周囲に肥満や過体重の人が多数存在する環境で育つティーンエージャー(ティーン)は、それが理想的な体型だと認識するようになり、その結果、自身も肥満や過体重になりやすいことが、米南カリフォルニア大学のAshlesha Datar氏らの研究で示された。Datar氏は「肥満率が高い地域では、ティーンの体重が不健康なレベルでもそれが当たり前とみなされ、このことが肥満対策を難しくさせている可能性がある」と説明している。この研究結果は「JAMA Network Open」3月16日オンライン版に発表された。Datar氏らは今回、2017年12月から2018年7月にかけて、米軍関係者の家族を対象とする研究に参加した16~19歳のティーン401人のデータを収集した。子どもたちとその親たちには、オンライン調査を通じて身長や体重などさまざまな質問項目への回答を求め、また、子どもたちには標準体重から肥満まで9種類の体型を図示し、その中から自分にとって最も理想的な体型を選択させた。.その結果、肥満率が高い郡に住んでいるティーンは、肥満率が低い郡に住んでいるティーンと比べて、より大きな体型を理想的な体型として選ぶ確率が高いことが示された。Datar氏によると、この研究は「親の勤務地の関係で肥満率が高い、あるいは低い郡で生活するティーンを対象としているため、肥満者の多い環境が、体型の基準や肥満リスクにどのような影響を与えるのかを実社会の中で検討できた」点が強みだという。.では、環境がティーンに与える影響を打ち消し、より健康的な体型を手本とするように仕向けるにはどうすればいいのか。Datar氏は、「確実なことは分からないが、不健康な体重や、体型に関する社会的なプレッシャーや通念に対する対処法について、ティーンを教育することが有益かもしれない」と述べている。.健康的な生活習慣の啓発活動を行っているTrue Health Initiativeの会長で、今回の研究には関与していないDavid Katz氏は、Datar氏らの報告を受けて「肥満の人をたくさん目にすることで、若い人が過体重の体型を当たり前とみなすようになることには、メリットとデメリットの両面がある」と指摘。そして、メリットとして、自分自身の体型に満足できたり、肥満であっても自尊心が傷付けられにくくなることなどを挙げている。さらに、「ソーシャルネットワークで肥満が標準体型とみなされるようになれば、肥満に対する偏見がなくなり、肥満を理由としたいじめや嫌がらせも減るのではないか」と推測している。.その一方で、Katz氏は「肥満は2型糖尿病や脂肪肝など数々の慢性疾患の主なリスク因子である」と説明し、「肥満が当たり前のことになってしまうと、肥満の予防や管理に関心が払われなくなり、健康上の大きなリスクにつながる可能性がある」と警鐘を鳴らす。ただし、Katz氏は、「大人や子どもに対して過体重が重要な健康リスクであることを教えるのは医療従事者の役目だ」と話し、肥満の蔓延を食い止める鍵を握っているのは子どもたちの親ではなく、医療従事者だとの考えを示している。(HealthDay News 2020年3月18日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/obesity-health-news-505/obesity-might-be-contagious-among-teens-755827.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
周囲に肥満や過体重の人が多数存在する環境で育つティーンエージャー(ティーン)は、それが理想的な体型だと認識するようになり、その結果、自身も肥満や過体重になりやすいことが、米南カリフォルニア大学のAshlesha Datar氏らの研究で示された。Datar氏は「肥満率が高い地域では、ティーンの体重が不健康なレベルでもそれが当たり前とみなされ、このことが肥満対策を難しくさせている可能性がある」と説明している。この研究結果は「JAMA Network Open」3月16日オンライン版に発表された。Datar氏らは今回、2017年12月から2018年7月にかけて、米軍関係者の家族を対象とする研究に参加した16~19歳のティーン401人のデータを収集した。子どもたちとその親たちには、オンライン調査を通じて身長や体重などさまざまな質問項目への回答を求め、また、子どもたちには標準体重から肥満まで9種類の体型を図示し、その中から自分にとって最も理想的な体型を選択させた。.その結果、肥満率が高い郡に住んでいるティーンは、肥満率が低い郡に住んでいるティーンと比べて、より大きな体型を理想的な体型として選ぶ確率が高いことが示された。Datar氏によると、この研究は「親の勤務地の関係で肥満率が高い、あるいは低い郡で生活するティーンを対象としているため、肥満者の多い環境が、体型の基準や肥満リスクにどのような影響を与えるのかを実社会の中で検討できた」点が強みだという。.では、環境がティーンに与える影響を打ち消し、より健康的な体型を手本とするように仕向けるにはどうすればいいのか。Datar氏は、「確実なことは分からないが、不健康な体重や、体型に関する社会的なプレッシャーや通念に対する対処法について、ティーンを教育することが有益かもしれない」と述べている。.健康的な生活習慣の啓発活動を行っているTrue Health Initiativeの会長で、今回の研究には関与していないDavid Katz氏は、Datar氏らの報告を受けて「肥満の人をたくさん目にすることで、若い人が過体重の体型を当たり前とみなすようになることには、メリットとデメリットの両面がある」と指摘。そして、メリットとして、自分自身の体型に満足できたり、肥満であっても自尊心が傷付けられにくくなることなどを挙げている。さらに、「ソーシャルネットワークで肥満が標準体型とみなされるようになれば、肥満に対する偏見がなくなり、肥満を理由としたいじめや嫌がらせも減るのではないか」と推測している。.その一方で、Katz氏は「肥満は2型糖尿病や脂肪肝など数々の慢性疾患の主なリスク因子である」と説明し、「肥満が当たり前のことになってしまうと、肥満の予防や管理に関心が払われなくなり、健康上の大きなリスクにつながる可能性がある」と警鐘を鳴らす。ただし、Katz氏は、「大人や子どもに対して過体重が重要な健康リスクであることを教えるのは医療従事者の役目だ」と話し、肥満の蔓延を食い止める鍵を握っているのは子どもたちの親ではなく、医療従事者だとの考えを示している。(HealthDay News 2020年3月18日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/obesity-health-news-505/obesity-might-be-contagious-among-teens-755827.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.