親やきょうだいに大腸がん患者がいる人は、40歳やそれよりも早く検診を受けることで大腸がんの早期発見につながるとされている。しかし、この検診の開始基準が導入された2008年以前には、40歳代で大腸がんと診断された患者のほとんどが、家族歴に基づく早期の検診を受けていなかった可能性があることが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)ムーアがんセンターのSamir Gupta氏らの研究で示された。研究結果の詳細は「Cancer」4月20日オンライン版に発表された。米国がん協会(ACS)は2018年のガイドライン改訂で、大腸がんリスクが平均的と考えられる人の検診の開始対象年齢を50歳から45歳に引き下げた。一方、第一度近親者(親やきょうだい)に大腸がん既往者がいる人に対しては、2008年にガイドラインが策定された時点で、40歳からか、あるいは第一度近親者が大腸がんと診断された年齢よりも10年早い年齢から検診を受け始めることを推奨している。.Gupta氏らは今回、1998~2007年に国際的な大腸がん患者の家族レジストリ(Colon Cancer Family Registry)に登録された40~49歳の大腸がん患者2,473人と、大腸がんではない772人(対照群)を対象に追跡調査を実施した。.その結果、大腸がんと診断された患者の4人に1人、対照群の10人に1人は、第一度近親者に大腸がん患者がいることが分かった。しかし、これら大腸がん患者のうち、現行のガイドラインで推奨されている、家族歴に基づく早期の検診を受けていた人の割合は2%に満たなかった。.大腸がんの家族歴があり、より早期に検診を開始する基準を満たした患者の98.4%は、実際に診断された年齢よりも若いうちに検診を開始することが推奨された可能性があった。Gupta氏らは、ガイドラインの推奨に従って、より早期に検診を受けていれば、治療可能な段階で大腸がんを発見したり、進行を予防できたりしていた可能性が考えられたとしている。.Gupta氏は「大腸がんリスクを予測する上で家族歴が重要であることが、患者や医師の間で十分に認識されていないのではないか」と指摘。「大腸がんの家族歴の重要性について啓発するとともに、家族歴をきちんと評価し、それに対処できるように体制を整えていく必要がある」と述べている。.一方で、Gupta氏は「この研究では、医師がきちんと家族歴を聴取したのか、また、ガイドラインの推奨事項を考慮したり、より早期の検診開始を勧めたりしたのかなどに関する情報は得られなかった」と説明している。同氏によれば、これまでの研究では、大腸がんの家族歴は聴取されていないことが多く、聴取されていても正確であるとは限らないことが報告されているという。.この報告を受けて、米ハーバード大学医学部内科准教授のAndrew Chan氏は、「この研究から、大腸がん患者は自分自身の家族歴を認識しておらず、家族歴について医師に正確に伝えていない可能性があることが判明した。したがって、医師は患者に、診断時の年齢を含めた家族歴について必ず尋ねるべきだ」と強調。「その情報に基づいて、医師は適切なタイミングで検診を受けるよう患者に勧め、患者もそれに従う必要がある」と述べている。(HealthDay News 2020年4月20日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colon-cancer-news-96/parent-or-sibling-with-colon-cancer-you-may-need-colonoscopy-earlier-756855.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
親やきょうだいに大腸がん患者がいる人は、40歳やそれよりも早く検診を受けることで大腸がんの早期発見につながるとされている。しかし、この検診の開始基準が導入された2008年以前には、40歳代で大腸がんと診断された患者のほとんどが、家族歴に基づく早期の検診を受けていなかった可能性があることが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)ムーアがんセンターのSamir Gupta氏らの研究で示された。研究結果の詳細は「Cancer」4月20日オンライン版に発表された。米国がん協会(ACS)は2018年のガイドライン改訂で、大腸がんリスクが平均的と考えられる人の検診の開始対象年齢を50歳から45歳に引き下げた。一方、第一度近親者(親やきょうだい)に大腸がん既往者がいる人に対しては、2008年にガイドラインが策定された時点で、40歳からか、あるいは第一度近親者が大腸がんと診断された年齢よりも10年早い年齢から検診を受け始めることを推奨している。.Gupta氏らは今回、1998~2007年に国際的な大腸がん患者の家族レジストリ(Colon Cancer Family Registry)に登録された40~49歳の大腸がん患者2,473人と、大腸がんではない772人(対照群)を対象に追跡調査を実施した。.その結果、大腸がんと診断された患者の4人に1人、対照群の10人に1人は、第一度近親者に大腸がん患者がいることが分かった。しかし、これら大腸がん患者のうち、現行のガイドラインで推奨されている、家族歴に基づく早期の検診を受けていた人の割合は2%に満たなかった。.大腸がんの家族歴があり、より早期に検診を開始する基準を満たした患者の98.4%は、実際に診断された年齢よりも若いうちに検診を開始することが推奨された可能性があった。Gupta氏らは、ガイドラインの推奨に従って、より早期に検診を受けていれば、治療可能な段階で大腸がんを発見したり、進行を予防できたりしていた可能性が考えられたとしている。.Gupta氏は「大腸がんリスクを予測する上で家族歴が重要であることが、患者や医師の間で十分に認識されていないのではないか」と指摘。「大腸がんの家族歴の重要性について啓発するとともに、家族歴をきちんと評価し、それに対処できるように体制を整えていく必要がある」と述べている。.一方で、Gupta氏は「この研究では、医師がきちんと家族歴を聴取したのか、また、ガイドラインの推奨事項を考慮したり、より早期の検診開始を勧めたりしたのかなどに関する情報は得られなかった」と説明している。同氏によれば、これまでの研究では、大腸がんの家族歴は聴取されていないことが多く、聴取されていても正確であるとは限らないことが報告されているという。.この報告を受けて、米ハーバード大学医学部内科准教授のAndrew Chan氏は、「この研究から、大腸がん患者は自分自身の家族歴を認識しておらず、家族歴について医師に正確に伝えていない可能性があることが判明した。したがって、医師は患者に、診断時の年齢を含めた家族歴について必ず尋ねるべきだ」と強調。「その情報に基づいて、医師は適切なタイミングで検診を受けるよう患者に勧め、患者もそれに従う必要がある」と述べている。(HealthDay News 2020年4月20日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colon-cancer-news-96/parent-or-sibling-with-colon-cancer-you-may-need-colonoscopy-earlier-756855.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.