米国の高齢者で脳卒中の罹患率は1980年代後半以降、低下し続けていることが米ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のJosef Coresh氏らの研究から明らかになった。米国の65歳以上の高齢者における脳卒中の罹患率は1987年から2017年にかけて10年当たり32%のペースで低下しており、男性/女性、白人/黒人にかかわりなく、一貫して低下傾向が続いているという。詳細は、「JAMA Neurology」9月30日オンライン版に発表された。この研究結果は、動脈硬化症のリスクに関する前向きコホート研究(ARIC試験)のデータに基づいたもの。同研究には1987~1989年の間に、米国4州から45~64歳の地域住民約1万5,800人が登録されており、1987~2011年の間に65歳以上の成人の間で脳卒中の罹患率が低下していたことが報告されていた。Coresh氏らは今回の研究で、ARIC試験で認められたこの低下が、2011年以降も継続しているのか否かを調べた。.ARIC試験参加者のうち1万4,357人(平均年齢54.1歳、55.4%が女性)を対象に解析した結果、1987~2017年の間に1,340件の脳卒中が発生しており、そのうち1,028件(76.7%)は65歳以上の人に生じていた。脳卒中の罹患率はこの期間に徐々に低下しており、65歳以上の人では10年当たり32%減少していたことが明らかになった。.しかし、Coresh氏らは、米国の高齢者で脳卒中の罹患率が低下した理由は明確には分からないとしている。脳卒中の主なリスク因子である喫煙の有無に着目すると、研究に組み入れられた高齢者では、以前と比べて喫煙者が減少していた。その一方で、高血圧や2型糖尿病といった他の脳卒中のリスク因子を有する人の割合は増加していた。.高血圧や2型糖尿病には治療法があり、適切に管理すれば脳卒中のリスクは低減する。しかし、集団レベルで見ると、脳卒中の罹患率の低下度は、リスク因子の管理により予測される低下度を上回っており、リスク因子の管理だけでは脳卒中の罹患率が低下した理由を完全に説明することはできなかったという。そのため、Coresh氏は、今回考慮されなかった他の要因、例えば運動や食塩摂取量、全般的な食事内容などが結果に影響した可能性があるとの見方を示している。.一方、米国心臓協会(AHA)および米国脳卒中学会(ASA)のスポークスパーソンで、米ケンタッキー大学神経学教授のLarry Goldstein氏は、65歳以下のより若い世代で近年、脳卒中の罹患率が上昇傾向にあることを指摘。また、以前は低下傾向にあった脳卒中による死亡率が再び上昇し始めていることにも言及し、「以前よりも重度の脳卒中に罹患する人が増えている可能性がある」との見解を示している。.その上でGoldstein氏は、顔の片側の下垂や麻痺、腕のしびれや脱力感、不明瞭な発語、突然の混乱状態、視覚障害や歩行障害、あるいは同氏の表現を借りれば「これまでに経験したことがないようなひどい頭痛」といった症状が、自分自身あるいは家族にみられたら、すぐに助けを求めることが重要だと呼び掛けている。(HealthDay News 2019年10月1日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-stroke-related-stroke-353/stroke-rate-continues-to-fall-among-older-americans-750818.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
米国の高齢者で脳卒中の罹患率は1980年代後半以降、低下し続けていることが米ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のJosef Coresh氏らの研究から明らかになった。米国の65歳以上の高齢者における脳卒中の罹患率は1987年から2017年にかけて10年当たり32%のペースで低下しており、男性/女性、白人/黒人にかかわりなく、一貫して低下傾向が続いているという。詳細は、「JAMA Neurology」9月30日オンライン版に発表された。この研究結果は、動脈硬化症のリスクに関する前向きコホート研究(ARIC試験)のデータに基づいたもの。同研究には1987~1989年の間に、米国4州から45~64歳の地域住民約1万5,800人が登録されており、1987~2011年の間に65歳以上の成人の間で脳卒中の罹患率が低下していたことが報告されていた。Coresh氏らは今回の研究で、ARIC試験で認められたこの低下が、2011年以降も継続しているのか否かを調べた。.ARIC試験参加者のうち1万4,357人(平均年齢54.1歳、55.4%が女性)を対象に解析した結果、1987~2017年の間に1,340件の脳卒中が発生しており、そのうち1,028件(76.7%)は65歳以上の人に生じていた。脳卒中の罹患率はこの期間に徐々に低下しており、65歳以上の人では10年当たり32%減少していたことが明らかになった。.しかし、Coresh氏らは、米国の高齢者で脳卒中の罹患率が低下した理由は明確には分からないとしている。脳卒中の主なリスク因子である喫煙の有無に着目すると、研究に組み入れられた高齢者では、以前と比べて喫煙者が減少していた。その一方で、高血圧や2型糖尿病といった他の脳卒中のリスク因子を有する人の割合は増加していた。.高血圧や2型糖尿病には治療法があり、適切に管理すれば脳卒中のリスクは低減する。しかし、集団レベルで見ると、脳卒中の罹患率の低下度は、リスク因子の管理により予測される低下度を上回っており、リスク因子の管理だけでは脳卒中の罹患率が低下した理由を完全に説明することはできなかったという。そのため、Coresh氏は、今回考慮されなかった他の要因、例えば運動や食塩摂取量、全般的な食事内容などが結果に影響した可能性があるとの見方を示している。.一方、米国心臓協会(AHA)および米国脳卒中学会(ASA)のスポークスパーソンで、米ケンタッキー大学神経学教授のLarry Goldstein氏は、65歳以下のより若い世代で近年、脳卒中の罹患率が上昇傾向にあることを指摘。また、以前は低下傾向にあった脳卒中による死亡率が再び上昇し始めていることにも言及し、「以前よりも重度の脳卒中に罹患する人が増えている可能性がある」との見解を示している。.その上でGoldstein氏は、顔の片側の下垂や麻痺、腕のしびれや脱力感、不明瞭な発語、突然の混乱状態、視覚障害や歩行障害、あるいは同氏の表現を借りれば「これまでに経験したことがないようなひどい頭痛」といった症状が、自分自身あるいは家族にみられたら、すぐに助けを求めることが重要だと呼び掛けている。(HealthDay News 2019年10月1日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-stroke-related-stroke-353/stroke-rate-continues-to-fall-among-older-americans-750818.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.