脳動脈瘤に対して初となるロボット支援手術が成功したことを、トロント・ウエスタン病院(カナダ)のVitor Mendes Pereira氏が国際脳卒中学会(ISC 2020、2月19~21日、米ロサンゼルス)で報告した。Mendes Pereira氏らは「この手法によって、より多くの脳卒中患者が、より精密な救命治療を受けられるようになる可能性がある」と話している。この報告を受けて、米国心臓協会(AHA)次期会長のMitchell Elkind氏は、「将来的には、患者は小規模な医療機関にあるロボット支援手術用の部屋にいながら、遠方にある医療機関の専門医によるロボットの遠隔操作で手術を受けるようになるかもしれない。まるでSFの世界の話のようで期待が膨らむ上に、この技術は大きな可能性を秘めている」と期待を寄せる。.Mendes Pereira氏らによれば、医療ロボット技術は既に心臓手術など多くの手術で用いられている。しかし、細心の注意が必要な脳血管に対する手術にはまだ導入されていなかった。そうした中、Mendes Pereira氏らは、脳の基底部に未破裂動脈瘤がある64歳の女性に対してロボット支援手術を実施した。動脈瘤は血管壁にできるこぶのような膨らみで、破裂すると危険な出血や死亡に至る場合がある。.手術では、ロボットアームを使って動脈瘤がある血管にステントを留置し、次いで、ステント留置で使用したものと同じマイクロカテーテルを動脈瘤に誘導し、コイルを動脈瘤内に留置して破裂するリスクを低下させた。.Mendes Pereira氏らはこの女性に対する手術の後にも、5人の未破裂脳動脈瘤患者に対してロボット支援手術を実施。なかには、血流をより安全に迂回させるためのステントなど、別の種類のデバイスを留置する手術もあったが、いずれも成功したという。.Mendes Pereira氏は「この経験は、脳血管疾患に対する遠隔治療の実現という我々の目標に向けた第一歩を刻むものだ。将来的にはロボットを遠隔操作できるようになることを期待している。そうすれば、数千キロ離れた場所にいる患者に対して、自施設にいながら治療を行えるかもしれない」と話している。.今回の報告には関与していない心臓の専門家らは、ロボット支援による脳卒中治療が実現すれば、より多くの脳卒中患者をより迅速に治療できるようになるとの見方を示している。.そのうちの一人で、米サウスサイド病院脳神経血管内治療部および脳神経血管プログラムのディレクターを務めるKeith DeSousa氏は「この技術が確立すれば、専門病院に患者を移送する必要性はなくなるかもしれない。そうなると、より迅速に治療を開始でき、数多くの神経細胞を壊死から守ることができる」と話す。.一方、米ノースウェル・ヘルスのマンハッタンおよびウエストチェスター地域における脳神経血管内治療部門長のRafael Ortiz氏は「ロボット支援による脳神経血管内手術が可能になれば、遠隔操作によって世界の医療資源が乏しい地域の患者に対しても手術が行えるようになる」と期待を示している。.なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2020年2月21日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-stroke-related-stroke-353/in-a-first-doctors-use-robotics-to-treat-brain-aneurysm-755014.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
脳動脈瘤に対して初となるロボット支援手術が成功したことを、トロント・ウエスタン病院(カナダ)のVitor Mendes Pereira氏が国際脳卒中学会(ISC 2020、2月19~21日、米ロサンゼルス)で報告した。Mendes Pereira氏らは「この手法によって、より多くの脳卒中患者が、より精密な救命治療を受けられるようになる可能性がある」と話している。この報告を受けて、米国心臓協会(AHA)次期会長のMitchell Elkind氏は、「将来的には、患者は小規模な医療機関にあるロボット支援手術用の部屋にいながら、遠方にある医療機関の専門医によるロボットの遠隔操作で手術を受けるようになるかもしれない。まるでSFの世界の話のようで期待が膨らむ上に、この技術は大きな可能性を秘めている」と期待を寄せる。.Mendes Pereira氏らによれば、医療ロボット技術は既に心臓手術など多くの手術で用いられている。しかし、細心の注意が必要な脳血管に対する手術にはまだ導入されていなかった。そうした中、Mendes Pereira氏らは、脳の基底部に未破裂動脈瘤がある64歳の女性に対してロボット支援手術を実施した。動脈瘤は血管壁にできるこぶのような膨らみで、破裂すると危険な出血や死亡に至る場合がある。.手術では、ロボットアームを使って動脈瘤がある血管にステントを留置し、次いで、ステント留置で使用したものと同じマイクロカテーテルを動脈瘤に誘導し、コイルを動脈瘤内に留置して破裂するリスクを低下させた。.Mendes Pereira氏らはこの女性に対する手術の後にも、5人の未破裂脳動脈瘤患者に対してロボット支援手術を実施。なかには、血流をより安全に迂回させるためのステントなど、別の種類のデバイスを留置する手術もあったが、いずれも成功したという。.Mendes Pereira氏は「この経験は、脳血管疾患に対する遠隔治療の実現という我々の目標に向けた第一歩を刻むものだ。将来的にはロボットを遠隔操作できるようになることを期待している。そうすれば、数千キロ離れた場所にいる患者に対して、自施設にいながら治療を行えるかもしれない」と話している。.今回の報告には関与していない心臓の専門家らは、ロボット支援による脳卒中治療が実現すれば、より多くの脳卒中患者をより迅速に治療できるようになるとの見方を示している。.そのうちの一人で、米サウスサイド病院脳神経血管内治療部および脳神経血管プログラムのディレクターを務めるKeith DeSousa氏は「この技術が確立すれば、専門病院に患者を移送する必要性はなくなるかもしれない。そうなると、より迅速に治療を開始でき、数多くの神経細胞を壊死から守ることができる」と話す。.一方、米ノースウェル・ヘルスのマンハッタンおよびウエストチェスター地域における脳神経血管内治療部門長のRafael Ortiz氏は「ロボット支援による脳神経血管内手術が可能になれば、遠隔操作によって世界の医療資源が乏しい地域の患者に対しても手術が行えるようになる」と期待を示している。.なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2020年2月21日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-stroke-related-stroke-353/in-a-first-doctors-use-robotics-to-treat-brain-aneurysm-755014.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.