心疾患または腎疾患のある一部の痛風患者では、痛風治療薬のアロプリノールを使用すると、重篤な皮膚反応が起こりやすい可能性があるとする研究結果が報告された。研究を行った米マサチューセッツ総合病院リウマチ・アレルギー・免疫学部門のHyon Choi氏は、「研究結果は、心疾患が慢性腎臓病と同様、アロプリノール関連の重篤な皮膚有害反応のリスク因子となることを示唆するものであり、予防策を講じる必要がある」と述べている。研究の詳細は、「CMAJ」9月30日号に掲載された。痛風は炎症性関節炎の一種で、血液中の尿酸値が高い人に生じる。関節内で尿酸が針のような結晶を形成し、それにより突発性で重症の疼痛、圧痛、発赤、熱感、腫れなどの症状が現れる。痛風に対しては一般的にアロプリノールが処方される。しかし、台湾で行われた集団ベースの研究では、この薬剤に関連した重篤な皮膚反応において、心疾患が入院リスク上昇の独立したリスク因子であることが示唆されている。そこで、Choi氏らは今回、カナダの一般市民を対象に、アジア人ではないコホートにおいてもこの関連が認められるのか否かを調べる研究を実施した。.研究では、ブリティッシュコロンビア州の約470万人のデータを使用し、1997~2015年の間にアロプリノールを使用した約13万人を対象とした。アロプリノールの投与開始後3カ月以内に、この薬剤に関連した重篤な皮膚反応により109件の入院が生じていたことが確認された。.解析の結果、心疾患のある患者では、アロプリノールに関連した重篤な皮膚反応により入院するリスクが有意に高いことが分かった。また、慢性腎臓病を伴う心疾患患者で、初期投与量が100mg/日以上だった患者では、初期投与量が100mg/日未満だった心疾患または慢性腎臓病がない患者に比べ、アロプリノールに関連した重篤な皮膚反応により入院するリスクが11倍であった。しかし、慢性腎臓病および心疾患を持つ高リスク患者でも、投与量がこれより低かった(100mg/日未満)患者では、入院リスクは約5分の1に減少していた。.さらに、アジア人の人口比が高い地域に居住する、心疾患を有する70歳以上の高齢女性では、その他の地域に居住する、心疾患のない70歳未満の男性に比べ、アロプリノールに関連した重篤な皮膚反応により入院するリスクが23倍であることも明らかになった。Choi氏らによると、過去の研究により、アジア人および黒人で検出率が高い遺伝子マーカーHLA-B*5801は、アロプリノールに関連した重篤な皮膚反応と関連することが示されている。.こうした結果を受けChoi氏は、「アロプリノールを処方する医師は、心疾患や慢性腎臓病などのリスク因子の有無を確認し、低用量から開始する、HLA-B*5801のスクリーニングを行う、といった予防策を検討すべきである。それによって有害反応を防止できる可能性がある」と結論付けている。.また、Choi氏らによると、最近、米食品医薬品局(FDA)が、痛風治療薬フェブキソスタット(日本での商品名フェブリク)による心血管イベントリスクについて警告したため、アロプリノールの処方件数が今後増加する可能性が見込まれるという。しかし、同氏らは、「重篤な皮膚反応が生じるのはごくまれであり、アロプリノールは痛風管理において重要な役割を果たしている」と付け加えている。(HealthDay News 2019年10月1日).https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/gout-news-338/some-may-be-vulnerable-to-severe-skin-reaction-while-using-gout-drug-750720.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
心疾患または腎疾患のある一部の痛風患者では、痛風治療薬のアロプリノールを使用すると、重篤な皮膚反応が起こりやすい可能性があるとする研究結果が報告された。研究を行った米マサチューセッツ総合病院リウマチ・アレルギー・免疫学部門のHyon Choi氏は、「研究結果は、心疾患が慢性腎臓病と同様、アロプリノール関連の重篤な皮膚有害反応のリスク因子となることを示唆するものであり、予防策を講じる必要がある」と述べている。研究の詳細は、「CMAJ」9月30日号に掲載された。痛風は炎症性関節炎の一種で、血液中の尿酸値が高い人に生じる。関節内で尿酸が針のような結晶を形成し、それにより突発性で重症の疼痛、圧痛、発赤、熱感、腫れなどの症状が現れる。痛風に対しては一般的にアロプリノールが処方される。しかし、台湾で行われた集団ベースの研究では、この薬剤に関連した重篤な皮膚反応において、心疾患が入院リスク上昇の独立したリスク因子であることが示唆されている。そこで、Choi氏らは今回、カナダの一般市民を対象に、アジア人ではないコホートにおいてもこの関連が認められるのか否かを調べる研究を実施した。.研究では、ブリティッシュコロンビア州の約470万人のデータを使用し、1997~2015年の間にアロプリノールを使用した約13万人を対象とした。アロプリノールの投与開始後3カ月以内に、この薬剤に関連した重篤な皮膚反応により109件の入院が生じていたことが確認された。.解析の結果、心疾患のある患者では、アロプリノールに関連した重篤な皮膚反応により入院するリスクが有意に高いことが分かった。また、慢性腎臓病を伴う心疾患患者で、初期投与量が100mg/日以上だった患者では、初期投与量が100mg/日未満だった心疾患または慢性腎臓病がない患者に比べ、アロプリノールに関連した重篤な皮膚反応により入院するリスクが11倍であった。しかし、慢性腎臓病および心疾患を持つ高リスク患者でも、投与量がこれより低かった(100mg/日未満)患者では、入院リスクは約5分の1に減少していた。.さらに、アジア人の人口比が高い地域に居住する、心疾患を有する70歳以上の高齢女性では、その他の地域に居住する、心疾患のない70歳未満の男性に比べ、アロプリノールに関連した重篤な皮膚反応により入院するリスクが23倍であることも明らかになった。Choi氏らによると、過去の研究により、アジア人および黒人で検出率が高い遺伝子マーカーHLA-B*5801は、アロプリノールに関連した重篤な皮膚反応と関連することが示されている。.こうした結果を受けChoi氏は、「アロプリノールを処方する医師は、心疾患や慢性腎臓病などのリスク因子の有無を確認し、低用量から開始する、HLA-B*5801のスクリーニングを行う、といった予防策を検討すべきである。それによって有害反応を防止できる可能性がある」と結論付けている。.また、Choi氏らによると、最近、米食品医薬品局(FDA)が、痛風治療薬フェブキソスタット(日本での商品名フェブリク)による心血管イベントリスクについて警告したため、アロプリノールの処方件数が今後増加する可能性が見込まれるという。しかし、同氏らは、「重篤な皮膚反応が生じるのはごくまれであり、アロプリノールは痛風管理において重要な役割を果たしている」と付け加えている。(HealthDay News 2019年10月1日).https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/gout-news-338/some-may-be-vulnerable-to-severe-skin-reaction-while-using-gout-drug-750720.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.