これまで、カルシウムとビタミンDのサプリメント摂取は、高齢者の骨折予防に役立つと考えられてきた。しかし、ビタミンDサプリメントを単独で摂取しても、骨折の予防効果は得られない可能性があることが、英オックスフォード大学教授のRobert Clarke氏らによる計28件の研究のメタ解析結果から明らかになった。研究結果の詳細は「JAMA Network Open」12月20日オンライン版に発表された。研究ではまず、高齢者を対象に、5年から15年にわたってビタミンDの血中濃度と骨折リスクとの関連を調べた11件の観察研究のメタ解析を行った。その結果、研究開始時にビタミンDの血中濃度が高かった高齢者では、その後の大腿骨近位部骨折などの骨折リスクは低いことが分かった。.次に、ビタミンDサプリメントの単独摂取の有効性を検証した11件のランダム化比較試験(RCT)と、カルシウムとビタミンD併用の有効性を検証した6件のRCTを対象にメタ解析を実施した。前者の参加者の平均年齢は65.9~85歳で、平均追跡期間は3年(9カ月~5年)であり、後者の参加者の平均年齢は66.2歳、平均追跡期間は5.9年であった。.その結果、ビタミンDサプリメントを単独で摂取しても高齢者の骨折リスクは低減しないことが分かった。一方で、カルシウムとビタミンDを併用した人では、プラセボを摂取した人または治療を受けなかった人と比べて大腿骨近位部骨折リスクは16%低く、全ての部位での骨折リスクは6%低かった。.この結果について、Clarke氏は「カルシウムとビタミンDのサプリメントの併用は、標準的な用量のビタミンDを単独で摂取するよりも骨折予防に有益であることが分かった」と説明している。.高用量ビタミンDサプリメントの骨折予防効果については、現在も骨折リスクが高い集団を対象とした複数の臨床試験が進行中であり、今回の研究結果は、ビタミンDサプリメント摂取と骨折リスクの関連を決定付けるものではない。しかし、「現時点ではビタミンDサプリメントの単独摂取が骨折予防に有用という科学的根拠はない」とClarke氏は指摘している。.全米骨粗鬆症財団(NOF)によると、米国では約5400万人が骨量低下や骨粗鬆症を抱えている。50歳以上の人口では女性の半数、男性の4分の1が骨粗鬆症による骨折を起こすと推定されるという。.カルシウムは丈夫な骨をつくり、それを維持するのに重要な役割を果たす。一方、ビタミンDにはカルシウムの吸収を促し、転倒予防に必要な筋肉の機能を助ける働きがある。しかし、今回の研究には関与していないNOFのBeth Kitchin氏は、「骨粗鬆症患者の骨折予防にビタミンDサプリメントはたいして役立たない。ビタミンDやカルシウムの単独摂取に骨折予防効果を期待するのは非現実的かもしれない」と述べている。.米アラバマ大学バーミンガム校栄養科学部にも所属するKitchin氏によれば、骨量や筋力を維持するには定期的な運動が不可欠だという。ジョギングや縄跳び、ダンスなどの直立した姿勢を保ちながら重力に逆らって身体を動かす運動は、骨密度を保つのに役立つ。また、筋力をつけてバランス能力を高める運動は、転倒予防にもつながる。さらに、NOFは、喫煙や過度な飲酒を避けることも骨量の低下を防ぐのに重要だとしている。(HealthDay News 2019年12月20日).https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/bone-joint-and-tendon-news-72/vitamin-d-alone-doesn-t-prevent-fractures-new-study-finds-753252.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
これまで、カルシウムとビタミンDのサプリメント摂取は、高齢者の骨折予防に役立つと考えられてきた。しかし、ビタミンDサプリメントを単独で摂取しても、骨折の予防効果は得られない可能性があることが、英オックスフォード大学教授のRobert Clarke氏らによる計28件の研究のメタ解析結果から明らかになった。研究結果の詳細は「JAMA Network Open」12月20日オンライン版に発表された。研究ではまず、高齢者を対象に、5年から15年にわたってビタミンDの血中濃度と骨折リスクとの関連を調べた11件の観察研究のメタ解析を行った。その結果、研究開始時にビタミンDの血中濃度が高かった高齢者では、その後の大腿骨近位部骨折などの骨折リスクは低いことが分かった。.次に、ビタミンDサプリメントの単独摂取の有効性を検証した11件のランダム化比較試験(RCT)と、カルシウムとビタミンD併用の有効性を検証した6件のRCTを対象にメタ解析を実施した。前者の参加者の平均年齢は65.9~85歳で、平均追跡期間は3年(9カ月~5年)であり、後者の参加者の平均年齢は66.2歳、平均追跡期間は5.9年であった。.その結果、ビタミンDサプリメントを単独で摂取しても高齢者の骨折リスクは低減しないことが分かった。一方で、カルシウムとビタミンDを併用した人では、プラセボを摂取した人または治療を受けなかった人と比べて大腿骨近位部骨折リスクは16%低く、全ての部位での骨折リスクは6%低かった。.この結果について、Clarke氏は「カルシウムとビタミンDのサプリメントの併用は、標準的な用量のビタミンDを単独で摂取するよりも骨折予防に有益であることが分かった」と説明している。.高用量ビタミンDサプリメントの骨折予防効果については、現在も骨折リスクが高い集団を対象とした複数の臨床試験が進行中であり、今回の研究結果は、ビタミンDサプリメント摂取と骨折リスクの関連を決定付けるものではない。しかし、「現時点ではビタミンDサプリメントの単独摂取が骨折予防に有用という科学的根拠はない」とClarke氏は指摘している。.全米骨粗鬆症財団(NOF)によると、米国では約5400万人が骨量低下や骨粗鬆症を抱えている。50歳以上の人口では女性の半数、男性の4分の1が骨粗鬆症による骨折を起こすと推定されるという。.カルシウムは丈夫な骨をつくり、それを維持するのに重要な役割を果たす。一方、ビタミンDにはカルシウムの吸収を促し、転倒予防に必要な筋肉の機能を助ける働きがある。しかし、今回の研究には関与していないNOFのBeth Kitchin氏は、「骨粗鬆症患者の骨折予防にビタミンDサプリメントはたいして役立たない。ビタミンDやカルシウムの単独摂取に骨折予防効果を期待するのは非現実的かもしれない」と述べている。.米アラバマ大学バーミンガム校栄養科学部にも所属するKitchin氏によれば、骨量や筋力を維持するには定期的な運動が不可欠だという。ジョギングや縄跳び、ダンスなどの直立した姿勢を保ちながら重力に逆らって身体を動かす運動は、骨密度を保つのに役立つ。また、筋力をつけてバランス能力を高める運動は、転倒予防にもつながる。さらに、NOFは、喫煙や過度な飲酒を避けることも骨量の低下を防ぐのに重要だとしている。(HealthDay News 2019年12月20日).https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/bone-joint-and-tendon-news-72/vitamin-d-alone-doesn-t-prevent-fractures-new-study-finds-753252.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.