厄介な腟感染症を、生きた細菌の投与により撃退できる可能性が報告された。開発中の腟剤「Lactin-V」の後期第II相臨床試験の結果が、「New England Journal of Medicine」5月14日オンライン版に掲載され、細菌性腟炎再発率の有意な抑制効果が認められたという。生殖年齢にある女性の15~50%が罹患するとされる細菌性腟炎は、抗菌薬によって治療可能だが再発率が高い。これに対して、今回報告された治療法は「悪玉菌を撃退して善玉菌に置き換え、その善玉菌を増殖させて、腟内の最適な細菌バランスを維持するもの」と、論文筆頭著者で米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のCraig Cohen氏は述べている。.腟には常にさまざまな細菌が生息している。いわゆる"悪玉菌"が"善玉菌"よりも優勢になると、腟炎が生じるとCohen氏は説明する。細菌性腟炎の症状について、米疾病対策センター(CDC)は、白色または灰色の水っぽい腟分泌物、かゆみや灼熱感、魚のような強い臭いなどを挙げている。また、HIVなどの性感染症のリスク上昇と関連しており、さらに妊娠中に罹患した場合は、早産や低体重児のリスクが高まると解説している。.標準的な治療として局所用の抗菌薬メトロニダゾールが用いられる。しかし、治療終了後の早期に再発する患者が少なくない。これに対してLactin-Vは、腟内にもともと存在する善玉菌の一種であるLactobacillus crispatusが含まれていて、この菌が乳酸を産生することで悪玉菌の増殖を阻害する。粉末状であり、専用器具を用いて患者自身が局所投与する。.今回の臨床試験の被験者は、細菌性腟炎と診断され5日間のメトロニダゾール局所投与により治療された18~45歳の女性228人。152人をLactin-V群、76人をプラセボ群に割り当て11週間の投与後、24週間追跡して再発率を比較検討した。主要評価項目は12週までの再発率だった。.12週までに、Lactin-V群の46人(30%)、プラセボ群の34人(45%)が再発し、実薬群の再発率が有意に低かった〔欠損値多重代入法でのリスク比0.66(95%信頼区間0.44~0.87)、P=0.01〕。24週までの再発リスク比は0.73(同0.54~0.92)であり、有意な再発抑制効果が継続して見られた。また、12週時点において実薬群の79%に、Lactobacillus crispatusの定着が確認された。.この結果について、米ニューヨーク大学のTaraneh Shirazian氏は、「細菌性腟炎の標準的な治療法として現在は、抗菌薬の局所投与を7日間行い、その後も週2回、6カ月継続して行っている。それに対し、新しい治療法は3カ月と短期間で効果が認められており有望だ」と話す。.Lactin-Vの開発状況についてはCohen氏によると、第III相臨床試験に向けて調整中であり、発売の時期は未定だという。(HealthDay News 2020年5月13日).https://consumer.healthday.com/women-s-health-information-34/vaginal-problems-news-690/good-bacteria-might-help-fight-a-common-gynecologic-infection-757667.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
厄介な腟感染症を、生きた細菌の投与により撃退できる可能性が報告された。開発中の腟剤「Lactin-V」の後期第II相臨床試験の結果が、「New England Journal of Medicine」5月14日オンライン版に掲載され、細菌性腟炎再発率の有意な抑制効果が認められたという。生殖年齢にある女性の15~50%が罹患するとされる細菌性腟炎は、抗菌薬によって治療可能だが再発率が高い。これに対して、今回報告された治療法は「悪玉菌を撃退して善玉菌に置き換え、その善玉菌を増殖させて、腟内の最適な細菌バランスを維持するもの」と、論文筆頭著者で米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のCraig Cohen氏は述べている。.腟には常にさまざまな細菌が生息している。いわゆる"悪玉菌"が"善玉菌"よりも優勢になると、腟炎が生じるとCohen氏は説明する。細菌性腟炎の症状について、米疾病対策センター(CDC)は、白色または灰色の水っぽい腟分泌物、かゆみや灼熱感、魚のような強い臭いなどを挙げている。また、HIVなどの性感染症のリスク上昇と関連しており、さらに妊娠中に罹患した場合は、早産や低体重児のリスクが高まると解説している。.標準的な治療として局所用の抗菌薬メトロニダゾールが用いられる。しかし、治療終了後の早期に再発する患者が少なくない。これに対してLactin-Vは、腟内にもともと存在する善玉菌の一種であるLactobacillus crispatusが含まれていて、この菌が乳酸を産生することで悪玉菌の増殖を阻害する。粉末状であり、専用器具を用いて患者自身が局所投与する。.今回の臨床試験の被験者は、細菌性腟炎と診断され5日間のメトロニダゾール局所投与により治療された18~45歳の女性228人。152人をLactin-V群、76人をプラセボ群に割り当て11週間の投与後、24週間追跡して再発率を比較検討した。主要評価項目は12週までの再発率だった。.12週までに、Lactin-V群の46人(30%)、プラセボ群の34人(45%)が再発し、実薬群の再発率が有意に低かった〔欠損値多重代入法でのリスク比0.66(95%信頼区間0.44~0.87)、P=0.01〕。24週までの再発リスク比は0.73(同0.54~0.92)であり、有意な再発抑制効果が継続して見られた。また、12週時点において実薬群の79%に、Lactobacillus crispatusの定着が確認された。.この結果について、米ニューヨーク大学のTaraneh Shirazian氏は、「細菌性腟炎の標準的な治療法として現在は、抗菌薬の局所投与を7日間行い、その後も週2回、6カ月継続して行っている。それに対し、新しい治療法は3カ月と短期間で効果が認められており有望だ」と話す。.Lactin-Vの開発状況についてはCohen氏によると、第III相臨床試験に向けて調整中であり、発売の時期は未定だという。(HealthDay News 2020年5月13日).https://consumer.healthday.com/women-s-health-information-34/vaginal-problems-news-690/good-bacteria-might-help-fight-a-common-gynecologic-infection-757667.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.