流行のケトジェニック・ダイエット(ケト・ダイエット)の実践中に、インフルエンザにかかったときのような頭痛や関節の痛みを感じたら、それはケト・ダイエットのせいかもしれない――。タスマニア大学メンジーズ医学研究所(オーストラリア)のEmmanuelle Bostock氏らの研究から、ケト・ダイエットを始めて間もない頃に痛みや消化器系の不調などさまざまな症状を経験する人が少なくない実態が明らかになった。この研究結果は「Frontiers in Nutrition」3月13日オンライン版に発表された。脂質を大量に摂取して糖質は控えるケト・ダイエットは、人気の減量法である。ケト・ダイエットでは通常、1日の摂取カロリーの70~80%を脂質から摂取し、10~20%をタンパク質から、5~10%を糖質から摂取することが推奨されている。体の主なエネルギー源である糖質の摂取を抑えることで、脂質の燃焼を促すのだ。このような食事法に切り替えることで、体はそれまでとは全く異なる代謝状態にシフトする。しかし、こうした食生活の劇的な変化が原因で、ケト・ダイエットの開始から数週間で「ケト・インフルエンザ(ケトフル)」と呼ばれる状態に陥り、体調を崩す人もいるという。.そこでBostock氏らは、ケト・ダイエット中の人たちのネットフォーラムへの投稿内容を分析することで、ケトフルの症状や重症度、経時変化などを調べる研究を行った。ケトフルに関するスレッドが立ち上がっているフォーラムの中で基準を満たしたものは43件あり、そこに含まれていた300人のユーザーによる448件の投稿内容が精査された。.その結果、300人のユーザーのうち101人がケトフルの症状に関する投稿を行っていたことが分かった。ケト・ダイエット中の人たちの訴えの中で特に多かった症状は、頭痛、思考力や集中力の低下、便秘などの消化器症状であったが、その他にも、倦怠感やめまい、脈の乱れ、喉の痛み、体の痛みなど多岐にわたっていた。症状に関する投稿は、ケト・ダイエットを始めてから最初の1週間でピークを迎え、その後、数週間のうちに消失する場合が多かった。.Bostock氏は「助言を求めてネットのフォーラムに投稿するような人には、フォーラムを利用しない人とは異なる特徴があるかもしれない」と述べ、今回の研究結果が必ずしもケト・ダイエットを行っている人たちの典型的な経験を反映したものではない可能性があると説明している。.その一方で、Bostock氏は、ケトフルの全体像をつかむには、多くの視点から報告されたさまざまな症状を考慮することが重要であり、「ネット上の投稿から分かることもある」との見解を示している。例えば、今回の研究では、症状の重症度に関する投稿を行った60人のうち45人が中等度または重度の症状を訴えていた。また、ケトフルの経過に関する投稿を行った56人のうち52人がケト・ダイエット開始後1カ月以内に症状が消失したと報告していた。こうした投稿から、ケトフルの重症度や症状が続く期間が分かったと同氏は述べている。.栄養と食事のアカデミー(Academy of Nutrition and Dietetics)のスポークスパーソンであるGinger Hultin氏は、「ダイエットに取り組もうとしている人たちの多くは、副作用のことにまで気にかけてはいないだろう。しかし、ダイエットで副作用が生じることもあると認識しておくことは重要だ」と強調する。また、ケト・ダイエットは、脂質を制限しないが、継続が難しいダイエット法であることを指摘し、「野菜や果物、豆類、全粒穀物や乳製品といった健康的な食品に含まれる糖質の摂取も厳格に制限されるため、各種ビタミンやミネラル、食物繊維が不足する可能性があることも懸念される」と話している。(HealthDay News 2020年3月13日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/trying-the-keto-diet-watch-out-for-the-keto-flu-755690.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
流行のケトジェニック・ダイエット(ケト・ダイエット)の実践中に、インフルエンザにかかったときのような頭痛や関節の痛みを感じたら、それはケト・ダイエットのせいかもしれない――。タスマニア大学メンジーズ医学研究所(オーストラリア)のEmmanuelle Bostock氏らの研究から、ケト・ダイエットを始めて間もない頃に痛みや消化器系の不調などさまざまな症状を経験する人が少なくない実態が明らかになった。この研究結果は「Frontiers in Nutrition」3月13日オンライン版に発表された。脂質を大量に摂取して糖質は控えるケト・ダイエットは、人気の減量法である。ケト・ダイエットでは通常、1日の摂取カロリーの70~80%を脂質から摂取し、10~20%をタンパク質から、5~10%を糖質から摂取することが推奨されている。体の主なエネルギー源である糖質の摂取を抑えることで、脂質の燃焼を促すのだ。このような食事法に切り替えることで、体はそれまでとは全く異なる代謝状態にシフトする。しかし、こうした食生活の劇的な変化が原因で、ケト・ダイエットの開始から数週間で「ケト・インフルエンザ(ケトフル)」と呼ばれる状態に陥り、体調を崩す人もいるという。.そこでBostock氏らは、ケト・ダイエット中の人たちのネットフォーラムへの投稿内容を分析することで、ケトフルの症状や重症度、経時変化などを調べる研究を行った。ケトフルに関するスレッドが立ち上がっているフォーラムの中で基準を満たしたものは43件あり、そこに含まれていた300人のユーザーによる448件の投稿内容が精査された。.その結果、300人のユーザーのうち101人がケトフルの症状に関する投稿を行っていたことが分かった。ケト・ダイエット中の人たちの訴えの中で特に多かった症状は、頭痛、思考力や集中力の低下、便秘などの消化器症状であったが、その他にも、倦怠感やめまい、脈の乱れ、喉の痛み、体の痛みなど多岐にわたっていた。症状に関する投稿は、ケト・ダイエットを始めてから最初の1週間でピークを迎え、その後、数週間のうちに消失する場合が多かった。.Bostock氏は「助言を求めてネットのフォーラムに投稿するような人には、フォーラムを利用しない人とは異なる特徴があるかもしれない」と述べ、今回の研究結果が必ずしもケト・ダイエットを行っている人たちの典型的な経験を反映したものではない可能性があると説明している。.その一方で、Bostock氏は、ケトフルの全体像をつかむには、多くの視点から報告されたさまざまな症状を考慮することが重要であり、「ネット上の投稿から分かることもある」との見解を示している。例えば、今回の研究では、症状の重症度に関する投稿を行った60人のうち45人が中等度または重度の症状を訴えていた。また、ケトフルの経過に関する投稿を行った56人のうち52人がケト・ダイエット開始後1カ月以内に症状が消失したと報告していた。こうした投稿から、ケトフルの重症度や症状が続く期間が分かったと同氏は述べている。.栄養と食事のアカデミー(Academy of Nutrition and Dietetics)のスポークスパーソンであるGinger Hultin氏は、「ダイエットに取り組もうとしている人たちの多くは、副作用のことにまで気にかけてはいないだろう。しかし、ダイエットで副作用が生じることもあると認識しておくことは重要だ」と強調する。また、ケト・ダイエットは、脂質を制限しないが、継続が難しいダイエット法であることを指摘し、「野菜や果物、豆類、全粒穀物や乳製品といった健康的な食品に含まれる糖質の摂取も厳格に制限されるため、各種ビタミンやミネラル、食物繊維が不足する可能性があることも懸念される」と話している。(HealthDay News 2020年3月13日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/trying-the-keto-diet-watch-out-for-the-keto-flu-755690.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.