2型糖尿病の発症リスクに関し、遺伝的な素因の有無よりも、肥満かそうでないかの違いの方がより大きな意味を持つという研究結果が「Diabetologia」4月15日オンライン版に掲載された。論文上席著者のコペンハーゲン大学(デンマーク)のHermina Jakupović氏は、「肥満と不健康な生活習慣は遺伝的素因に関わりなく、2型糖尿病のリスク上昇と関係する」と述べている。Jakupović氏らは、デンマークで行われている食習慣とがんの関係に関するコホート研究のデータを用い、遺伝的素因と肥満および不健康な生活習慣が2型糖尿病発症に及ぼす影響を調べるコホート内症例対照研究を実施。追跡期間14.7年(中央値)中に2型糖尿病を発症した4,729人と、糖尿病でない5,402人を比較検討した。.対象者の平均年齢は56歳で男性が女性より若干多く、22%が肥満、43%が過体重で、標準体重は35%だった。喫煙・飲酒・身体活動量および食習慣を基に生活習慣をスコア化すると、約40%が健康的な生活習慣、約25%が非健康的な生活習慣と判定された。遺伝的素因は、既知の2型糖尿病関連遺伝子領域193カ所(BMI関連遺伝子領域を除く)に基づく遺伝的リスクスコア(genetic risk score;GRS)を五分位に分けて評価した。.肥満、生活習慣、およびGRSと2型糖尿病発症との関連をCox比例ハザードモデルで検討。すると、これら3因子はいずれも有意ながら、肥満による2型糖尿病発症のハザード比(HR)が5.81と最も高く、それに対してGRS最高五分位群は最低五分位群に対しHR2.00、不健康な生活習慣はHR1.18と、比較的小さいリスクだった。.GRSが低く(遺伝的素因は少なく)、かつ生活習慣が良好と判定された人でも肥満があると、GRSと生活習慣スコアが同レベルで標準体重の人に比べて、2型糖尿病発症リスクは約8倍に上った。また、GRS高値で肥満、かつ不健康な生活習慣の場合、そのリスクは約14倍に及んだ。.Jakupović氏は「遺伝的素因に関わらず、健康的な生活習慣による体重管理を2型糖尿病の予防戦略として推奨すべき」と語っている。.この結果について、米国糖尿病協会(ADA)のRobert Eckel氏は「肥満は2型糖尿病のよく知られた危険因子であり、驚くべきことではない」とした上で、「遺伝子変異は2型糖尿病リスクの約10〜15%しか説明しない。しかし、われわれが2型糖尿病関連遺伝子を完璧に把握しているわけでもない」と述べている。そして、本研究の意義を「エネルギーバランスをコントロールし、肥満にならないことの重要性を改めて浮き彫りにした点にある」とし、「身体活動で消費するよりも多くのカロリーを取るべきでない」と注意を促している。.また同氏は、ADAが10~15ポンド(4.5~6.8kg)の減量が糖尿病のコントロールに役立つとしていることを紹介し、少しでも体重を減らすことが2型糖尿病の管理に有用と述べ、「ただし、体重を減らすだけではなく、その状態を維持することが大切だ」と付け加えている。(HealthDay News 2020年4月16日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/obesity-is-biggest-type-2-diabetes-risk-factor-756777.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
2型糖尿病の発症リスクに関し、遺伝的な素因の有無よりも、肥満かそうでないかの違いの方がより大きな意味を持つという研究結果が「Diabetologia」4月15日オンライン版に掲載された。論文上席著者のコペンハーゲン大学(デンマーク)のHermina Jakupović氏は、「肥満と不健康な生活習慣は遺伝的素因に関わりなく、2型糖尿病のリスク上昇と関係する」と述べている。Jakupović氏らは、デンマークで行われている食習慣とがんの関係に関するコホート研究のデータを用い、遺伝的素因と肥満および不健康な生活習慣が2型糖尿病発症に及ぼす影響を調べるコホート内症例対照研究を実施。追跡期間14.7年(中央値)中に2型糖尿病を発症した4,729人と、糖尿病でない5,402人を比較検討した。.対象者の平均年齢は56歳で男性が女性より若干多く、22%が肥満、43%が過体重で、標準体重は35%だった。喫煙・飲酒・身体活動量および食習慣を基に生活習慣をスコア化すると、約40%が健康的な生活習慣、約25%が非健康的な生活習慣と判定された。遺伝的素因は、既知の2型糖尿病関連遺伝子領域193カ所(BMI関連遺伝子領域を除く)に基づく遺伝的リスクスコア(genetic risk score;GRS)を五分位に分けて評価した。.肥満、生活習慣、およびGRSと2型糖尿病発症との関連をCox比例ハザードモデルで検討。すると、これら3因子はいずれも有意ながら、肥満による2型糖尿病発症のハザード比(HR)が5.81と最も高く、それに対してGRS最高五分位群は最低五分位群に対しHR2.00、不健康な生活習慣はHR1.18と、比較的小さいリスクだった。.GRSが低く(遺伝的素因は少なく)、かつ生活習慣が良好と判定された人でも肥満があると、GRSと生活習慣スコアが同レベルで標準体重の人に比べて、2型糖尿病発症リスクは約8倍に上った。また、GRS高値で肥満、かつ不健康な生活習慣の場合、そのリスクは約14倍に及んだ。.Jakupović氏は「遺伝的素因に関わらず、健康的な生活習慣による体重管理を2型糖尿病の予防戦略として推奨すべき」と語っている。.この結果について、米国糖尿病協会(ADA)のRobert Eckel氏は「肥満は2型糖尿病のよく知られた危険因子であり、驚くべきことではない」とした上で、「遺伝子変異は2型糖尿病リスクの約10〜15%しか説明しない。しかし、われわれが2型糖尿病関連遺伝子を完璧に把握しているわけでもない」と述べている。そして、本研究の意義を「エネルギーバランスをコントロールし、肥満にならないことの重要性を改めて浮き彫りにした点にある」とし、「身体活動で消費するよりも多くのカロリーを取るべきでない」と注意を促している。.また同氏は、ADAが10~15ポンド(4.5~6.8kg)の減量が糖尿病のコントロールに役立つとしていることを紹介し、少しでも体重を減らすことが2型糖尿病の管理に有用と述べ、「ただし、体重を減らすだけではなく、その状態を維持することが大切だ」と付け加えている。(HealthDay News 2020年4月16日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/obesity-is-biggest-type-2-diabetes-risk-factor-756777.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.