2019年は、新たな自動インスリン注入ポンプや連続血糖測定器(CGM)のFDA承認、心臓と腎臓を保護する血糖降下薬の知見、1型糖尿病の発症抑制の可能性など、糖尿病関連の新規治療法の話題が豊富だった。米ニューヨーク大学(NYU)ランゴンヘルスHassenfeld病院の内分泌科医、Akankasha Goyal氏は、「この1年間で多くの変化があり治療選択肢が増えた。これらの変化は糖尿病患者にさまざまなメリットをもたらすだろう」と述べている。2019年の糖尿病医療の進歩を振り返ってみる。自動インスリン注入ポンプ関連では、12月中旬に米食品医薬品局(FDA)がTandem Diabetes Care社のインスリン注入量コントロールアルゴリズム「Control-IQ Technology」を単体で承認した。このアルゴリズムは互換性のある他のインスリンポンプやCGMに接続し使用する。この他にも、Beta Bionics社の「iLet」は、FDAによって「Breakthrough Device」(画期的なデバイス)として認められ、今後の承認プロセスが迅速に進められることになった。CGM関連では、90日間連続使用を可能としたSenseonics社の「Eversense CGM」が承認されたことも記憶に新しい。.血糖降下薬関連では、新規血糖降下薬であるSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が、血糖値を下げるだけでなく、心臓と腎臓を保護する作用もあることがより明確になってきたことも最近の話題だ。2019年の年初に発表された研究からは、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の双方が、心血管疾患のリスクを低下させることが示された。特にSGLT2阻害薬は2型糖尿病患者の心不全リスクを大幅に低下させる可能性がある。その他にも6月にはFDAが、GLP-1受容体作動薬の「リラグルチド」を10歳以上の小児2型糖尿病治療薬として承認した。.低血糖治療領域では昨年、グルカゴン関連の2つの製品がFDAに承認された。そのうちの1つ「Baqsimi」は点鼻方式の注入デバイスで、初めての注射不要なグルカゴン製剤だ。もう1つは、使いやすさを向上させた「GVOKE」という注入デバイス。グルカゴンが既にペンタイプのシリンジに充填されているため注入前の手間を省け、低血糖という緊急事態に対処する介助者の負担が少ない。.免疫抑制作用のある「テプリズマブ」によって、1型糖尿病発症が遅延されることが示されたことも2019年の大きな話題の1つである。この「テプリズマブ」については現在、1型糖尿病と診断されてから間もない患者を対象として、病態進行の抑制効果を検証する第3相臨床試験が進行中だ。この他にも、抗胸腺細胞免疫グロブリン(ATG)が新たに1型糖尿病を発症した患者の膵β細胞の機能維持に有効である可能性も報告されている。若年性糖尿病研究財団(JDRF)のSanjoy Dutta氏は「これらの研究結果は、新規発症1型糖尿病の治療に関する驚くべき報告であった」と述べている。(HealthDay News 2019年12月30日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-drug-news-179/big-advances-made-against-diabetes-in-2019-753399.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.