米国では、65歳以上の高齢者人口の増加に伴い、心不全による死亡が急激に増加していることが、カイザー・パーマネンテ・オークランド医療センターのJamal Rana氏らの研究で明らかになった。心疾患による死亡者の8人に1人は心不全を死因としており、10人中9人は65歳以上であるという。研究の詳細は、「JAMA Cardiology」10月30日オンライン版に掲載された。米国では、2011~2017年の間に65歳以上の高齢者人口が4,140万人から5,090万人へと急激に増加した。Rana氏らは今回、米疾病対策センター(CDC)が作成する保険・医療のデータベース(CDC WONDER)を利用して、この高齢者人口の増加と心疾患による死亡率との関連について調べる研究を実施した。.その結果、2017年の心疾患による死亡者数は、2011年から約5万1,000人増加して64万7,000人以上に上っていたことが明らかになった。このうち、心不全を死因とする死亡者数はおよそ8万人であり、2011年に比べておよそ2万2,000人増加していた。2011~2017年の間に、心不全による年齢調整死亡率は20.7%の増加、心不全による死亡者数は38.0%の増加であり、死亡率、死亡者数ともに、著しい上昇をみせていた。また、心疾患全体での死亡者数は8.5%の増加であったが、その80%は65歳以上の高齢者で生じていたことも明らかになった。.結果を受けRana氏は、「われわれは今まさに、心疾患と心不全を抱えた高齢者が一気に増加する"シルバーツナミ"を経験している。この増加がもたらす影響に備えて、患者に対する臨床ケアを改良し医療システムレベルで早急に対策を整える必要がある」と述べている。.この研究の筆頭著者でカイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのリサーチ部門上級研究員のStephen Sidney氏は、「米国では現在、心疾患により死亡する高齢者が劇的に増加しており、なかでも心不全による死亡が多い」と話す。心不全は心臓のポンプ機能が低下して全身に血液を十分に送り出せなくなった消耗性の病態であり、長期にわたりQOLが低下する。同氏はさらに、米国では65歳以上の人口が2017年から2030年にかけてさらに44%(2,200万人)増加する見込みであることを指摘し、「今後、心不全患者の数は増えるばかりだろう。今回の研究結果は、65歳以上の高齢者における心臓の健康に重点的に取り組むことの大切さを浮き彫りにするものだ」としている。(HealthDay News 2019年10月30日).https://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/heart-failure-news-753/dramatic-increase-seen-in-u-s-deaths-from-heart-failure-751702.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
米国では、65歳以上の高齢者人口の増加に伴い、心不全による死亡が急激に増加していることが、カイザー・パーマネンテ・オークランド医療センターのJamal Rana氏らの研究で明らかになった。心疾患による死亡者の8人に1人は心不全を死因としており、10人中9人は65歳以上であるという。研究の詳細は、「JAMA Cardiology」10月30日オンライン版に掲載された。米国では、2011~2017年の間に65歳以上の高齢者人口が4,140万人から5,090万人へと急激に増加した。Rana氏らは今回、米疾病対策センター(CDC)が作成する保険・医療のデータベース(CDC WONDER)を利用して、この高齢者人口の増加と心疾患による死亡率との関連について調べる研究を実施した。.その結果、2017年の心疾患による死亡者数は、2011年から約5万1,000人増加して64万7,000人以上に上っていたことが明らかになった。このうち、心不全を死因とする死亡者数はおよそ8万人であり、2011年に比べておよそ2万2,000人増加していた。2011~2017年の間に、心不全による年齢調整死亡率は20.7%の増加、心不全による死亡者数は38.0%の増加であり、死亡率、死亡者数ともに、著しい上昇をみせていた。また、心疾患全体での死亡者数は8.5%の増加であったが、その80%は65歳以上の高齢者で生じていたことも明らかになった。.結果を受けRana氏は、「われわれは今まさに、心疾患と心不全を抱えた高齢者が一気に増加する"シルバーツナミ"を経験している。この増加がもたらす影響に備えて、患者に対する臨床ケアを改良し医療システムレベルで早急に対策を整える必要がある」と述べている。.この研究の筆頭著者でカイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのリサーチ部門上級研究員のStephen Sidney氏は、「米国では現在、心疾患により死亡する高齢者が劇的に増加しており、なかでも心不全による死亡が多い」と話す。心不全は心臓のポンプ機能が低下して全身に血液を十分に送り出せなくなった消耗性の病態であり、長期にわたりQOLが低下する。同氏はさらに、米国では65歳以上の人口が2017年から2030年にかけてさらに44%(2,200万人)増加する見込みであることを指摘し、「今後、心不全患者の数は増えるばかりだろう。今回の研究結果は、65歳以上の高齢者における心臓の健康に重点的に取り組むことの大切さを浮き彫りにするものだ」としている。(HealthDay News 2019年10月30日).https://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/heart-failure-news-753/dramatic-increase-seen-in-u-s-deaths-from-heart-failure-751702.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.