母親が妊娠前に糖尿病または妊娠糖尿病の場合、その子どもは40歳までに心血管疾患(CVD)を発症するリスクが高く、母親が妊娠時に合併症を有している場合はさらにハイリスクであることが報告された。オーフス大学病院(デンマーク)のYongfu Yu氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ」12月4日オンライン版に掲載された。Yu氏らは、1977~2016年にデンマークで生まれた先天性心疾患のない243万2,000人を対象に最長40年間追跡。母親の糖尿病の有無および病型と早期発症CVDとの関連を、本人の出生年、性別、母親の妊娠中の喫煙、教育レベル、および出生前の両親のCVD既往などで調整した上で検討した。.その結果、母親が妊娠前糖尿病または妊娠糖尿病の場合、生まれた子どもが40歳までにCVDを発症する確率は約18%であり、母親が糖尿病でない場合の約13%に比べ、有意に高リスクだった(ハザード比1.29)。糖尿病の病型別の検討では、母親が1型糖尿病の場合、子どもの早期発症CVDのリスクはハザード比1.31、2型糖尿病では同1.39、妊娠糖尿病では同1.19で、いずれも有意だった。.CVDの中でも肺塞栓症(同1.91)と深部静脈血栓症(同1.82)において顕著なリスク上昇が認められ、高血圧症(同1.78)もリスクが有意に高かった。虚血性心疾患のリスク上昇は有意でなかった(同1.18)。.今回の研究では、母親が妊娠前の段階で既に糖尿病合併症を発症していた場合と、そうでない場合に分けたリスク解析も行っている。それによると、妊娠前に糖尿病ではあるものの合併症は未発症の場合、子どもの早期発症CVDリスクはハザード比1.31であるのに対し、妊娠前に既に合併症を発症していた場合は同1.60であり、22%のリスク上昇が認められた。また、妊娠前に糖尿病はなくCVDの既往がある場合、子どもの早期発症CVDリスクは同1.33、糖尿病に加えてCVDがある場合は同1.73で、いずれも有意だった。.著者らは本研究を「観察研究であり因果関係を証明するものではない」としながらも、「母親に糖尿病があり、特に糖尿病合併症やCVDの既往歴が併存する場合、子どもがCVDを早期発症する率が高いというエビデンスを提供するもの」と述べている。また、「出産年齢にある女性の糖尿病スクリーニングと、生まれた子どもに対するCVD発症予防の重要性が浮き彫りになった。子どものCVDリスクを抑制するには、妊婦にどの程度の血糖値管理が必要かについて、さらなる研究が必要」とまとめている。(HealthDay News 2019年 12月5日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/mom-to-be-s-diabetes-may-up-odds-of-heart-disease-in-her-kids-752740.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
母親が妊娠前に糖尿病または妊娠糖尿病の場合、その子どもは40歳までに心血管疾患(CVD)を発症するリスクが高く、母親が妊娠時に合併症を有している場合はさらにハイリスクであることが報告された。オーフス大学病院(デンマーク)のYongfu Yu氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ」12月4日オンライン版に掲載された。Yu氏らは、1977~2016年にデンマークで生まれた先天性心疾患のない243万2,000人を対象に最長40年間追跡。母親の糖尿病の有無および病型と早期発症CVDとの関連を、本人の出生年、性別、母親の妊娠中の喫煙、教育レベル、および出生前の両親のCVD既往などで調整した上で検討した。.その結果、母親が妊娠前糖尿病または妊娠糖尿病の場合、生まれた子どもが40歳までにCVDを発症する確率は約18%であり、母親が糖尿病でない場合の約13%に比べ、有意に高リスクだった(ハザード比1.29)。糖尿病の病型別の検討では、母親が1型糖尿病の場合、子どもの早期発症CVDのリスクはハザード比1.31、2型糖尿病では同1.39、妊娠糖尿病では同1.19で、いずれも有意だった。.CVDの中でも肺塞栓症(同1.91)と深部静脈血栓症(同1.82)において顕著なリスク上昇が認められ、高血圧症(同1.78)もリスクが有意に高かった。虚血性心疾患のリスク上昇は有意でなかった(同1.18)。.今回の研究では、母親が妊娠前の段階で既に糖尿病合併症を発症していた場合と、そうでない場合に分けたリスク解析も行っている。それによると、妊娠前に糖尿病ではあるものの合併症は未発症の場合、子どもの早期発症CVDリスクはハザード比1.31であるのに対し、妊娠前に既に合併症を発症していた場合は同1.60であり、22%のリスク上昇が認められた。また、妊娠前に糖尿病はなくCVDの既往がある場合、子どもの早期発症CVDリスクは同1.33、糖尿病に加えてCVDがある場合は同1.73で、いずれも有意だった。.著者らは本研究を「観察研究であり因果関係を証明するものではない」としながらも、「母親に糖尿病があり、特に糖尿病合併症やCVDの既往歴が併存する場合、子どもがCVDを早期発症する率が高いというエビデンスを提供するもの」と述べている。また、「出産年齢にある女性の糖尿病スクリーニングと、生まれた子どもに対するCVD発症予防の重要性が浮き彫りになった。子どものCVDリスクを抑制するには、妊婦にどの程度の血糖値管理が必要かについて、さらなる研究が必要」とまとめている。(HealthDay News 2019年 12月5日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/mom-to-be-s-diabetes-may-up-odds-of-heart-disease-in-her-kids-752740.html.Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.