただし、この研究は因果関係を証明するものではないとして、同氏は慎重な解釈を求めている。また、心疾患リスクの低下度や脳卒中リスクの上昇度はわずかであり、「肉を食べる人と比べて、ベジタリアンでは10年間に心疾患を発症する人が1,000人当たり10人少なく、脳卒中を発症する人が1,000人当たり3人多いだけだ」と同氏は説明している。.Tong氏によると、最近の研究から、コレステロール値を過度に下げると出血性脳卒中のリスクが高まることが報告されている。また、ベジタリアンやヴィーガンの人は、動物性食品のみから摂取できるビタミンB12などの一部の栄養素が不足しがちになることも指摘されている。さらに、ビタミンB12欠乏は、脳卒中リスクの上昇と関連する可能性も示唆されているが、結論には至っていないという。.論文の付随論評を執筆したディーキン大学(オーストラリア)公衆栄養学教授のMark Lawrence氏は、「食事ガイドラインでは、食事が健康全体に与える影響について考察されており、肉や魚を食べる人たちと同様に、ベジタリアンにとっても適切なアドバイスが示されている」と説明。また、「植物性食品を中心とした食事に変えることは、個人の健康だけでなく地球環境にも優しいといえる。ただし、そのためにベジタリアンになる必要はない」と話している。.一方、専門家の一人で米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターの管理栄養士であるSamantha Heller氏は、「野菜中心の生活を送る人たちは、ビタミンB12やビタミンD、ω3脂肪酸などが不足しないよう食事やサプリメントから補う必要がある」と指摘する。ただ、植物性食品が主体の食事は、心血管疾患や一部のがん、2型糖尿病などの予防に有用だとし、「牛肉や豚肉などの赤肉や加工肉の摂取を控え、豆類や豆腐、ブロッコリー、ホウレンソウ、カリフラワーなどを食べるとよい」と助言している。(HealthDay News 2019年9月5日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/vegetarianism-news-694/going-vegetarian-good-for-your-heart-but-may-up-stroke-risk-750021.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.