身長と2型糖尿病のリスクが逆相関する、つまり、背が高いほど2型糖尿病になりにくいという観察研究の結果が、「Diabetologia」9月9日オンライン版に掲載された。身長が10cm高くなるごとに2型糖尿病リスクが、男性は41%、女性は33%下がるという。この報告はポツダム大学(ドイツ)のMatthias Schulze氏らによるもので、1994~1998年に研究登録された2万7,548人のドイツ人(35~65歳の女性1万6,644人、40~65歳の男性1万904人)のデータから、無作為に2,500人を抽出。追跡期間7年で820人が2型糖尿病を発症し、検査データが欠落している者などを除く698人と糖尿病非発症者を比較検討した。.解析により前述のように身長10cmあたり男性41%、女性33%のリスク低下という逆相関が見いだされたわけだが、この関連は体重によって影響の程度が変化することも明らかになった。具体的には、正常体重の人ではこの関連がより強く、身長が10cm高くなるごとに男性では86%、女性では67%、リスクが低下していた。それに対して過体重・肥満の人における10cmあたりのリスク低下率は、男性36%、女性30%にとどまった。.足が長いほど2型糖尿病リスクが低下するという関連も明らかになった。ただし、男性は身長で調整した後も足の長さとリスクが逆相関していたが、女性は身長で調整することにより関連が有意でなくなった。このほか、脂肪肝の有無やアディポネクチン値などの肥満関連指標で調整することによって、特に女性において身長と2型糖尿病リスクの関連が減弱することもわかった。.今回の研究は、単に身長と2型糖尿病リスクの関連を示したにとどまり因果関係を証明するものではないが、Schulze氏らによると、背が低い人は肝臓に脂肪が蓄積しやすく、心疾患や高血圧、高コレステロール、炎症などのリスク因子が多いことが影響している可能性が考えられるという。そしてSchulze氏は「身長が単独で2型糖尿病のリスクを左右するのではなく、身体の成長に関わる他の因子も関与しているだろう」と推察している。.同氏はまた、身長が低い人が糖尿病リスクに注意することが有用である可能性を認めつつも、「身長が何cm以下は高リスクだからスクリーニングが必要」といったカットオフ値を設定することができるか否かは不明だと述べ、「糖尿病の予防は体脂肪率や食生活、運動不足に気を付けることが鍵であり、それによってリスクを下げることができる」と語っている。.米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センターのJoel Zonszein氏は、身長が低いからといってこの知見を心配しすぎることがないよう助言している。Zonszein氏は「低身長による糖尿病リスクへの影響は小さなものである」とし、自身の患者の診療に際しては「身長の高低にかかわらず、家族歴、運動習慣、食生活、体脂肪の割合とその分布、血清脂質、血糖値などの重要なリスク因子を調べている」という。.また米レノックスヒル病院フリードマン糖尿病研究所のGerald Bernstein氏は、「大規模な観察研究であり興味深い結果」としつつ、実臨床への影響はないとの考えを示している。(HealthDay News 2019年 9月9日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/are-shorter-folks-at-higher-risk-for-type-2-diabetes-750115.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
身長と2型糖尿病のリスクが逆相関する、つまり、背が高いほど2型糖尿病になりにくいという観察研究の結果が、「Diabetologia」9月9日オンライン版に掲載された。身長が10cm高くなるごとに2型糖尿病リスクが、男性は41%、女性は33%下がるという。この報告はポツダム大学(ドイツ)のMatthias Schulze氏らによるもので、1994~1998年に研究登録された2万7,548人のドイツ人(35~65歳の女性1万6,644人、40~65歳の男性1万904人)のデータから、無作為に2,500人を抽出。追跡期間7年で820人が2型糖尿病を発症し、検査データが欠落している者などを除く698人と糖尿病非発症者を比較検討した。.解析により前述のように身長10cmあたり男性41%、女性33%のリスク低下という逆相関が見いだされたわけだが、この関連は体重によって影響の程度が変化することも明らかになった。具体的には、正常体重の人ではこの関連がより強く、身長が10cm高くなるごとに男性では86%、女性では67%、リスクが低下していた。それに対して過体重・肥満の人における10cmあたりのリスク低下率は、男性36%、女性30%にとどまった。.足が長いほど2型糖尿病リスクが低下するという関連も明らかになった。ただし、男性は身長で調整した後も足の長さとリスクが逆相関していたが、女性は身長で調整することにより関連が有意でなくなった。このほか、脂肪肝の有無やアディポネクチン値などの肥満関連指標で調整することによって、特に女性において身長と2型糖尿病リスクの関連が減弱することもわかった。.今回の研究は、単に身長と2型糖尿病リスクの関連を示したにとどまり因果関係を証明するものではないが、Schulze氏らによると、背が低い人は肝臓に脂肪が蓄積しやすく、心疾患や高血圧、高コレステロール、炎症などのリスク因子が多いことが影響している可能性が考えられるという。そしてSchulze氏は「身長が単独で2型糖尿病のリスクを左右するのではなく、身体の成長に関わる他の因子も関与しているだろう」と推察している。.同氏はまた、身長が低い人が糖尿病リスクに注意することが有用である可能性を認めつつも、「身長が何cm以下は高リスクだからスクリーニングが必要」といったカットオフ値を設定することができるか否かは不明だと述べ、「糖尿病の予防は体脂肪率や食生活、運動不足に気を付けることが鍵であり、それによってリスクを下げることができる」と語っている。.米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センターのJoel Zonszein氏は、身長が低いからといってこの知見を心配しすぎることがないよう助言している。Zonszein氏は「低身長による糖尿病リスクへの影響は小さなものである」とし、自身の患者の診療に際しては「身長の高低にかかわらず、家族歴、運動習慣、食生活、体脂肪の割合とその分布、血清脂質、血糖値などの重要なリスク因子を調べている」という。.また米レノックスヒル病院フリードマン糖尿病研究所のGerald Bernstein氏は、「大規模な観察研究であり興味深い結果」としつつ、実臨床への影響はないとの考えを示している。(HealthDay News 2019年 9月9日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/are-shorter-folks-at-higher-risk-for-type-2-diabetes-750115.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.