世界の敗血症による死者数は、これまで推定されていた数の2倍以上に上ることが新たな研究から明らかになった。死者は、特に低所得国の子どもに多いことも分かったという。米ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らが実施したこの研究結果は、「The Lancet」1月18日号に発表された。敗血症は感染に対する免疫反応が制御不能となり、臓器障害が起こった状態になる疾患である。重症化すると死に至ることもあり、救命されても生涯にわたって何らかの障害が残る場合もある。.Naghavi氏らが今回、世界の疾病負荷研究(Global Burden of Disease Study;GBD)の2017年のデータを分析した結果、敗血症の新規罹患者数は年間4890万人、敗血症による死亡者数は年間1100万人と推定され、同年に死亡した人の5人に1人は敗血症が原因で死亡していたことが分かった。同氏は、「予防も治療も可能な疾患である敗血症によって命を落とす人が、これまでの推定よりも大幅に多いことが分かり、危機感を覚えている」と話す。.今回の研究では、2017年における新規罹患者の85%は、低・中所得国の患者であることも示された。特に多かったのはサハラ以南のアフリカ、南太平洋諸島、南アジア、東アジア、東南アジアの各地域であった。また、敗血症を発症する患者は男性よりも女性の方が多いほか、新規罹患者の40%以上を5歳未満の小児患者が占めていたことも明らかになった。.敗血症の年間新規罹患者数は、1990年から2017年にかけて6020万人から4890万人へと19%減少し、敗血症による死亡者数も1570万人から1100万人へと30%減少しており、改善が認められた。敗血症に関連した死亡の要因で最も多かったのは、1990年と2017年のいずれの時点においても下気道感染症だった。.Naghavi氏は、今後の敗血症対策について、新生児の敗血症予防と薬剤耐性菌の対策に重点を置いた取り組みが重要だと主張している。.また、研究論文の筆頭著者である米ピッツバーグ大学のKristina Rudd氏は、「ワクチンの接種を推し進めるとともに、誰もがトイレを利用でき、衛生的な飲み水を飲める環境を整備すること。また、子どもたちが適切な栄養を摂取でき、母体の健康を守れるようにすることが敗血症の予防につながる」と話し、今回の研究は基本的な公衆衛生対策の必要性を明確に示したものだと説明している。.Rudd氏はさらに、米国でも敗血症が依然として入院患者の主要な死因となっていることも指摘し、「インフルエンザワクチンの接種、あるいは特定の条件を満たした一部の人では肺炎ワクチンを接種することで、敗血症のリスクを抑えることは可能だ。さらに、院内感染の防止や、感染症に罹患しやすくなる糖尿病などの慢性疾患の予防に向けた取り組みの強化が必要だ」と話している。(HealthDay News 2020年1月17日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/misc-infections-news-411/sepsis-causes-far-more-deaths-worldwide-than-thought-753936.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
世界の敗血症による死者数は、これまで推定されていた数の2倍以上に上ることが新たな研究から明らかになった。死者は、特に低所得国の子どもに多いことも分かったという。米ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らが実施したこの研究結果は、「The Lancet」1月18日号に発表された。敗血症は感染に対する免疫反応が制御不能となり、臓器障害が起こった状態になる疾患である。重症化すると死に至ることもあり、救命されても生涯にわたって何らかの障害が残る場合もある。.Naghavi氏らが今回、世界の疾病負荷研究(Global Burden of Disease Study;GBD)の2017年のデータを分析した結果、敗血症の新規罹患者数は年間4890万人、敗血症による死亡者数は年間1100万人と推定され、同年に死亡した人の5人に1人は敗血症が原因で死亡していたことが分かった。同氏は、「予防も治療も可能な疾患である敗血症によって命を落とす人が、これまでの推定よりも大幅に多いことが分かり、危機感を覚えている」と話す。.今回の研究では、2017年における新規罹患者の85%は、低・中所得国の患者であることも示された。特に多かったのはサハラ以南のアフリカ、南太平洋諸島、南アジア、東アジア、東南アジアの各地域であった。また、敗血症を発症する患者は男性よりも女性の方が多いほか、新規罹患者の40%以上を5歳未満の小児患者が占めていたことも明らかになった。.敗血症の年間新規罹患者数は、1990年から2017年にかけて6020万人から4890万人へと19%減少し、敗血症による死亡者数も1570万人から1100万人へと30%減少しており、改善が認められた。敗血症に関連した死亡の要因で最も多かったのは、1990年と2017年のいずれの時点においても下気道感染症だった。.Naghavi氏は、今後の敗血症対策について、新生児の敗血症予防と薬剤耐性菌の対策に重点を置いた取り組みが重要だと主張している。.また、研究論文の筆頭著者である米ピッツバーグ大学のKristina Rudd氏は、「ワクチンの接種を推し進めるとともに、誰もがトイレを利用でき、衛生的な飲み水を飲める環境を整備すること。また、子どもたちが適切な栄養を摂取でき、母体の健康を守れるようにすることが敗血症の予防につながる」と話し、今回の研究は基本的な公衆衛生対策の必要性を明確に示したものだと説明している。.Rudd氏はさらに、米国でも敗血症が依然として入院患者の主要な死因となっていることも指摘し、「インフルエンザワクチンの接種、あるいは特定の条件を満たした一部の人では肺炎ワクチンを接種することで、敗血症のリスクを抑えることは可能だ。さらに、院内感染の防止や、感染症に罹患しやすくなる糖尿病などの慢性疾患の予防に向けた取り組みの強化が必要だ」と話している。(HealthDay News 2020年1月17日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/misc-infections-news-411/sepsis-causes-far-more-deaths-worldwide-than-thought-753936.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.