一般ドライバーが自家用車で乗客を目的地まで運ぶUberやLyftなどのライドシェア(相乗り)サービスは、街に出かけるときやバーをはしごした後の帰宅の足として便利だ。しかし、ライドシェアの普及に伴い、飲酒運転による事故は減った一方で、交通事故の総件数は減っていないことが、米コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院のChristopher Morrison氏らの研究から明らかになった。研究結果は「Injury Prevention」4月6日オンライン版に掲載された。米国では2010年にライドシェアサービスが始まって以来、これまでの利用件数は110億件に達している。Morrison氏は「ライドシェアのおかげで、飲酒運転による交通事故は減少した。しかし、飲酒以外の要因による交通事故は増加している可能性がある」と指摘する。.Morrison氏らは今回の研究で、2017~2018年のニューヨーク市における約3億7200万件のライドシェア利用データを収集。ライドシェアサービス関連の交通事故が発生した場所や、事故発生の1週間前および1週間後の同じ場所を起点としたサービスの利用件数について調べた。また、タクシーが関係する交通事故についても同様のことを調べるとともに、交通事故で負傷したドライバーや歩行者、自転車利用者の報告にも目を通した。.その結果、UberやLyftなどのライドシェアサービスの増加が、ドライバーおよび歩行者の負傷を伴う交通事故の増加と関連することが分かった。一方、自転車またはタクシーに関わる交通事故との関連は認められなかった。.また、交通事故は、ライドシェアサービスを利用する乗客が乗り降りする場所で頻繁に起きていることが明らかになった。この点についてMorrison氏は、ドライバーと歩行者双方の注意不足が原因ではないかとの見方を示している。「歩行者は携帯電話を手に持ちながら歩き、ドライバーは利用客とのやり取りのためにGPSとスマートフォンを使う。つまり、ドライバーも歩行者も注意散漫であり、それが事故の引き金となり得る」と同氏は指摘。さらに、「ライドシェアサービスに従事するドライバーは経験不足で、都市部での運転に慣れていない可能性も考えられる」とも述べている。.では、どうすれば、ライドシェアに関連する交通事故の増加を抑えられるのだろうか。Morrison氏は、各都市で、ライドシェアサービスの利用客が乗降する場所を定め、交通量の多いエリアでの乗降をなくすことを提唱している。.一方、National Road Safety FoundationのスポークスパーソンであるDavid Reich氏は、「道路の真ん中で乗り降りしない、周囲に注意を払う、といった安全な行動を人々に促すための教育も必要だ」と指摘。また、州知事幹線道路安全協会(GHSA)のPam Shadel Fischer氏も、ライドシェアのドライバーは思いつきで乗降場所を決めるべきではないとする意見に同意し、「乗り降りすべき場所を決めるのはドライバーだけではない。利用客も正しい判断をする必要がある」と話している。なお、この研究はニューヨーク市のデータに基づいたものだが、同氏は「ほかの都市でも同様の結果が示される可能性はある」との見方を示している。(HealthDay News 2020年4月7日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/travel-safety-health-news-674/ride-sharing-services-tied-to-rise-in-car-crashes-756475.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
一般ドライバーが自家用車で乗客を目的地まで運ぶUberやLyftなどのライドシェア(相乗り)サービスは、街に出かけるときやバーをはしごした後の帰宅の足として便利だ。しかし、ライドシェアの普及に伴い、飲酒運転による事故は減った一方で、交通事故の総件数は減っていないことが、米コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院のChristopher Morrison氏らの研究から明らかになった。研究結果は「Injury Prevention」4月6日オンライン版に掲載された。米国では2010年にライドシェアサービスが始まって以来、これまでの利用件数は110億件に達している。Morrison氏は「ライドシェアのおかげで、飲酒運転による交通事故は減少した。しかし、飲酒以外の要因による交通事故は増加している可能性がある」と指摘する。.Morrison氏らは今回の研究で、2017~2018年のニューヨーク市における約3億7200万件のライドシェア利用データを収集。ライドシェアサービス関連の交通事故が発生した場所や、事故発生の1週間前および1週間後の同じ場所を起点としたサービスの利用件数について調べた。また、タクシーが関係する交通事故についても同様のことを調べるとともに、交通事故で負傷したドライバーや歩行者、自転車利用者の報告にも目を通した。.その結果、UberやLyftなどのライドシェアサービスの増加が、ドライバーおよび歩行者の負傷を伴う交通事故の増加と関連することが分かった。一方、自転車またはタクシーに関わる交通事故との関連は認められなかった。.また、交通事故は、ライドシェアサービスを利用する乗客が乗り降りする場所で頻繁に起きていることが明らかになった。この点についてMorrison氏は、ドライバーと歩行者双方の注意不足が原因ではないかとの見方を示している。「歩行者は携帯電話を手に持ちながら歩き、ドライバーは利用客とのやり取りのためにGPSとスマートフォンを使う。つまり、ドライバーも歩行者も注意散漫であり、それが事故の引き金となり得る」と同氏は指摘。さらに、「ライドシェアサービスに従事するドライバーは経験不足で、都市部での運転に慣れていない可能性も考えられる」とも述べている。.では、どうすれば、ライドシェアに関連する交通事故の増加を抑えられるのだろうか。Morrison氏は、各都市で、ライドシェアサービスの利用客が乗降する場所を定め、交通量の多いエリアでの乗降をなくすことを提唱している。.一方、National Road Safety FoundationのスポークスパーソンであるDavid Reich氏は、「道路の真ん中で乗り降りしない、周囲に注意を払う、といった安全な行動を人々に促すための教育も必要だ」と指摘。また、州知事幹線道路安全協会(GHSA)のPam Shadel Fischer氏も、ライドシェアのドライバーは思いつきで乗降場所を決めるべきではないとする意見に同意し、「乗り降りすべき場所を決めるのはドライバーだけではない。利用客も正しい判断をする必要がある」と話している。なお、この研究はニューヨーク市のデータに基づいたものだが、同氏は「ほかの都市でも同様の結果が示される可能性はある」との見方を示している。(HealthDay News 2020年4月7日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/travel-safety-health-news-674/ride-sharing-services-tied-to-rise-in-car-crashes-756475.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.