スマートフォン(スマホ)やタブレット、ノートPC―今やどの家庭にもあるこうした携帯型のデバイスに幼い子どもは夢中になる。そんな子どもの好奇心を活用して、こうしたデバイスのアプリを使えば、子どもの学習能力を高められる可能性があるとする研究結果が報告された。特に初歩段階の算数や言語スキルの習得に有用であったという。詳細は、「Pediatrics」12月23日オンライン版に発表された。米国小児科学会(AAP)は、子どものスクリーンタイム(携帯型デバイスやテレビなどの画面を見ている時間)に関するガイドラインをまとめている。それによると、18カ月未満の乳幼児には、ビデオ通話以外の目的でスクリーンタイムを与えるべきではなく、18~24カ月の子どもにデジタル機器を使わせる場合には、親子で利用できる質の高いアプリに限定して使用することを推奨し、2歳以上では、スクリーンタイムを1日1時間以内に制限すべきとしている。.米フロリダ国際大学のShayl Griffith氏は「スクリーンタイムは生活に浸透している。親は子どものスクリーンタイムの長さだけに注意を払うのではなく、スクリーンタイムを有効活用することも意識すべきだ」と主張する。今回、同氏らは、過度のスクリーンタイムがもたらすリスクではなく、アプリ利用のメリットに着目。さまざまな子ども向けアプリが、何らかのスキルの習得に役立つのかどうかを調べた。.Griffith氏らは、これまでに発表された米国、英国、オーストラリア、カナダ、アラブ首長国連邦(UAE)、イタリア、ギリシャ、クロアチア、オランダ、ドイツの6歳未満の子どもを対象とした35件の研究データを収集し、総計4,639人の子どものデータを解析した。.解析には、指示に応じたタッチスクリーン操作により画面の表示内容が変化するインタラクティブ(参加型)ゲームのアプリを対象とした研究のみを用いた。そのうち3件は、顔の表情を読み取ることを求めるアプリなど、自閉症の子どもが社会的コミュニケーションスキルを学ぶために開発されたアプリについて検討したものだった。.その結果、アプリの効果が最も高いのは、算数や、読み書きを覚える前の段階の言語スキルの習得であることが明らかになった。この結果についてGriffith氏は、「アプリによる学習は、さまざまなバリエーションで繰り返し練習する必要がある基本的な学力の習得に向いている可能性がある」と説明している。.一方、自閉症の子どもの社会的コミュニケーションスキルの習得において、アプリに明らかな効果はないことが示された。自閉症の子どもは、アプリを繰り返し使うことでプレイ自体は上達したが、それが実生活での社会的コミュニケーションスキルに結びつくことはなかったという。.米ハーバード大学およびボストン小児病院のMichael Rich氏は、論文の付随論評の中で、本や黒板も含めた全てのメディアに教育効果があるが、それぞれ学習できる内容や学習方法に違いがあることを認識しておくべきだと指摘。「スマホやタブレットの画面は子どもの注意を引くのにうってつけだが、逆に、そこから子どもの気をそらすのは、本から気をそらすよりも難しい。だからといって、こうしたデバイスが本質的に悪いものだということにはならない。さまざまな目的で使用できるツールになり得る」と述べている。.ただし、Rich氏はテレビやタブレットなどを常時ベビーシッター代わりに使わないようにすることの重要性を強調。子どもが画面に映し出される情報を処理するには、親がそばで手助けする必要があるとしている。(HealthDay News 2019年12月23日).https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/child-development-news-124/can-apps-make-your-kids-smarter-753244.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
スマートフォン(スマホ)やタブレット、ノートPC―今やどの家庭にもあるこうした携帯型のデバイスに幼い子どもは夢中になる。そんな子どもの好奇心を活用して、こうしたデバイスのアプリを使えば、子どもの学習能力を高められる可能性があるとする研究結果が報告された。特に初歩段階の算数や言語スキルの習得に有用であったという。詳細は、「Pediatrics」12月23日オンライン版に発表された。米国小児科学会(AAP)は、子どものスクリーンタイム(携帯型デバイスやテレビなどの画面を見ている時間)に関するガイドラインをまとめている。それによると、18カ月未満の乳幼児には、ビデオ通話以外の目的でスクリーンタイムを与えるべきではなく、18~24カ月の子どもにデジタル機器を使わせる場合には、親子で利用できる質の高いアプリに限定して使用することを推奨し、2歳以上では、スクリーンタイムを1日1時間以内に制限すべきとしている。.米フロリダ国際大学のShayl Griffith氏は「スクリーンタイムは生活に浸透している。親は子どものスクリーンタイムの長さだけに注意を払うのではなく、スクリーンタイムを有効活用することも意識すべきだ」と主張する。今回、同氏らは、過度のスクリーンタイムがもたらすリスクではなく、アプリ利用のメリットに着目。さまざまな子ども向けアプリが、何らかのスキルの習得に役立つのかどうかを調べた。.Griffith氏らは、これまでに発表された米国、英国、オーストラリア、カナダ、アラブ首長国連邦(UAE)、イタリア、ギリシャ、クロアチア、オランダ、ドイツの6歳未満の子どもを対象とした35件の研究データを収集し、総計4,639人の子どものデータを解析した。.解析には、指示に応じたタッチスクリーン操作により画面の表示内容が変化するインタラクティブ(参加型)ゲームのアプリを対象とした研究のみを用いた。そのうち3件は、顔の表情を読み取ることを求めるアプリなど、自閉症の子どもが社会的コミュニケーションスキルを学ぶために開発されたアプリについて検討したものだった。.その結果、アプリの効果が最も高いのは、算数や、読み書きを覚える前の段階の言語スキルの習得であることが明らかになった。この結果についてGriffith氏は、「アプリによる学習は、さまざまなバリエーションで繰り返し練習する必要がある基本的な学力の習得に向いている可能性がある」と説明している。.一方、自閉症の子どもの社会的コミュニケーションスキルの習得において、アプリに明らかな効果はないことが示された。自閉症の子どもは、アプリを繰り返し使うことでプレイ自体は上達したが、それが実生活での社会的コミュニケーションスキルに結びつくことはなかったという。.米ハーバード大学およびボストン小児病院のMichael Rich氏は、論文の付随論評の中で、本や黒板も含めた全てのメディアに教育効果があるが、それぞれ学習できる内容や学習方法に違いがあることを認識しておくべきだと指摘。「スマホやタブレットの画面は子どもの注意を引くのにうってつけだが、逆に、そこから子どもの気をそらすのは、本から気をそらすよりも難しい。だからといって、こうしたデバイスが本質的に悪いものだということにはならない。さまざまな目的で使用できるツールになり得る」と述べている。.ただし、Rich氏はテレビやタブレットなどを常時ベビーシッター代わりに使わないようにすることの重要性を強調。子どもが画面に映し出される情報を処理するには、親がそばで手助けする必要があるとしている。(HealthDay News 2019年12月23日).https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/child-development-news-124/can-apps-make-your-kids-smarter-753244.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.