持続型の喘息患者は、喘息がない人と比べて不整脈の一種である心房細動を発症するリスクが1.5倍高い可能性があるとする研究結果が、米国心臓協会(AHA)が発行する「Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology」2月4日号で発表された。この研究は、米国内の6施設で登録された男女6,615人(平均年齢62.0歳、男性が47%)を約13年にわたり追跡したMESA研究のデータを用いたもの。研究開始時、参加者に心疾患はなかった。.解析の結果、喘息コントロールのために毎日服薬が必要な持続型の喘息がある患者150人は、喘息がない参加者と比べて、心房細動と診断される率が高かった。また、喘息と心房細動の双方に共通するリスク因子である炎症のレベルは、持続型の喘息患者で最も高いことも確認された。ただし、喘息と不整脈の関係に炎症以外の因子が関わっている可能性も示されたという。.論文の筆頭著者である米ウィスコンシン大学のMatthew Tattersall氏は「我々は当初、喘息と心房細動の関連は、研究開始時の血中における一般的な炎症マーカーの上昇で説明できるのではないかと考えていた。これらの炎症マーカーは喘息患者で高く、心房細動リスクの独立した予測因子であるからだ」と振り返る。.しかし、Tattersall氏らがこれらの炎症マーカーの値を調整して解析しても、喘息と心房細動の関連が有意に変わることはなかった。このことから、同氏らは「心房細動リスクの上昇には、まだ確認されていない特有の炎症パターンか、炎症以外の経路が関与している可能性がある」との見方を示している。.喘息と心房細動の関連は、これまでにも他国で行われた複数の研究結果で報告されている。このうち、ノルウェーで5万4,567人の成人を対象に実施された研究では、喘息が心房細動リスクを38%上昇させることが示されている。.そうした中、今回の研究は、米国において喘息と心房細動の関連を示した最初のものであり、また、種々の人種集団(アフリカ系が27%、中国系が12%、ヒスパニック系が22%)を対象にしたという点でも初めてであるという。.米国の心房細動患者数は520万人以上に達すると見られている。心房細動は心房の震えや心臓の不規則な拍動(不整脈)を特徴とする病態で、心不全などの心疾患や血栓の原因となり得る。血栓が心臓から脳まで運ばれると脳卒中を起こす可能性もある。心房細動を未治療のまま放置している人では、心房細動がない人と比べ、脳卒中の発症リスクが約5倍に上るとされている。.一方、米国には2500万人を超える喘息患者がいる。喘息は気管支の炎症を主因とする慢性疾患で、持続型の喘息患者には気道を広げて、咳や喘鳴、息切れ、胸部の圧迫感等の予防を目的とした長期管理薬が処方される。.今回の研究には関与していない、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のMarc Miller氏は「患者や医師は喘息と心房細動の関連について知っておくべきではあるが、この研究結果は、喘息が心房細動発症の原因であることを示すものではない」と述べ、慎重な解釈を求めている。そして、「喘息と心房細動はともに、全身性の炎症が原因で生じているということは言えても、喘息が原因で心房細動を発症するのか、または喘息治療薬が心房細動を引き起こしているのかは不明である」との見解を示している。(American Heart Association News 2020年2月4日).https://consumer.healthday.com/respiratory-and-allergy-information-2/asthma-news-47/aha-news-persistent-asthma-linked-to-increased-risk-for-heart-rhythm-disorder-754575.html.American Heart Association News covers heart and brain health. Not all views expressed in this story reflect the official position of the American Heart Association. Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
持続型の喘息患者は、喘息がない人と比べて不整脈の一種である心房細動を発症するリスクが1.5倍高い可能性があるとする研究結果が、米国心臓協会(AHA)が発行する「Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology」2月4日号で発表された。この研究は、米国内の6施設で登録された男女6,615人(平均年齢62.0歳、男性が47%)を約13年にわたり追跡したMESA研究のデータを用いたもの。研究開始時、参加者に心疾患はなかった。.解析の結果、喘息コントロールのために毎日服薬が必要な持続型の喘息がある患者150人は、喘息がない参加者と比べて、心房細動と診断される率が高かった。また、喘息と心房細動の双方に共通するリスク因子である炎症のレベルは、持続型の喘息患者で最も高いことも確認された。ただし、喘息と不整脈の関係に炎症以外の因子が関わっている可能性も示されたという。.論文の筆頭著者である米ウィスコンシン大学のMatthew Tattersall氏は「我々は当初、喘息と心房細動の関連は、研究開始時の血中における一般的な炎症マーカーの上昇で説明できるのではないかと考えていた。これらの炎症マーカーは喘息患者で高く、心房細動リスクの独立した予測因子であるからだ」と振り返る。.しかし、Tattersall氏らがこれらの炎症マーカーの値を調整して解析しても、喘息と心房細動の関連が有意に変わることはなかった。このことから、同氏らは「心房細動リスクの上昇には、まだ確認されていない特有の炎症パターンか、炎症以外の経路が関与している可能性がある」との見方を示している。.喘息と心房細動の関連は、これまでにも他国で行われた複数の研究結果で報告されている。このうち、ノルウェーで5万4,567人の成人を対象に実施された研究では、喘息が心房細動リスクを38%上昇させることが示されている。.そうした中、今回の研究は、米国において喘息と心房細動の関連を示した最初のものであり、また、種々の人種集団(アフリカ系が27%、中国系が12%、ヒスパニック系が22%)を対象にしたという点でも初めてであるという。.米国の心房細動患者数は520万人以上に達すると見られている。心房細動は心房の震えや心臓の不規則な拍動(不整脈)を特徴とする病態で、心不全などの心疾患や血栓の原因となり得る。血栓が心臓から脳まで運ばれると脳卒中を起こす可能性もある。心房細動を未治療のまま放置している人では、心房細動がない人と比べ、脳卒中の発症リスクが約5倍に上るとされている。.一方、米国には2500万人を超える喘息患者がいる。喘息は気管支の炎症を主因とする慢性疾患で、持続型の喘息患者には気道を広げて、咳や喘鳴、息切れ、胸部の圧迫感等の予防を目的とした長期管理薬が処方される。.今回の研究には関与していない、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のMarc Miller氏は「患者や医師は喘息と心房細動の関連について知っておくべきではあるが、この研究結果は、喘息が心房細動発症の原因であることを示すものではない」と述べ、慎重な解釈を求めている。そして、「喘息と心房細動はともに、全身性の炎症が原因で生じているということは言えても、喘息が原因で心房細動を発症するのか、または喘息治療薬が心房細動を引き起こしているのかは不明である」との見解を示している。(American Heart Association News 2020年2月4日).https://consumer.healthday.com/respiratory-and-allergy-information-2/asthma-news-47/aha-news-persistent-asthma-linked-to-increased-risk-for-heart-rhythm-disorder-754575.html.American Heart Association News covers heart and brain health. Not all views expressed in this story reflect the official position of the American Heart Association. Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.