ダウン症の人の多くが55歳までに認知症になることが、ウィスコンシン州のダウン症者3,000人を対象にした研究により示唆された。ダウン症ではない人が65歳になる前に認知症と診断されることはめったにないが、ダウン症者では5人に3人が55歳までに、アルツハイマー病もしくは同様の神経変性疾患と診断される可能性があるという。この研究は「JAMA Neurology」10月28日オンライン版に掲載された。ダウン症は21番目の染色体が1本余分にあることを原因とする疾患である。先天性心疾患を合併することが多く、かつては心疾患が原因で多くの人が若いうちに死亡し、中年期まで生きることはまれであった。現在では治療の進歩を受け、ダウン症者でも健康を保ちながら長生きできるようになった。しかし、その一方で認知症の発症リスクが上昇した上に、ダウン症でない人に比べて若年齢で認知症と診断される率も高くなっている。研究グループによると、解剖所見では、ダウン症の成人の脳には40歳までにほぼ例外なく認知症の兆候がみられるという。.今回、米ウィスコンシン大学マディソン校ソーシャルワーク教授のLauren Bishop氏らは、ウィスコンシン州の21歳以上のダウン症者3,000人の2008年1月1日から2018年12月31日までのメディケイド請求データを分析した。その結果、ダウン症者の5人に3人は55歳までにアルツハイマー病またはその他の認知症の診断を受けると予想されることが分かった。Bishop氏は「(請求データにおいて)最初の時点で認知症がなくても、時間の経過とともに認知症と診断される確率が年々上がっていくことが明らかになった。ダウン症者では、55歳の時点で何らかの認知症になっている確率は61%である」と説明する。.今回の研究論文の筆頭著者で、同大学ワイズマンセンターのEric Rubenstein氏は、「政策担当者に事の重大さを伝えるには、具体的な数字を挙げることが重要である。今回の研究により得られた結果は、55歳までにダウン症者の5人に3人が認知症になるという明確なものだった。政策担当者はこの結果を意思決定の根拠として利用できるはずだ」と述べている。.研究グループは、今回の研究により得られた知見がダウン症者に対する地域支援を向上させるとともに、家族にとっても、例えば認知症の専門施設に早めに登録しておくなど、ダウン症者の将来に備える上で助けになる可能性があるとしている。「ケースマネージャー、グループホーム、生活支援やジョブコーチなどを通してであれ、社会として何らかの方法で弱者を支援していく必要がある。ダウン症者にとってこのことは、生涯を通じて非常に重要である」とBishop氏は述べている。(HealthDay News 2019年11月4日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/down-syndrome-news-209/down-syndrome-carries-raised-risk-of-dementia-by-55-751635.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
ダウン症の人の多くが55歳までに認知症になることが、ウィスコンシン州のダウン症者3,000人を対象にした研究により示唆された。ダウン症ではない人が65歳になる前に認知症と診断されることはめったにないが、ダウン症者では5人に3人が55歳までに、アルツハイマー病もしくは同様の神経変性疾患と診断される可能性があるという。この研究は「JAMA Neurology」10月28日オンライン版に掲載された。ダウン症は21番目の染色体が1本余分にあることを原因とする疾患である。先天性心疾患を合併することが多く、かつては心疾患が原因で多くの人が若いうちに死亡し、中年期まで生きることはまれであった。現在では治療の進歩を受け、ダウン症者でも健康を保ちながら長生きできるようになった。しかし、その一方で認知症の発症リスクが上昇した上に、ダウン症でない人に比べて若年齢で認知症と診断される率も高くなっている。研究グループによると、解剖所見では、ダウン症の成人の脳には40歳までにほぼ例外なく認知症の兆候がみられるという。.今回、米ウィスコンシン大学マディソン校ソーシャルワーク教授のLauren Bishop氏らは、ウィスコンシン州の21歳以上のダウン症者3,000人の2008年1月1日から2018年12月31日までのメディケイド請求データを分析した。その結果、ダウン症者の5人に3人は55歳までにアルツハイマー病またはその他の認知症の診断を受けると予想されることが分かった。Bishop氏は「(請求データにおいて)最初の時点で認知症がなくても、時間の経過とともに認知症と診断される確率が年々上がっていくことが明らかになった。ダウン症者では、55歳の時点で何らかの認知症になっている確率は61%である」と説明する。.今回の研究論文の筆頭著者で、同大学ワイズマンセンターのEric Rubenstein氏は、「政策担当者に事の重大さを伝えるには、具体的な数字を挙げることが重要である。今回の研究により得られた結果は、55歳までにダウン症者の5人に3人が認知症になるという明確なものだった。政策担当者はこの結果を意思決定の根拠として利用できるはずだ」と述べている。.研究グループは、今回の研究により得られた知見がダウン症者に対する地域支援を向上させるとともに、家族にとっても、例えば認知症の専門施設に早めに登録しておくなど、ダウン症者の将来に備える上で助けになる可能性があるとしている。「ケースマネージャー、グループホーム、生活支援やジョブコーチなどを通してであれ、社会として何らかの方法で弱者を支援していく必要がある。ダウン症者にとってこのことは、生涯を通じて非常に重要である」とBishop氏は述べている。(HealthDay News 2019年11月4日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/down-syndrome-news-209/down-syndrome-carries-raised-risk-of-dementia-by-55-751635.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.