妊娠中に抗HIV薬のエファビレンツを使用していた女性から生まれた小児は、母親が妊娠中に他の抗HIV薬を使用していた小児と比べて、頭部が小さい「小頭症」と呼ばれる先天異常リスクが高いことが、米国立小児保健発達研究所(NICHD)のRohan Hazra氏らの研究で分かった。この研究では、胎児期のエファビレンツへの曝露は、小児期の発達遅滞に関連することも示された。研究の詳細は「The Lancet HIV」11月15日オンライン版に掲載された。Hazra氏らは今回、妊娠中に抗HIV薬を使用していた米国人女性から生まれた小児3,055人を対象に、前向きに追跡する観察研究を実施した。生後6カ月以降、5~7歳まで小児の頭囲を測定。3歳未満の小児については米疾病対策センター(CDC)が開発した分類法を、3歳以上の小児についてはNellhausの頭囲成長曲線を用いて、頭部の成長の度合いを評価した。.その結果、Nellhausの成長曲線を用いると、妊娠中にエファビレンツを使用していた母親から生まれた小児では、他の抗HIV薬を使用していた母親から生まれた小児と比べて小頭症になる確率が2倍以上であることが分かった。.また、NellhausとCDCの基準を組み合わせると、胎児期にエファビレンツに曝露した小児では、他の抗HIV薬に曝露した小児と比べて小頭症リスクは約2.5倍に上った。さらに、Nellhausの成長曲線に基づき小頭症と判定された小児では、1歳と5歳のそれぞれの時点における標準化した発達検査のスコアが低かった。.なお、胎児期にエファビレンツに曝露した141人の小児のうち、14人(9.9%)が小頭症だった。一方、エファビレンツ以外の抗HIV薬に曝露した小児は2,842人だったが、このうち小頭症は142人(5%)だった。.ただし、米国のある専門家によれば、この新たなデータは、ほとんどのHIV陽性の女性にとって懸念すべきものではないという。その一人で、米ノースウェル・ヘルスHIVサービスラインプログラムのJoseph McGowan氏は「サルを用いた複数の研究で、エファビレンツと神経管閉鎖障害の関連性が報告されたことを受け、米国では妊婦に対して同薬はほとんど使用されていない」と説明している。.McGowan氏は「現在では、抗レトロウイルス療法におけるエファビレンツの推奨度は下げられており、米国を始めとする先進国では、この研究結果がもたらす影響は限定的なものである可能性が高い」と指摘。その上で、「この研究の重要なメッセージは、エファビレンツを除けば、妊娠中の抗レトロウイルス薬の使用は胎児にとって安全であるということだ。このことは、医師や母親たちの安心につながるはずだ」と話している。.一方、Hazra氏は、この研究は因果関係を証明するものではないとしながらも、「私たちの研究結果は、HIV陽性の妊婦では、エファビレンツを含んだ併用療法に代わる治療選択肢が必要であることを示す根拠となるものだ」と話している。(HealthDay News 2019年11月22日).https://consumer.healthday.com/aids-information-1/aids-and-hiv-sexually-transmitted-diseases-news-607/an-hiv-med-is-tied-to-too-small-heads-in-newborns-752265.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
妊娠中に抗HIV薬のエファビレンツを使用していた女性から生まれた小児は、母親が妊娠中に他の抗HIV薬を使用していた小児と比べて、頭部が小さい「小頭症」と呼ばれる先天異常リスクが高いことが、米国立小児保健発達研究所(NICHD)のRohan Hazra氏らの研究で分かった。この研究では、胎児期のエファビレンツへの曝露は、小児期の発達遅滞に関連することも示された。研究の詳細は「The Lancet HIV」11月15日オンライン版に掲載された。Hazra氏らは今回、妊娠中に抗HIV薬を使用していた米国人女性から生まれた小児3,055人を対象に、前向きに追跡する観察研究を実施した。生後6カ月以降、5~7歳まで小児の頭囲を測定。3歳未満の小児については米疾病対策センター(CDC)が開発した分類法を、3歳以上の小児についてはNellhausの頭囲成長曲線を用いて、頭部の成長の度合いを評価した。.その結果、Nellhausの成長曲線を用いると、妊娠中にエファビレンツを使用していた母親から生まれた小児では、他の抗HIV薬を使用していた母親から生まれた小児と比べて小頭症になる確率が2倍以上であることが分かった。.また、NellhausとCDCの基準を組み合わせると、胎児期にエファビレンツに曝露した小児では、他の抗HIV薬に曝露した小児と比べて小頭症リスクは約2.5倍に上った。さらに、Nellhausの成長曲線に基づき小頭症と判定された小児では、1歳と5歳のそれぞれの時点における標準化した発達検査のスコアが低かった。.なお、胎児期にエファビレンツに曝露した141人の小児のうち、14人(9.9%)が小頭症だった。一方、エファビレンツ以外の抗HIV薬に曝露した小児は2,842人だったが、このうち小頭症は142人(5%)だった。.ただし、米国のある専門家によれば、この新たなデータは、ほとんどのHIV陽性の女性にとって懸念すべきものではないという。その一人で、米ノースウェル・ヘルスHIVサービスラインプログラムのJoseph McGowan氏は「サルを用いた複数の研究で、エファビレンツと神経管閉鎖障害の関連性が報告されたことを受け、米国では妊婦に対して同薬はほとんど使用されていない」と説明している。.McGowan氏は「現在では、抗レトロウイルス療法におけるエファビレンツの推奨度は下げられており、米国を始めとする先進国では、この研究結果がもたらす影響は限定的なものである可能性が高い」と指摘。その上で、「この研究の重要なメッセージは、エファビレンツを除けば、妊娠中の抗レトロウイルス薬の使用は胎児にとって安全であるということだ。このことは、医師や母親たちの安心につながるはずだ」と話している。.一方、Hazra氏は、この研究は因果関係を証明するものではないとしながらも、「私たちの研究結果は、HIV陽性の妊婦では、エファビレンツを含んだ併用療法に代わる治療選択肢が必要であることを示す根拠となるものだ」と話している。(HealthDay News 2019年11月22日).https://consumer.healthday.com/aids-information-1/aids-and-hiv-sexually-transmitted-diseases-news-607/an-hiv-med-is-tied-to-too-small-heads-in-newborns-752265.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.