糖尿病が引き起こす合併症のうち心血管疾患(CVD)に関しては、男性よりも女性でよりリスクが高いことを示した報告が「European Journal of Preventive Cardiology」11月13日オンライン版に掲載された。アムステルダム大学医療センター(オランダ)の Joline Beulens氏らが、糖尿病心血管合併症に関するこれまでに発表されている疫学研究論文をレビューした結果、明らかになった。報告によると、糖尿病患者は糖尿病でない人より平均15年早くCVDを発症する。そしてCVDが糖尿病患者の主要な死亡原因であり、特に女性において糖尿病とCVDの関連が強いという。世界中で糖尿病のために亡くなる人は1年間で、女性は210万人、男性は180万人と推計され、この性差は主に糖尿病女性のCVDリスクが高いためだとしている。.CVDの中でも冠動脈性心疾患(CHD)は致命率が高い。糖尿病患者における有病率は14~21%であり、女性糖尿病患者がCHDで死亡するリスクは非糖尿病女性の1.81倍に上る。一方、男性糖尿病患者のCHDによる死亡リスクは非糖尿病男性の1.48倍だった。下肢の切断につながる恐れもある末梢動脈疾患(PAD)については有病率が16~29%で、女性患者は男性患者の1.8倍高リスクだった。.2型糖尿病患者のCVDの初期症状として2番目に多い疾患は心不全で、その有病率は19~26%という。女性糖尿病患者の心不全リスクは非糖尿病女性の5倍であり、一方、男性糖尿病患者の心不全リスクは非糖尿病男性の2倍であった。.現在、これらの性差が生じる原因を解明するための研究が進められている。なお、今回の報告では、性差によるリスクの違いが見られなかった他の合併症の状況もまとめられている。例えば、脳卒中の有病率は8~12%でリスクは男性と女性で同等だった。自律神経障害も有病率は31~73%で性差はなかった。その他、腎症の有病率は29~61%、網膜症は34%で、網膜症については糖尿病の病型による違いが大きく、1型糖尿病では77.3%、2型糖尿病では25.2%だった。.これら各種合併症の状況分析の他に、今後の糖尿病患者数の予測もなされている。それによると、2040年までに全世界の糖尿病患者数が6億2,900万人に達する可能性があるという。.Beulens氏は「肥満の増加に伴い糖尿病の有病率が大幅に上昇している。2型糖尿病は生活習慣病であるため、より健康的な生活習慣にすることでこの流れを止めることが可能だ」と述べている。また欧州心臓病学会のニュースリリース内で「糖尿病患者にとって最も重要なのは生活習慣の改善だ。生活習慣の改善のみでは血糖コントロールや合併症のリスクを十分に抑制できない場合に、二番手の治療として血糖降下療法を開始する必要がある」と付け加えている。(HealthDay News 2019年 11月18日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-management-news-180/diabetes-tougher-on-women-s-hearts-752165.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
糖尿病が引き起こす合併症のうち心血管疾患(CVD)に関しては、男性よりも女性でよりリスクが高いことを示した報告が「European Journal of Preventive Cardiology」11月13日オンライン版に掲載された。アムステルダム大学医療センター(オランダ)の Joline Beulens氏らが、糖尿病心血管合併症に関するこれまでに発表されている疫学研究論文をレビューした結果、明らかになった。報告によると、糖尿病患者は糖尿病でない人より平均15年早くCVDを発症する。そしてCVDが糖尿病患者の主要な死亡原因であり、特に女性において糖尿病とCVDの関連が強いという。世界中で糖尿病のために亡くなる人は1年間で、女性は210万人、男性は180万人と推計され、この性差は主に糖尿病女性のCVDリスクが高いためだとしている。.CVDの中でも冠動脈性心疾患(CHD)は致命率が高い。糖尿病患者における有病率は14~21%であり、女性糖尿病患者がCHDで死亡するリスクは非糖尿病女性の1.81倍に上る。一方、男性糖尿病患者のCHDによる死亡リスクは非糖尿病男性の1.48倍だった。下肢の切断につながる恐れもある末梢動脈疾患(PAD)については有病率が16~29%で、女性患者は男性患者の1.8倍高リスクだった。.2型糖尿病患者のCVDの初期症状として2番目に多い疾患は心不全で、その有病率は19~26%という。女性糖尿病患者の心不全リスクは非糖尿病女性の5倍であり、一方、男性糖尿病患者の心不全リスクは非糖尿病男性の2倍であった。.現在、これらの性差が生じる原因を解明するための研究が進められている。なお、今回の報告では、性差によるリスクの違いが見られなかった他の合併症の状況もまとめられている。例えば、脳卒中の有病率は8~12%でリスクは男性と女性で同等だった。自律神経障害も有病率は31~73%で性差はなかった。その他、腎症の有病率は29~61%、網膜症は34%で、網膜症については糖尿病の病型による違いが大きく、1型糖尿病では77.3%、2型糖尿病では25.2%だった。.これら各種合併症の状況分析の他に、今後の糖尿病患者数の予測もなされている。それによると、2040年までに全世界の糖尿病患者数が6億2,900万人に達する可能性があるという。.Beulens氏は「肥満の増加に伴い糖尿病の有病率が大幅に上昇している。2型糖尿病は生活習慣病であるため、より健康的な生活習慣にすることでこの流れを止めることが可能だ」と述べている。また欧州心臓病学会のニュースリリース内で「糖尿病患者にとって最も重要なのは生活習慣の改善だ。生活習慣の改善のみでは血糖コントロールや合併症のリスクを十分に抑制できない場合に、二番手の治療として血糖降下療法を開始する必要がある」と付け加えている。(HealthDay News 2019年 11月18日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-management-news-180/diabetes-tougher-on-women-s-hearts-752165.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.