帝王切開で生まれた女性は、成人後に肥満や2型糖尿病になりやすいことを示唆するデータが、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のJorge Chavarro氏らにより報告された。研究の詳細は、「JAMA Network Open」4月13日オンライン版に掲載された。同氏らの研究は、看護師を対象とする大規模調査「Nurses' Health Study II」のデータを解析したもの。1946~64年に生まれた女性3万3,226人を2013~15年まで追跡した。このうち1,089人(3.3%)が帝王切開で生まれていた。.191万3, 978人年の追跡調査により1万2,156人(36.6%)が肥満、2,014人(6.1%)が2型糖尿病と診断されていたことが分かった。追跡終了までの肥満の累積リスクは、経腟分娩で生まれた人は36.5%(3万2,137人中1万1,722人)、帝王切開で生まれた人は39.9%(1,089人中434人)だった。また、1万人年当たりの2型糖尿病発症率は、同順に10.4、14.1だった。.年齢、人種/民族、母親のBMIや教育歴、妊娠中の体重増加量、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、妊娠高血圧腎症、在胎期間、出生時体重などで調整後の多変量解析の結果、帝王切開で生まれた人が肥満になる確率は経腟分娩で生まれた人に比しハザード比(HR)1.11(P=0.005)と有意に高く、2型糖尿病の発症もHR1.46(P=0.001)で、やはり有意に高リスクだった。調整因子に本人のBMIを追加すると、2型糖尿病発症のHRは1.34に低下するものの引き続き有意だった(P=0.008)。.論文の筆頭著者であるChavarro氏は、「帝王切開による出生が小児期の肥満と関連することは既に明らかになっていたが、この関連は成人後にも継続し、2型糖尿病の発症にも影響が及ぶ可能性が示唆された」とし、「換言すれば、帝王切開は小児期の肥満よりも一段と大きな健康上の問題につながっているのかもしれない」と述べている。.米国では、毎年120万人が帝王切開で出生しており、これは全米の年間出生数の3分の1に相当する。専門家のグループは、その件数を減らすための手段として、初産での帝王切開を避けるよう呼び掛けている。Chavarro氏も「今回の研究により、帝王切開は児の数十年後の健康に悪影響を及ぼす可能性が示唆されたことから、明らかな医学的適応がある場合を除いて、帝王切開率を下げることに一層努める必要性が浮き彫りになった」と述べている。.同氏らの研究グループは、母体の産道に定着している細菌に曝露されることで獲得すると考えられる有益な効果を、帝王切開で生まれた子どもは得られないため、後に肥満や糖尿病になりやすくなるのではないかと考察している。.本論文を査読した米ノースウェル・ヘルスで産婦人科教育を担当しているJill Rabin氏は、「子宮内や腟の細菌叢が、小児期および成人期の健康を左右することを示すデータは多数存在する」と指摘。分娩法や内診の頻度、抗菌薬の使用が、母体と新生児双方の細菌叢に影響を及ぼす可能性があると付け加えている。.一方、米ハンティントン病院産婦人科部長のMitchell Kramer氏は、こうした細菌叢説には懐疑的である。同氏は、肥満妊婦では帝王切開を選択することがよくあり、肥満の母親の子どもは将来肥満になりやすく、肥満者は糖尿病を発症しやすい傾向があると指摘。「この研究は答えではなく、新たな疑問を提起したものであり、現在の分娩法の判断に影響を及ぼすものではない」と述べている。(HealthDay News 2020年4月14日).https://consumer.healthday.com/sexual-health-information-32/childbirth-health-news-126/do-c-section-babies-become-heavier-adults-756713.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
帝王切開で生まれた女性は、成人後に肥満や2型糖尿病になりやすいことを示唆するデータが、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のJorge Chavarro氏らにより報告された。研究の詳細は、「JAMA Network Open」4月13日オンライン版に掲載された。同氏らの研究は、看護師を対象とする大規模調査「Nurses' Health Study II」のデータを解析したもの。1946~64年に生まれた女性3万3,226人を2013~15年まで追跡した。このうち1,089人(3.3%)が帝王切開で生まれていた。.191万3, 978人年の追跡調査により1万2,156人(36.6%)が肥満、2,014人(6.1%)が2型糖尿病と診断されていたことが分かった。追跡終了までの肥満の累積リスクは、経腟分娩で生まれた人は36.5%(3万2,137人中1万1,722人)、帝王切開で生まれた人は39.9%(1,089人中434人)だった。また、1万人年当たりの2型糖尿病発症率は、同順に10.4、14.1だった。.年齢、人種/民族、母親のBMIや教育歴、妊娠中の体重増加量、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、妊娠高血圧腎症、在胎期間、出生時体重などで調整後の多変量解析の結果、帝王切開で生まれた人が肥満になる確率は経腟分娩で生まれた人に比しハザード比(HR)1.11(P=0.005)と有意に高く、2型糖尿病の発症もHR1.46(P=0.001)で、やはり有意に高リスクだった。調整因子に本人のBMIを追加すると、2型糖尿病発症のHRは1.34に低下するものの引き続き有意だった(P=0.008)。.論文の筆頭著者であるChavarro氏は、「帝王切開による出生が小児期の肥満と関連することは既に明らかになっていたが、この関連は成人後にも継続し、2型糖尿病の発症にも影響が及ぶ可能性が示唆された」とし、「換言すれば、帝王切開は小児期の肥満よりも一段と大きな健康上の問題につながっているのかもしれない」と述べている。.米国では、毎年120万人が帝王切開で出生しており、これは全米の年間出生数の3分の1に相当する。専門家のグループは、その件数を減らすための手段として、初産での帝王切開を避けるよう呼び掛けている。Chavarro氏も「今回の研究により、帝王切開は児の数十年後の健康に悪影響を及ぼす可能性が示唆されたことから、明らかな医学的適応がある場合を除いて、帝王切開率を下げることに一層努める必要性が浮き彫りになった」と述べている。.同氏らの研究グループは、母体の産道に定着している細菌に曝露されることで獲得すると考えられる有益な効果を、帝王切開で生まれた子どもは得られないため、後に肥満や糖尿病になりやすくなるのではないかと考察している。.本論文を査読した米ノースウェル・ヘルスで産婦人科教育を担当しているJill Rabin氏は、「子宮内や腟の細菌叢が、小児期および成人期の健康を左右することを示すデータは多数存在する」と指摘。分娩法や内診の頻度、抗菌薬の使用が、母体と新生児双方の細菌叢に影響を及ぼす可能性があると付け加えている。.一方、米ハンティントン病院産婦人科部長のMitchell Kramer氏は、こうした細菌叢説には懐疑的である。同氏は、肥満妊婦では帝王切開を選択することがよくあり、肥満の母親の子どもは将来肥満になりやすく、肥満者は糖尿病を発症しやすい傾向があると指摘。「この研究は答えではなく、新たな疑問を提起したものであり、現在の分娩法の判断に影響を及ぼすものではない」と述べている。(HealthDay News 2020年4月14日).https://consumer.healthday.com/sexual-health-information-32/childbirth-health-news-126/do-c-section-babies-become-heavier-adults-756713.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.