パーキンソン病の主な症状は手足の震えや筋肉のこわばりだが、眼症状を訴える患者も少なくないことが、ラドバウド大学医療センター(オランダ)のCarlijn Borm氏らが行った研究から明らかになった。かすみ目やドライアイなどの眼症状が重く、視力が低下して日常生活が妨げられ、転倒リスクが高まっている患者も多いという。研究結果の詳細は「Neurology」3月11日オンライン版に掲載された。Borm氏らは今回、パーキンソン病患者848人と、対照群とした健康な成人250人を対象に、質問票を用いて視力や眼症状の有無や程度について調査を行った。平均年齢は両群ともに70歳で、パーキンソン病患者群は、発症から平均7年が経過していた。なお、質問票では、視力のほか、かすみ目やドライアイ、平面が立体的に見えるなどの奥行知覚の問題、急激な明るさの変化に対する調整が難しいといった眼症状について尋ねた。.その結果、パーキンソン病患者群では82%が1つ以上の眼症状を報告したのに対し、対照群では48%にとどまり、両群間には有意差が認められた(P<0.001)。.また、眼症状や視力障害により自動車運転やパソコンでの作業、歩行や身仕度といった日常生活が妨げられていると感じている患者の割合は、パーキンソン病患者群では68%だったのに対し、対照群では35%であった(P<0.001)。.Borm氏は「パーキンソン病患者は、眼の障害により日常生活に支障を来していることが分かった。例えば、パーキンソン病患者群の約半数は読書するのに困難を感じ、33%は自動車運転をしづらいと回答していた」と説明。「パーキンソン病患者は、パーキンソン病に伴う運動障害を補ったり、転倒リスクを減らしたりするためにも、できる限り視力を保つことが重要になる」と述べている。.また、Borm氏は「パーキンソン病患者に見られる眼の症状は、単なる老化現象ではない」と指摘。「これらの症状は治療で改善する余地があるため、検査で眼症状を発見し、適切な治療を行うことが不可欠だ」と強調している。そのため、「眼症状のあるパーキンソン病患者は、専門医の診察を受けるべきだ。また、症状がなくても、定期的に検診を受ければ早期診断、早期治療へとつなげることができ、患者の生活の質も向上させることができる」と同氏は助言している。(HealthDay News 2020年3月11日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/parkinson-s-news-526/serious-eye-problems-common-in-people-with-parkinson-s-755586.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
パーキンソン病の主な症状は手足の震えや筋肉のこわばりだが、眼症状を訴える患者も少なくないことが、ラドバウド大学医療センター(オランダ)のCarlijn Borm氏らが行った研究から明らかになった。かすみ目やドライアイなどの眼症状が重く、視力が低下して日常生活が妨げられ、転倒リスクが高まっている患者も多いという。研究結果の詳細は「Neurology」3月11日オンライン版に掲載された。Borm氏らは今回、パーキンソン病患者848人と、対照群とした健康な成人250人を対象に、質問票を用いて視力や眼症状の有無や程度について調査を行った。平均年齢は両群ともに70歳で、パーキンソン病患者群は、発症から平均7年が経過していた。なお、質問票では、視力のほか、かすみ目やドライアイ、平面が立体的に見えるなどの奥行知覚の問題、急激な明るさの変化に対する調整が難しいといった眼症状について尋ねた。.その結果、パーキンソン病患者群では82%が1つ以上の眼症状を報告したのに対し、対照群では48%にとどまり、両群間には有意差が認められた(P<0.001)。.また、眼症状や視力障害により自動車運転やパソコンでの作業、歩行や身仕度といった日常生活が妨げられていると感じている患者の割合は、パーキンソン病患者群では68%だったのに対し、対照群では35%であった(P<0.001)。.Borm氏は「パーキンソン病患者は、眼の障害により日常生活に支障を来していることが分かった。例えば、パーキンソン病患者群の約半数は読書するのに困難を感じ、33%は自動車運転をしづらいと回答していた」と説明。「パーキンソン病患者は、パーキンソン病に伴う運動障害を補ったり、転倒リスクを減らしたりするためにも、できる限り視力を保つことが重要になる」と述べている。.また、Borm氏は「パーキンソン病患者に見られる眼の症状は、単なる老化現象ではない」と指摘。「これらの症状は治療で改善する余地があるため、検査で眼症状を発見し、適切な治療を行うことが不可欠だ」と強調している。そのため、「眼症状のあるパーキンソン病患者は、専門医の診察を受けるべきだ。また、症状がなくても、定期的に検診を受ければ早期診断、早期治療へとつなげることができ、患者の生活の質も向上させることができる」と同氏は助言している。(HealthDay News 2020年3月11日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/parkinson-s-news-526/serious-eye-problems-common-in-people-with-parkinson-s-755586.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.